ザ ルースレス カウンテス ドロシア(冷酷無情なドロシア伯爵夫人)
原名:The Ruthless Countess Dorothea
種類:オード・パルファム
ブランド:ペンハリガン
調香師:ナタリー・グラシア=セット
発表年:2017年
対象性別:女性
価格:75ml/35,200円
アールグレイとシェリー酒の奇跡の組み合わせ
人生のすべてがこんな風ならいいのに、と思うほど上品で落ち着きがあり、礼儀作法をわきまえたフレグランス。濃い紅茶とシェリー酒がとけあう芳醇かつ濃厚な香りに、レッドジンジャーとシナモンが思いがけない爽やかさを加え、香り立ちは、ため息が出るような心地よさ。権力とは、厚かましくがさつな者には手に入れられないもの。気品にあふれ、時にしたたかさを匂わす彼女の奥深い魅了を表現するのは、甘美なバニラとカシュメラン。贅沢な調度品を愛でるように邸宅の中を優雅に歩き、「ビスケットはいかがですか?」と穏やかに声をかける彼女。しかし、惑わされてはいけません。彼女と話をする際は、発言に気をつけて。
公式ホームページより
2016年11月、英国のフレグランスハウス・ペンハリガンより、イギリスの上流階級の秘密を表現したコレクション<ポートレート>が発売されました。
「19世紀後半、イギリスの田園地帯に建つ大邸宅に住むジョージ卿とその家族たち、一人ひとりのキャラクターとその人間関係、ユーモア、刺激的なエッセンスを香りで表現する。」(公式ホームページより)。
その第三章として2017年10月に発売された二作品のうちの一つ「ザ ルースレス カウンテス ドロシア(冷酷無情なドロシア伯爵夫人)」は、ナタリー・グラシア=セットによって調香されました(英国では五作品同時に発売されました)。
いつまでも若々しく美しい老婦人の奇跡の水
ジョージ卿の母親であり一族の女家長であるドロシア伯爵夫人は、鋭い頭脳を持ち、聡明で気高く、常に完璧な姿勢を崩さない一方で、若い男性との交友やティータイムのスコーンを密かな楽しみにしています。そんな女としての色気をいつまでたっても失わず、品格に溢れる彼女の完璧な若さの秘訣をテーマにした香りです。
1994年に映画『プレタポルテ』に出演したソフィア・ローレン様が60代を迎えようとしていた時に、ある質問がなされました。「あなたはどうしていつまでも美しいのですか?」
その質問に対してソフィアは「私の美の秘訣は、心から人生を謳歌することかしら」と答えたのでした。そんないつまでたっても美しい、いいえ、これは正しくない、年齢を重ねるごとに、美しさが変化してゆく女性の香り、それがこの〝冷酷無情なドロシア伯爵夫人〟です。
成熟した女性の美しい脚を包み込む黒い絹の靴下
全身に広がる芳醇な冷たいシェリー酒からこの香りははじまります。リッチでボリュームのある白ワインに心も体も満たされる中、薫り高いアールグレイが、弾けるベルガモットと共に、温かく注ぎ込まれてゆきます。
シェリー酒とアールグレイの禁断の組み合わせの中に、スパイシーなレッドジンジャーとシナモンが溶け込み、ビーズワックスがスモーキーなマテに滑らかに引き伸ばされてゆきます。そして、オーブンから出したばかりのスコーンやラムレーズンクッキー、クリスマスプディングのような、爽やかさと温かさと甘さと辛さの絶妙なバランスでうっとりさせる、クリーミーな香りが深みを増しながら広がってゆくのです。
壮麗さと温かみの共存、それは成熟した女性の美しい脚を包み込む黒い絹の靴下のようです。つまり、どれかが突出するのではなく、隙なくすべてが共存し生み出されている〝おおらかな美しさ〟がそこにあるのです。
アフタヌーンティーを嗜んでいる淑女。彼女がただ静かに脚を組んで、見つめているだけですべてが完結する。そんな甘美なバニラとカシュメランの優雅さに包まれ、どことなく謎めいた、ため息が出るような心地よい余韻に満たされてゆきます。
まさにドロシア伯爵夫人の複雑な人間的な魅力を反映したような、一筋縄ではいかない魅力に満ち溢れています。この香りは、間違いなく天才による傑作です。
ボトルキャップのデザインは、それぞれの香りの主人公を動物に喩えた真鍮製のものとなっています。ドロシア伯爵夫人は〝フクロウ〟です。この香りの特徴を捉えたボックスパッケージはクリスティヤーナ・S.ウィリアムズにより描かれたものです。
香水データ
香水名:ザ ルースレス カウンテス ドロシア(冷酷無情なドロシア伯爵夫人)
原名:The Ruthless Countess Dorothea
種類:オード・パルファム
ブランド:ペンハリガン
調香師:ナタリー・グラシア=セット
発表年:2017年
対象性別:女性
価格:75ml/35,200円
トップノート:ベルガモット、ジンジャー、チャイニーズ・シナモンウッド
ミドルノート:ビーズワックス、クラリセージ、マテ
ラストノート:カシュメラン、バニラ、ホワイトワイン