セドラ37 ベルリン
原名:Cedrat 37 Berlin
種類:オード・パルファム
ブランド:ル ラボ
調香師:ダフネ・ブジェ
発表年:2021年
対象性別:ユニセックス
価格:1.5ml/1,650円、15ml/22,110円、50ml/48,730円、100ml/70,180円
公式ホームページ:ルラボ
〝抑圧されていた力〟が解き放たれた瞬間を全身で感じる香り
2021年のル ラボの「シティ エクスクルーシブ コレクション」の新作「セドラ37」は、ベルリン限定の香りとして発売されました。ルラボは、ベルリンに二店舗あります。ダフネ・ブジェにより調香されました。
1989年11月9日のベルリンの壁崩壊をイメージした〝自由〟への香りです。ベルリンの壁とは、米ソの対立が決定的になる中、1961年8月13日に、突如、社会主義陣営に属するドイツ民主共和国 (東ドイツ) が、往来が自由であった西ベルリンとの境界線に、西ベルリンの周囲をすべて有刺鉄線で隔離したことからはじまります。のちにこの有刺鉄線はコンクリートの壁となり、米ソ冷戦の象徴となりました。
この香りは、そんな東西に分離されていたベルリンが、再びひとつになり、〝自由万歳!〟と自由を満喫する、そんな開放感に満ち溢れた香りなのです。
ベルリンの香りがなぜ「セドラ」なのでしょうか?
少しややこしいのですが、2020年に作られたソウル限定の香り「シトロン28」は、フランス語で〝レモン28〟となります。そして、今回発売された「セドラ37」、このセドラとはフランス語でレモンの近縁種・原種であるシトロンを指します(ル ラボはフランス語で香水名を付けています)。
そして、セドラ=シトロンと言えば、南フランスのコルシカ島が有名です。イタリアの西、地中海に浮かぶコルシカ島は柑橘が育つにベストな気候で、冬は温暖、夏は乾燥し気温が高くなりすぎません。
一方、ドイツとセドラに接点はありません。特にベルリンに至っては、樺太くらいの緯度になるため、暖流により樺太よりも温暖とはいえ、年間を通して柑橘が育ちにくい気候です。
このため、ドイツでは柑橘は基本的に輸入品となります。イタリアやフランスに接するドイツにとって、柑橘は憧れと言っても言い過ぎではありません。つまり、自由を求めたドイツ人にとって、ゲーテが『ヴィルヘルム・マイスターの修業時代』で「君よ知るや南の国、レモンの花咲き……」という詩を書いたように、セドラ(柑橘)の香りはまさに理想郷の香りなのです。
レモンが自由になった時、セドラとなります。
レモンに似ていますが、枝に鋭い棘があり、葉も大きく果実も5倍から6倍の大きさを持つ〝セドラ〟は、レモンの原種です。香りはレモンより遥かに強いのですが、強い酸味により生食は出来ません。
英語圏ではシトロン(ちなみにフランス語でシトロンと言うと、レモンのことになる)と呼ばれるこのセドラが最初からフルパワーでフレッシュに弾けるようにしてこの香りははじまります。
長い曇りの日が終わり、ようやく燦燦と太陽が降り注ぐ日がやって来た中、セドラが待ってましたとばかりに、その芳香を解き放つような開放感に満ち溢れています。
すぐに温かなジンジャーが酸味の効いたセドラに円やかな甘みを加えてゆきます。でありながらも、爽快感はそのままに、心に染み入るように香りが広がってゆきます。
そして、アンバーグリスとムスクが、レモネードのような感触を香り全体に与えてゆくのです。仄かに感じさせるウッディノートがこの香りに、天然のセドラを感じさせてくれます。
ドライダウンにつれ、ホワイトティーとレモンティーがシンクロする中、天然のセドラが、剣の一突きのごとく一絞りされ、全身を包み込んでくれるのです。
レモン系のフレグランスの中でも、37種類の香料が巧みにブレンドされているだけあって、大胆な開放感の中に、繊細な表情を見せてくれる出色のシトラスの香りです。
香水データ
香水名:セドラ37 ベルリン
原名:Cedrat 37 Berlin
種類:オード・パルファム
ブランド:ル ラボ
調香師:ダフネ・ブジェ
発表年:2021年
対象性別:ユニセックス
価格:1.5ml/1,650円、15ml/22,110円、50ml/48,730円、100ml/70,180円
公式ホームページ:ルラボ
トップノート:セドラ
ミドルノート:ジンジャー
ラストノート:ウッディノート、ムスク、アンバーグリス