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カイエデモード香水図鑑ご支援への感謝|2025年7月1日更新

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【シャネル】ココ 香水(ジャック・ポルジュ/フランソワ・ドゥマシー)

シャネル
©CHANEL
シャネル
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ココ 香水

原名:Coco Parfum
種類:パルファム
ブランド:シャネル
調香師:ジャック・ポルジュフランソワ・ドゥマシー
発表年:1984年
対象性別:女性
価格:15ml/40,700円
公式ホームページ:シャネル

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蘇える獅子座の女の香り

©CHANEL

1984年にシャネルの三代目専属調香師ジャック・ポルジュ(と補佐役のフランソワ・ドゥマシー)が、ガブリエル・シャネルのニックネームを冠した初のウィメンズ・フレグランス「ココ」を発表しました。この香りは、オードトワレだった「クリスタル」(1974)を除くと、ココ・シャネルの死後初めて発表されたフレグランスでした。

ちなみに「ココ」は二人にとって、当時人気を独占していたイヴ・サンローランの「オピウム」に対する挑戦状として生み出された香りでもありました。つまりとんでもなく高いハードルに向かってジャンプした香りでした。

そして同年発売されたこのパルファムは、芸術の領域に踏み込んでいるため、どうしても人を選んでしまう香りです。一言でこの香りを表現すると、召喚使が〝獅子座の女〟を召喚したような香りです。

ココ・シャネルの生き様ではなく、彼女の性格の全てがボトルに詰め込まれたような香りです。

男たちを翻弄しているかと思えば、ただ一人の男だけを愛し続け、生涯結婚せず、子供を持たず、きまぐれで、情に厚く、計算高く、直情径行型で、絶対にお世辞は言わず、どんなに大きな権威に対しても屈せず、ナチスドイツの将校を愛し、祖国を追放され、不死鳥のように蘇える。そんな要素を全てひっくるめて7.5mlのボトルに閉じ込めた香りです。

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言葉を失わせるほどに、美しく、恐ろしく、人間から脱皮しようとしている女性のような香り

© Sony Classics / Chantal Thomine-Desmazures / Courtesy Everett Collection

© Courtesy of Chanel

そんな〝獅子座の女の香り〟は、フレッシュなマンダリン・オレンジとジューシーなピーチに、ドライ・プラムが、アルデハイドによりかき混ぜられ、ほんの束の間の輝きを見せた後、熟成と腐敗の狭間を駆け抜ける洋酒のような濃厚さからはじまります。

いいや!はじまるのではなく、(物の怪か)何かが解き放たれたように押し寄せてくるのです。そこにスパイスとアンバーが加わることにより、香りは言葉の領域を易々と飛び越えていきます。

やがて、(ウスパルタで収穫されたターキッシュローズのダマセノンによる)馥郁なローズとクリーミーなイランイラン、インドールたっぷりなジャスミンがパチョリの銅鑼の音に合わせて、時折、可憐なフローラルを香り立たせてゆきます。

そしてラブダナム、トンカビーン、バニラ、サンダルウッドの四重奏に、アニマリックなシベットとイソEスーパーが加わり、艶やかさが与えられることにより、香りは最後の最後に空前絶後の輝きをドライダウンと共に放つことになるのです。

言葉を失わせるほどに、美しく、恐ろしい、人間から脱皮しようとしている女性のような香りです。

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香水データ

香水名:ココ 香水
原名:Coco Parfum
種類:パルファム
ブランド:シャネル
調香師:ジャック・ポルジュフランソワ・ドゥマシー
発表年:1984年
対象性別:女性
価格:15ml/40,700円
公式ホームページ:シャネル


トップノート:コリアンダー、シチリア産マンダリン・オレンジ、ピーチ、ジャスミン、ブルガリアン・ローズ
ミドルノート:プロヴァバンス産ミモザ、クローブ、チュニジア産オレンジ・ブロッサム、クローバー、ローズ、イランイラン
ラストノート:ラブダナム、インドネシア産パチョリ、アンバー、サンダルウッド、ブラジル産トンカビーン、ソマリア産オポポナックス、シベット、バニラ