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東京

エルメス・イン・カラー GINZA SIX【全国フレグランス×香水聖地巡礼ガイド2024】

東京
© Hermès
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エルメス・イン・カラー GINZA SIX

場所 東京・銀座
住所 東京都中央区銀座6-10-1 ギンザ シックスB1F
電話 03-6264-6308

2023年4月21日に、エルメスのパフューム&ビューティを専門的に展開する店舗「エルメス・イン・カラー」の三号店が、GINZA SIX地下1階にオープンしました。あまり評判のよろしくない伊勢丹新宿店とは違い、こちらには、エルメス香水愛に満ちた素晴らしい女性ブティック・マネージャーの方が、日々奮闘しておられます。
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なぜエルメスの販売員のほとんどが香水の説明ができないのか?

ジャン=クロード・エレナクリスティーヌ・ナジェルという素晴らしい専属調香師が作り上げている偉大なるエルメスの香りの数々。カイエデモードがそのすべての香りについて徹底分析(エルメス香水聖典)させて頂くほど、どの香りもブランドと調香師の「心」が込められた素晴らしい香りばかりです。

しかし、エルメスのブティックにおいて、その香りの「心=素晴らしい世界観」が、お客様に伝えられることはほとんどありません。

エルメスのフレグランス接客は、以下の3パターンです。

  1. フレグランスが好きで、個人的にエルメスの香りについて調べており、とても詳しくお客様に寄り添う接客ができる販売員→全体の5%にも満たない
  2. 会社の資料をお客様の目の前でめくり話す販売員→ほとんどがコレ。果たして接客の場で資料を棒読みして「とても素敵な商品なのです」と言って、果たしてお客様の「心」に響くのでしょうか?
  3. たった一言「何かお決まりですか?」と聞く販売員→論外接客。コレって、あなたじゃなくてもいい仕事=販売員がいる必要がない作業ですよね?

エルメスは、服やシューズ、ジュエリー、ウォッチに関して、それぞれスペシャリストの方々がおられ、良いスタッフに当たれば(最近は商品名の意味さえも知らない、エルメスに相応しくないスタッフも増えてきています)、しっかりとした接客をしていただけるのですが、フレグランスに関しては、スペシャリストを育成するトレーニング自体が存在しないので、適切な香水接客が分からない環境に、販売員の皆様はただただ放置されています。

これは恐らく、エルメスほどコロナウイルスに左右されずにブランド力により売れ続けているブランドは存在しないので、「説明せずに売れるのがエルメスなんです」という考えによるものなのでしょうが、エルメスの専属調香師やフランス本国のパルファン部門の責任者にとっては、悲しすぎる販売スタイルであると言えるでしょう。

つまり、何十種類もの芸術の域に達している超一流の香水がそこにあるのに、その価値がわからない人たちがそれを販売している現状なのです。もし、あなたがルイ・ヴィトンのフレグランス・スペシャリストの接客を経験していたら、大いに失望することは間違いありません。

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今までのエルメスの典型的なフレグランス接客の実例

ここでひとつエルメスのフレグランス接客の悪しき典型をひとつ挙げさせていただきます。

ひたすら沈黙で、「いかがですか?」を繰り返し、「どれが気になりますか?」と聞かれ、「これを」と指差せば説明なしに香りをムエットにつけて渡され再び沈黙し、「いかがですか?」の繰り返し。

私も全てが分かる訳ではないのですが…」と言い訳がましいことを言いながらも、ひとつの香りについてさえもまともな説明が出来ずに、引き出しの中から、資料を取り出し、読み上げる始末。

そして、ムエットに何度も何度も…至近距離で表と裏に香りをつけて、エレガントとは真逆のムエットぱたぱた…ぱたぱた…をずっと繰り返す。

この販売員の方は、こうは考えないのでしょうか?もし5つ星のレストランで、ワインを提供する時に「私ソムリエじゃないんでよく分からないんですけど…」と、落ち着きなくテーブルにグラスをバン!!と置かれるようなそんな接客をしているということを…

仮に、エルメスの販売員の方々がしっかりとフレグランスについて説明できるならば、メゾンマルジェラジョー マローン ロンドンディプティックを購入しているお客様のほとんどが、ノマド 4本セットを購入することでしょう(エルメスのノマドのコスパは最強です。しかし、1本から購入できないからこそ、一緒に選んでくださるスペシャリストの存在が必要になるのです)。

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東京のエルメスの香水の聖地誕生す。

© Hermès

何よりも、ラグジュアリー・フレグランスの接客方法を一歩前に前進させたのは、2016年9月からフレグランスを扱うようになったルイ・ヴィトンが、フレグランス・スペシャリストという肩書きを販売員に付けたことからでした。

パンデミック以降は、ディオールゲランがフレグランス・トレーニングに重きを置くようになり、ジバンシィもその流れに追随しています。恐らくセリーヌ・ビューティも同じようになると予想されます。

かくして、ラグジュアリー・フレグランスの接客重視の流れに乗り遅れてはまずいとエルメスは、2022年9月14日に、日本初のエルメスのパフューム&ビューティを専門的に展開する店舗「エルメス・イン・カラー」を伊勢丹新宿店 本館1階にオープンさせ、メイクアップ・アーティストと共に、フレグランス接客の経験のある販売員を雇用したのでした。

さらに同年10月26日に阪急うめだに二号店がオープンしました。そして2023年4月21日に三号店が、GINZA SIX地下1階にオープンしました。

あまり評判のよろしくない伊勢丹新宿店とは違い、こちらには、エルメス香水愛に満ちた素晴らしい女性ブティック・マネージャーの方が、日々奮闘しておられます。

今、ほとんどのラグジュアリー・ブランドが、積極的にフレグランスを生み出すようになっている中、フレグランス販売の専門的知識を持たない一般販売員のフレグランスとの向き合い方の見直しが、はじまっています。

しかし、ほとんどの企業が、黙ってムエットを差し出すだけで売れる商材ではない(=売れる価格帯ではない)ことを認識しているのですが、であるなら、どうすれば良いのか、分からなくて、現場の責任者に丸投げしている状態なのです。

エルメスのGINZA SIXのブティック・マネージャー様の香水愛は、確実に、スタッフの間に伝わっているのではないでしょうか?特に、エルメスの一部ビューティ・スタッフは、フレグランスを軽く見る〝化石のような感覚の持ち主〟も存在するのですが、GINZA SIXはその傾向がかなり薄い〝東京のエルメスの香水の聖地〟だと思います。