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ジェームズ・ボンドダニエル・クレイグ

『007 スカイフォール』Vol.2|ダニエル・クレイグとベン・ウィショー

ジェームズ・ボンド
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新生Q=ベン・ウィショーの登場

新しいマネーペニー(ナオミ・ハリス)と、Q(ベン・ウィショー)の登場は、間違いなく007シリーズを、ネクスト・レベルに引き上げる役割を果たしました。

特に、ベン・ウィショー(1980-)が、素晴らしいです。絶対に実戦が弱そうでありながら、すっとぼけた表情で放つ一言多いところと、母性愛をくすぐるその存在感、そして、ファッションモデルのようなファッションセンスの良さ(どこか捉えどころのない存在感も含め)が、ジェームズ・ボンドのトム・フォード・モードに相反する光の乱反射を投げかける役割を果たしています。

今までのボンド・ムービーに足りなかったもの。それはオシャレな現代っ子の存在でした。それが新生Qの登場により、私たちは〝トム・フォード×ダニエル・クレイグによるボンド・モード〟の普遍性を確信することになったのでした。

この新生Qを誕生させた衣装デザイナー、ジャニー・ティマイムは、『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』(2004)以降の全シリーズの衣装を担当したことが、サム・メンデスに評価され、ボンドムービーの衣装を担当することになりました。そういった流れを知ると、ハリー・ポッターと新生Qのスタイルに共通点が感じられるはずです。

ちなみにQの登場は2002年の『007/ダイ・アナザー・デイ』以来で、4代目となります。

新しいQが画面上で着用しているものはすべて、意図的に非常に高価です。 それはテクノロジーやコンピューターの億万長者の服装に似ています。Qが非常に高価なお店に行ってカーディガンを買う姿を想像しました。彼はファッションにも拘りのある人なのです。

ジャニー・ティマイム

ベン・ウィショー。これからのボンドムービーを担う秘密兵器。

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ボンドムービーに出演するとは夢にも考えていなかった人。

ベン・ウィショー。イギリスの貴公子。

Qを演じることにかなり緊張しました。 ただし、ある意味では、すでに他の多くの俳優が演じているシェイクスピアの役(2004年に舞台『ハムレット』が絶賛され〝ネクスト・オリヴィエ〟と呼ばれた)を演じるのと少し似ています。 今ではその感覚にはすっかり慣れました。 あまり自分に負担をかけないようにして、ただ自分が見たままのキャラクターを演じるようにしています。

ベン・ウィショー

ある日、サム・メンデス監督から夕食の招待を受けたとき、ベン・ウィショーは、シェイクスピアのプロジェクトについて話し合うのだと勘違いしていました。

そして、ボンドムービーの新作のQ役のオファーを持ちかけられて心の底からびっくりしたのでした。10代の頃にピアース・ブロスナンの作品は何本か見ましたが、他の作品を見た記憶はありませんでした。 そして改めていくつか見てみて、007/ロシアより愛をこめて』の世界観にとても惹きつけられました。

はじめて撮影に参加したシーンは、ボンドとナショナル・ギャラリーで初対面するシーンでした。朝3時からはじまったこのシーンのハイテクオタクな専門用語や複雑な登場人物の名前が入り混じったセリフに、シェイクスピア劇の天才もかなり苦戦したと回想しています。ベンは計5日間の撮影に参加しました。

ちなみにダニエル・クレイグとは、ベンが17歳のときに映画『ザ・トレンチ(塹壕)』で競演していました。

自分がまったく専門ではない分野の専門家を演じるのはとても楽しかったです。 私はテクノロジーに関してはまったく絶望的で、コンピューターすら持っていません。 しかし、私はこれらすべての技術情報を、あたかも自然なことであるかのように引き離さなければなりませんでした。彼とボンドの関係もとても楽しかったです。 

ベン・ウィショー

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ジェームズ・ボンドのファッション3

トレーニング・スタイル
  • プーマのブルーのトレーニングトラックスーツ、セットインスリーブ、フロントジップ、クルーネック
  • ネイビーブルーのワッフルニットクルーネックTシャツ
  • アディダスのガゼル2、2011年春コレクション(ガゼルは1968年に誕生)

アディダスのガゼル2

007復帰を目指しトレーニングするボンド。このシーンのボンドは珍しくオメガをつけていない。

思いがけなく登場するアディダスとプーマの共演。

監督のサム・メンデスと打ち合わせしているダニエル・クレイグ。

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ジェームズ・ボンドのファッション4

ジェームズ・ボンド復活のスーツ
  • トム・フォードのプリンス・オブ・ウェールズ・チェックスーツ、スリムノッチラペル、3つボタンの真ん中のみ留められている、シングルベント、サイドアジャスターのトラウザー
  • スカイブルーのポケットチーフ
  • トム・フォードのダークブルーのシルクネクタイ、フォアインハンドノット
  • トム・フォードのスカイブルーのコットンポプリン・ドレスシャツ、ボンド初のタブカラー
  • トム・フォードのカフリンクス、ラテン語で「ワールド・イズ・ノット・イナフ(Orbis Non Sufficit)」というモットーが記されたボンドの家紋入り
  • クロケット&ジョーンズのブラック・カーフレザーのダービーシューズ「ハイベリー」
  • オメガのシーマスターをアクアテラにアップグレード

トム・フォードのカフリンクス

クロケット&ジョーンズの「ハイベリー」

トム・フォードのスーツには、ダニエルの目にぴったり合うライトブルーとスカイブルーのシャツを選びました。

ジャニー・ティマイム

そして、2着目のトム・フォード・スーツが登場。

ナオミ・ハリスのマネーペニーのスタイリッシュな雰囲気との相性も抜群です。

ボンド・スーツのスタイリッシュさが良く分かるアングルです。

ナロータイとジャケットのラペルの幅の相性を学ぶ絶好の教科書。

無精ひげ以外は隙のないスタイルです。

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ブラックウールのオーバーコート

新しいQと会うために羽織っているオーバーコート

立ち姿もとても美しい。

姿勢ひとつで同じファッションの見え方がこれだけ変わるもの。

アストンマーティンにもたれかかるオーバーコートを着たボンド。

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新生Q=ベン・ウィショーのファッション1

プリティ・グリーン・パーカー
  • オアシスのボーカリスト、リアム・ギャラガーによるブランド、プリティ・グリーンコーヒーブラウンのフード付きフィッシュテール・パーカー、2011年秋冬コレクション
  • メゾン・マルジェラのダークグリーンのコットンモールスキンジャケット、2つボタン
  • リース(Reissのピンクとライトグレーのストライプシャツ
  • ジグザグ柄の黒のシルクタイ
  • ヘンツィ・マンのネイビーとプラムチェックのトラウザー
  • ブルースニーカー
  • Univo U5C1 アイグラス

ボンドとQが一緒になった最初の瞬間、ボンドに彼をただのオタクか学生だと思わせたかったので、ダッフルコートを着用してもらいました。

ジャニー・ティマイム

とても印象的なアイグラスと、個性的なヘアスタイル。

コットンモールスキンジャケットにフィッシュテール・パーカー。

ナショナル・ギャラリーでの撮影。英国王立演劇アカデミー出身だけあり、姿勢が良いベン・ウィショー様。

「秘密兵器は壊さずに返してくださいね」

プリティ・グリーンのフィッシュテール・パーカー

作品データ

作品名:007 スカイフォール Skyfall (2012)
監督:サム・メンデス
衣装:ジャニー・ティマイム
出演者:ダニエル・クレイグ/ハビエル・バルデム/ベン・ウィショー/ベレニス・マーロウ/ナオミ・ハリス