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ルイ・ヴィトン

【ルイ ヴィトン】ミリアド(ジャック・キャヴァリエ)

ルイ・ヴィトン
©LOUIS VUITTON / Florian Joy
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ミリアド

原名:Myriad
種類:オード・パルファム
ブランド:ルイ・ヴィトン
調香師:ジャック・キャヴァリエ
発表年:2023年
対象性別:女性
価格:100ml/101,200円
公式ホームページ:ルイ・ヴィトン

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「レ・ゼクストレ コレクション」=究極のルイ・ヴィトンの香り

©LOUIS VUITTON / Florian Joy

©LOUIS VUITTON / Florian Joy

ルイ・ヴィトンジャック・キャヴァリエを専属調香師にしたのは、2012年1月のことでした。そして、2016年9月15日、約70年ぶりにルイ・ヴィトンの香水「レ パルファン ルイ ヴィトン」が発売されることになりました。

それから5年の月日が流れ、ルイ・ヴィトンとキャヴァリエが、5周年の節目にあたり、新たなる船出として2021年10月7日に最高級コレクションである「レ・ゼクストレ コレクション」を発表したのでした。

それは30%の賦香率(香料の濃度)というパルファンの濃度の越えたエクストレ・ドゥ・パルファンを、点付けでなく、スプレー仕様で生み出した画期的な香りでした(ちなみにパルファン ド コローニュは12%、通常ラインは15%)。

エクストレをスプレー仕様にするために、キャヴァリエは30年間の調香師としてのキャリアを全て注ぎ込み、肌との相性が良い天然香料を厳選し、ブレンドしました。そして、肌の上で、新たなる生命の息遣いを生み出すように、濃度の高い香料を使用しながら〝蝶のように舞い、蜂のように刺す〟つまりは、「持続性があるにも関わらず、強くなく儚げな印象さえ覚えるくらいに、軽やかで柔らかく、そして穏やかな香り」を考案したのでした。

香りがはじめて現代アートの領域に踏み込んだ〝究極のルイ・ヴィトンの香り〟とも言えるこの5種類の香りは、通常のルイ・ヴィトンの香水(100ml 42,900円)の約2倍の81,400円の価格がつけられています。

そんな〝究極のコレクション〟から、さらに究極の香りが2023年10月19日に発売されました。その香りの名を「ミリアド」と申します。〝myriad〟とは英語で〝無数の〟という意味です。

天然のウード(ルイ・ヴィトンではブラックゴールドと呼んでいる)が使用されていることもあり、日本国内で発売されているルイ・ヴィトンの香りの中で最も高価な97,900円の価格で販売されています。

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ガラスの帆船に乗って、ルイ・ヴィトンの幻想の香りの旅へ

フォンダシオン・ルイ・ヴィトン © Fondation Louis Vuitton / Iwan Baan

©LOUIS VUITTON

「レ・ゼクストレ コレクション」という〝究極のルイ・ヴィトンの香り〟を理解するために必ず知っておかなければならないこと。それはフランク・ゲーリーのデザインにより、2014年10月に開館したフォンダシオン・ルイ・ヴィトン(ルイ・ヴィトン財団美術館)という巨大建造物についてです。

ガラス3600枚を使用したというこの〝空に浮かぶガラスの帆船〟こそが、このコレクションのインスピレーションの最大の源なのです。そして、あなたはこの〝ガラスの帆船〟に飛び乗り、ルイ・ヴィトンが生み出す空想の旅へと出発するのです。

それは、それまでの香水の調香における常識を飛び越え、「トップノート、ミドル(ハート)ノート、ラスト(ベース)ノートをなくすことで、各香調の真髄を浮かび上がらせた」(ジャック・キャヴァリエ談)香りなのです。

この香りのヴィジュアルが必ず浮遊しているのは、〝空に浮かぶガラスの帆船〟から見た幻想の香りだからです。そして、世界中のブティックにおいて並びが決まっているのも、この香りにはれっきとした物語が存在するからなのです。つまり〝空に浮かぶ空想の船〟の旅は、左から右に進行してゆくのです。

世界中に、恋愛、世界紀行、東洋の神秘、大自然をテーマにした香りは沢山あるのですが、意外なことに、幻想的な世界観をテーマにした香りはなかなかありません。このコレクションは、そんな幻想的な世界観をテーマとして取り上げた画期的な香りです。

