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クリスチャン・ディオール

【ディオール】ディオーリング(ポール・ヴァシェ)

クリスチャン・ディオール
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ディオーリング

原名:Diorling
種類:オード・トワレ
ブランド:クリスチャン・ディオール
調香師:ポール・ヴァシェ
発表年:1963年
対象性別:女性
価格:日本未発売

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ムッシュ・ディオールに捧げる鎮魂の香り

©DIORBEAUTY

©DIORBEAUTY

ディオールから、クリスチャン・ディオール(1905-1957)の死後はじめて、1963年に発表された「ディオーリング」は、〝Darling=ダーリン〟をもじり命名された香りです。

ムッシュ・ディオールが愛した母と作り上げたグランヴィルの邸宅≪レ リュンブ≫の英国式庭園をモチーフにしたフローラルとレザーがブレンドされたシプレ(ベルガモット、パチョリ、オークモスによって構成)の香りは、「ミス ディオール」を調香したポール・ヴァシェにより調香されました。

1927年にランバンの「アルページュ」を手がけた後、その調香師人生のほとんどをルガリオンに捧げたポール・ヴァシェが、ムッシュ・ディオール亡き後に、彼に対する鎮魂の香りを生み出すために一度だけ戻ってきたのでした。

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〝洗練されたディオール〟を伝えるレザーシプレの香り

マルク・ボアンのディオール・ファースト・コレクション。1961年 ©Christian Dior

『アラベスク』でディオールを着るソフィア・ローレン、1966年。

グリーンシプレで装飾された花々とレザーが交錯するこの香りは、輝くような太陽の光を感じさせるベルガモットとビターオレンジが降り注ぐ中、パウダリーなイリスバターと成熟したビターグリーンなヒヤシンスが広がっていくようにしてはじまります。そして厳かなカリオンのようなスズランが響き渡るのです。

すぐにムッシュが愛したグランヴィルの庭園から摘みとったばかりのローズとジャスミンが新鮮かつ温かな香りを漂わせてゆきます。そして魔法のようにオークモスとレザー(ラブダナム)、アニマリックなムスクが注ぎ込まれ、バターのように滑らかに磨き上げられたレザーがエレガントに素肌に広がる、魅惑の50年代の輝きで満たしてゆきます。

はじまりから終わりまで、ディオールのイブニングドレスのように、あらゆる面でスムーズなパフォーマンスで身体を包み込んでくれる、ムッシュ・ディオールの鎮魂歌に相応しい香りです。

洗練されたディオール〟を知りたい21世紀の人々に、特に〝洗練とは無縁の客層に侵食されているディオール〟にうんざりしているZ世代にこそ、理解してもらえるであろう〝ムッシュが丁寧に作り上げた、本物の古き良きディオールのクリエイション〟を素肌で堪能できる香りです。

ボトル・デザインも同じく「ミス ディオール」を担当したGuerry Colas( ゲリー・コラス)により担当されました。シャネルの「キュイール ドゥ ルシー」(1924)ロベール・ピゲの「バンディ」(1944)グレの「カボシャール」(1959)の流れを汲むレザー・フレグランスのスタンダードです。

2012年には、ディオールの専属調香師フランソワ・ドゥマシーにより再調香されました。こちらはより石鹸のようなホワイトフローラルとレザーシプレのハーモニーが特徴となっています。

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香水データ

香水名:ディオーリング
原名:Diorling
種類:オード・トワレ
ブランド:クリスチャン・ディオール
調香師:ポール・ヴァシェ
発表年:1963年
対象性別:女性
価格:日本未発売



トップノート:ヒヤシンス、ベルガモット
ミドルノート:アイリス、エジプト産ジャスミン、ローズ、スズラン
ラストノート:ベチバー、ムスク、パチョリ、オークモス、レザー