オーインペリアル
原名:Eau de Cologne Impériale
種類:オーデ・コロン
ブランド:ゲラン
調香師:ピエール=フランソワ・パスカル・ゲラン
発表年:1853年
対象性別:女性
価格:100ml/14,850円
公式ホームページ:ゲラン
日本で幕末がはじまった年に、ゲランもはじまりました
1828年にゲランを創業したピエール=フランソワ=パスカル・ゲランは、上流社会の婦人のためにオーダーメイドで香りを創っていました。瞬く間に評判となり、1842年にはベルギー王妃、1844年にはイギリス女王の御用香水商となりました。
そして、1853年1月30日にノートルダム大聖堂でロイヤルウエディングを挙げナポレオン3世と結婚し、フランス皇后になったウジェニー・ド・モンティジョ(1826-1920)のためにゲランは、ひとつのオーデコロンを献上したのでした。
それはウジェニーの片頭痛を治癒するために相応しい香りとゲランが考えた「フルール ドゥ セドラ」という1830年に調香したオーデコロンでした。
このコロンを帝政様式の香水瓶「ゴールデンビーボトル」に封入し「オー デ コロン イムペリアル」と新たに名づけ献上したのでした。そして、このコロンを皇后がとても気に入ったことにより、ゲランはフランス王室御用香水商となったのでした。
ちなみにこの年の7月8日ペリーの黒船が日本にやって来ました。いわゆる幕末のはじまりです。
ナポレオン・ボナパルトが立つボトルデザイン
ゴールデンビーボトルのデザインは、ヴァンドーム広場の円柱(ナポレオン1世が、アウステルリッツの戦勝を祝賀して、円柱と自らの像を建造)をモチーフに、ナポレオン1世のシンボルでもある69匹の蜜蜂の意匠を側面に純金を用いて描き散りばめていました。
以後、ビーボトルはゲランの代表的なボトルモチーフとなるのでした。
はじまりに最高の喜びを感じる香り
モーツァルトが17歳までの間に作曲した交響曲第24番までの交響曲の数々。それらは決して有名ではないのですが、第25番で〝覚醒〟する天才の片鱗を伺うことが出来ます。
この香りは、そんなモーツァルトの第24番までの交響曲を約90分間聴いているような気持ちにさせる香りです。第25番ではないのですが、モーツァルトの交響曲であることは間違いない第24番までの交響曲の香りなのです。
さぁ、シトラス・シンフォニーの第一楽章がはじまります。レモン、ベルガモットをはじめとする様々な柑橘系がそれぞれの〝実りの朝〟を迎えます。特にとんでもなく透明なレモンの弾ける様子が印象的です。
やがて、プチグレンのグリーンノートと共に、ネロリとローズマリーによるうっとりするような(ハーバルかつ仄かに甘い)第二楽章がはじまります。
第24番までのモーツァルトの交響曲は、どれもいかにも宮廷音楽という安定感があります。それはどこかで聞いたことのあるような特長のない音楽です。そして、この香りもまさしく〝どこかで嗅いだことのあるような特長のない心地よいコロン〟なのです。
さぁ、シダーウッドとトンカビーンが最高潮の最終楽章へと導いてくれます。すべてのシトラスは、息を吹き返し、全力でクライマックスに向けて前進します。それはドライダウンではなく、まさにその字の通り、クライマックスを迎え消えていくのです。
この香りは、精神を復活させる薬です。または心の滋養剤とでも言いましょうか。長く続かないものにしかない、短い香りにしか存在しないものがそこにはあります。ある時は5分で消え、またある時は60分で消えていく不思議な香りです。
持続時間がどれだけであろうともこの香りを使う場合一つだけいえることは、「はじまりに最高の喜びを感じる香り」だということです。
ルカ・トゥリンは『世界香水ガイド』で、「オーインペリアル」を「ライムコロン」と呼び、「ライムとライムの花の香りが入ったいいコロン。」と4つ星(5段階評価)の評価をつけています。
香水データ
香水名:オーインペリアル
原名:Eau de Cologne Impériale
種類:オーデ・コロン
ブランド:ゲラン
調香師:ピエール=フランソワ・パスカル・ゲラン
発表年:1853年
対象性別:女性
価格:100ml/14,850円
公式ホームページ:ゲラン
トップノート:オレンジ、レモン・バーベナ、ネロリ、ベルガモット、レモン、プチグレン
ラストノート:バニラ、ローズマリー、シダーウッド、トンカビーン