ステラー タイムズ」でひとつの幻想の旅を終えたあなたが、次の新たなる幻想の旅の扉を開ける香り、それが6番目の香り「ミリアド」です。さてここで「ステラー タイムズ」の記事の中で、カイエデモードが崇拝するフレグランス・スペシャリスト様が予言のように放ったこの一文を引用させてください。

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〝THE END〟ではなく〝To Be Continued〟の香り


ダンシング ブロッサム」からはじまる「レ・ゼクストレ コレクション」の〝天空の旅〟は「ステラー タイムズ」によりいよいよ終点に到着します。

最近改めて思うことがあります。それは『終わりとは何かのはじまりである』ということです。そして、その観念は「ステラー タイムズ」にも当てはまるように思えます。

つまり、この香りをもって一つの物語(=天空の旅)が終わるのですが、それは全ての終わりではなく、また何かがはじまる予感がする、そんなワクワク感が秘かに隠し味として加えられている香りだと思います。

〝THE END〟ではなく〝To Be Continued〟の香り、全身に星ぼしのきらめきを浴びて、さらなる冒険の一歩を踏み出したくなる〝希望を乗せた香り〟なのです。

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暗黒の旅の果てに、〝輝ける未来〟があると教えてくれる香り

©LOUIS VUITTON / Florian Joy

©LOUIS VUITTON / Florian Joy

ウードは、2002年にトム・フォードアルベルト・モリヤスと共に「M7」を生み出した時からずっと今まで私を魅了してきた特別な香料です。それは他のすべての香りを内包しているかと思わせるほど奥深いものです。

「レ・ゼクストレ」の特徴である流動性と軽やかさをウードに与えるため、花々の光で貫くことにより、まるで虹色の光を放つダイヤモンドのようにウードの輝きが解き放たれてゆきます。

ジャック・キャヴァリエ

暗黒の旅の先にある、新たなる希望の香り〟は、蒼き狼のようなウードの咆哮と共にやってきます。パンデミックの中、宇宙に向かうファンタスティック・ヴォヤージュを描き上げた前五部作から一転し、パンデミックが明け、世界中を股にかけて旅に出る、暗黒への怖れと、その先にある喜びを感じさせてくれます。

駆け抜けるように煌びやかなウードの香りが満ち広がる中、二酸化炭素で抽出されたメイローズとアンブレットシードが、甘やかなムスクの五彩を放ちながら、うっとりするほど神秘的で多面的なローズの香りをウードの中に注ぎ込んでゆきます。

二酸化炭素で抽出したメイローズ・アブソリュートと、ブルガリア産ローズのエッセンスにゼラニウムエキスを配合し、丸みをプラスしました。ミリアド」では、ウードがローズやゼラニウムの精油によってもたらされる光を浴びて完璧に溶け、力強く対照的な特徴を生み出します。

ジャック・キャヴァリエ

どこか、うつくしい女性の甘くて熱い吐息のような、めまいを感じさせるウードローズに吸い込まれていくようです。この香りの唯一無二な点は、魂を抜かれていくような〝究極の抱擁の瞬間〟を生み出すところにあります。

さらにルイ・ヴィトンのカプシーヌが展示されている売り場を思わせるサフランのレザーのような香りと、温かなカカオ(コートジボワール産でグラースで精油を抽出)、モスがひとまとめになった、独特な安らぎに満ちた温かさで包み込んでくれるのです。

「ミリアド」は、真っ暗闇の道を突き進んでいく先にある栄光の輝きを素肌に伝えてくれる香りです。

実は、真っ暗闇の中で気づかない幾千もの漆黒の輝きを全身で受け止め〝人生のボーナストラック〟を掴んでいくという〝人生謳歌の香り〟とも言えます。一番暗いウードの旅の先には、朝日が昇るような人生のハイライトが待っているんだよと、元気付けてくれる香りなのです。

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香水データ

香水名:ミリアド
原名:Myriad
種類:オード・パルファム
ブランド:ルイ・ヴィトン
調香師:ジャック・キャヴァリエ
発表年:2023年
対象性別:女性
価格:100ml/101,200円
公式ホームページ:ルイ・ヴィトン


シングルノート:グラース産メイローズ、ブルガリア産ローズエッセンス、ウード、カカオ、サフラナール