【ディプティック】ヴォリュート オードパルファン（ファブリス・ペルグラン）

ヴォリュート オードパルファン

原名：Volutes Eau de Parfum
種類：オード・パルファム
ブランド：ディプティック
調香師：ファブリス・ペルグラン
発表年：2012年
対象性別：ユニセックス
価格：75ml／25,630円
公式ホームページ：ディプティック

ディプティック初のオリエンタルな香り

ハニー（蜂蜜）は、官能性、柔らかさ、甘さ、ドライフルーツのようなグルマンな香りであり、どこかタバコの香りに似ています。タバコは男性的な香りなので、そこにアイリスを加えて女性的な香りにしました。

また、ピンクペッパー、ブラックペッパー、サフランなどのスパイスも加えました。実質的にすべての原材料は、サイゴンに向かう船の航路上で立ち寄った場所を表しています（エジプトのポートサイド、スエズ運河、ジブチ、コロンボ、シンガポールなど）。

ファブリス・ペルグラン

1930年代にマルセイユから、スエズ運河経由で、サイゴンに向かう大西洋横断の大型客船の中で、子供時代のイヴ・クエロン（ディプティックの三人の創業者の一人）は最上階の客室前のデッキに佇んでいました。

すると、下の階のラウンジから、オーケストラが奏でる優雅なる調べが聞こえてきました。そして、煙草の煙が渦巻きながらイヴのもとに到達したのでした。それはデッキの欄干にもたれながらシガレットを吸っている、神秘的でエレガントなイブニングドレス姿の女性たちから放たれた煙でした。

当時、タバコを吸うことが出来る女性は、ブルジョワ階級に属していました。そんな女性たちの活気と自由な気風に満ちた喧騒の忘れがたい思い出をオリエンタルに託したのがこの香りです。

ヴォリュート（渦巻く煙）と化粧品の香りは、ディプティック初のオリエンタルの香りとして、2012年にファブリス・ペルグランにより調香されました。

この香りの名をつけたのは、ディプティックではなく、調香師自身であるというところが非常に珍しいです。ケディオール（Khedive）という1930年代のエジプトのタバコの香りは、蜂蜜のように甘くフルーティーな香りがします。そのためタバコ・アブソリュートとプロヴァンス産のハニーを混ぜてみようという発想からこの香りの創造はスタートしたのでした。

さよならと共にやって来る香り

物憂げなこの香りのはじまりは、パウダリーでお淑やかなアイリスと、ピンクペッパーとマダガスカル産ブラックペッパーのコントラストから温かくはじまります。すぐにシナモンが加わりスパイシーさは増してゆきます。

オード・パルファムでは、より官能的で包み込むような香りにするために、アイリスやスティラックス、ムスクなどいくつかのノートをより強くしています。

ファブリス・ペルグラン

すぐにクリーミーなハニーが滴り落ちながら、イモーテルと甘く溶け合い、スモーキーなチェリー風味の水煙草の香りに包まれてゆきます。

ちなみに、この香りのために二種類のタバコが使用されています。〝黒く、苦く、ピリっとスモーキーかつレザリーな〟タバコアブソリュートと、環境を傷つけることなく香りを分子レベルで再現するフィルメニッヒ社の「ネイチャープリント」（密封状態においた花や他の芳香体から香りを〝ヘッドスペース〟として自然のままの香りを分析し、〝自然さを損なわないように再現〟する高度な技術。フィルメニッヒ社）により再現されたエジプトのタバコアコードです。

後者は、〝蜂蜜のようで、フローラルでもあり、ドライフルーツ＆ドライフルーツな〟アムステルダマーの香りを再現しています。

やがてスパイシーなスティラックスとサフランがレザーのように漂う中、（香りに生命力を漲らせる）ヘディオンに似たパラジソンがバニラのようなベンゾインとオポポナックスに滑らかに溶け込んでゆき、洋酒のような濃厚なオリエンタルの余韻に包まれてゆきます。さよならと共にやって来る香りと言わせてください。

ちなみにこの香りのために（フィルメニッヒ社の）二酸化炭素抽出法によるピンクペッパー、ブラックペッパー、ベンゾインなどが使用されています。

オード・トワレ版も同時に発売されていたのでしたが、2015年に廃盤となりました。ディプティック版シャリマーのようでもあり、セルジュ・ルタンスの「シェルギィ」ともよく比較される香りです。

香水データ

香水名：ヴォリュート オードパルファン
原名：Volutes Eau de Parfum
種類：オード・パルファム
ブランド：ディプティック
調香師：ファブリス・ペルグラン
発表年：2012年
対象性別：ユニセックス
価格：75ml／25,630円
公式ホームページ：ディプティック

シングルノート：タバコ、アイリス、ハニー、シナモン、スティラックス、オポポナックス