ジャスマン エ シガレット らしさからの解放
原名:Jasmin et Cigarette
種類:オード・パルファム
ブランド:エタ リーブル ド オランジェ
調香師:アントワーヌ・メゾンデュー
発表年:2006年
対象性別:女性
価格:50ml/16,500円、100ml/25,300円
販売代理店ホームページ:NOSE SHOP
ハリウッドバビロンとゲンスブール父娘の香り
2006年に創業したエタ リーブル ド オランジェが、同年に2番目の香りとして発表したのが「ジャスマン エ シガレット(ジャスミンとシガレット)」です。以後、同ブランドの作品を多く調香することになるジボダンのアントワーヌ・メゾンデューにより調香されました。
グレタ・ガルボやマレーネ・ディートリッヒがハリウッドのスタジオで撮影していたハリウッド黄金時代=ハリウッドバビロンな1930年代をイメージした香りです。
それは、世界がまだ白と黒のファンタジーに包まれていた時代をスモーキーな香りで表現した「大人の男女のための今はもう失われた寓話」の香りです。
そして、80年代にセルジュ・ゲンスブール(1928-1991)が生きていたころに、娘シャルロット(1971-)の肌から香り立つ、父親のジタンの香りが、彼女がこの頃愛していたジャスミンの香りと、若い肌から自然に漂うアプリコットの香りを侵犯していくような禁断の香りでもあるのです。
『ブレードランナー』のレプリカントの香り
香りのコンセプトを調香師と打ち合わせした後、私は速やかに調香師に全てを委ねます。この香りの場合は、アントワーヌが持つ理想の女性像を香りにしてもらいました。それがタバコがツイストされたジャスミンだったのです(つまりは、ジャスミンにタバコをブレンドして下さいという風にエティエンヌは依頼していないということ)。
アントワーヌは私に言いました。「リドリー・スコットの『ブレードランナー』を覚えているかい?」
エティエンヌ・デ・スウォート
アントワーヌはこの香りを『ブレードランナー』のレイチェル(ショーン・ヤング)というレプリカントがタバコを吸う姿をイメージして調香しました。
今では禁煙になってしまったロサンゼルスの上品なバーに、ジャスミンの香りがする気品に満ちた(30代から40代くらいの)女性が、きっちりした身なりでひとりでやってきて、カウンターに着席して、タバコに火をつけた。
やがてそこはかとなくアプリコットのようなキンモクセイの香りが漂います。ジャスミンとタバコとキンモクセイのブレンドされた香りの心地良さに誰も彼女の喫煙を咎めようとはしない。そして、15分後、彼女は去っていきました。
その残り香の中に潜んでいたクミン、シダー、アンバーが、彼女の美しい残像をより鮮烈にその場にいる男たちの脳裏に焼き付けていきます。美しい喫煙の香り=禁断の香り。
ルカ・トゥリンは『世界香水ガイド』で、「ジャスマン エ シガレット」を「フローラル様 灰皿」と呼び、「看板に偽りのない胸躍る香り。ただひとつ難癖をつけるとすれば、画家ルネ・マグリットならきっと大声で「これはパイプだ!」というだろう。ジャスマン エ シガレットのタバコノートは巻きタバコではなく、「ムッシュ ロシャス」を想わせるような冷えたパイプの香りなのだ。」
「時代は変わった。タバコは今や罪悪だ。くわえタバコの女性がグラビアを飾るエロティックな雑誌も数年前に姿を消した。つくづく買いだめしておくべきだった。」と4つ星(5段階評価)の評価をつけています。
香水データ
香水名:ジャスマン エ シガレット らしさからの解放
原名:Jasmin et Cigarette
種類:オード・パルファム
ブランド:エタ リーブル ド オランジェ
調香師:アントワーヌ・メゾンデュー
発表年:2006年
対象性別:女性
価格:50ml/16,500円、100ml/25,300円
販売代理店ホームページ:NOSE SHOP
シングルノート:アプリコット、トンカビーン、ムスク、ジャスミン、シダー、タバコ、干し草、アンバー、クミン