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バーバリー

【バーバリー】バーバリー ハー オードトワレ(ルイーズ・ターナー)

バーバリー
©Burberry
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バーバリー ハー オードトワレ

原名:Burberry Her Eau de Toilette
種類:オード・トワレ
ブランド:バーバリー
調香師:ルイーズ・ターナー
発表年:2022年
対象性別:女性
価格:10ml/6,160円、30ml/7,700円、50ml/11,440円、100ml/15,950円
販売代理店ホームページ:ラトリエ デ パルファム

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2022年、バーバリー帝国は再び衰退に向かう中、香水は興隆する。

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2022年までの「バーバリー ハー」シリーズ ©Burberry

1856年にトーマス・バーバリーにより、大英帝国で創立されたバーバリーが、(1989年にユニリーバに買収される)ベスコ・フレグランス社と提携し、最初のフレグランスを発売したのは1981年のことでした。しかし、この頃から1990年代にかけて、バーバリーのブランド力は落ちてゆき、存亡の危機に立たされていました。

そんな中、1997年にバーバリーのCEOに就任したローズ・マリー・ブラボー(1951-)は、帝国復活の施策として、2001年にクリエイティブ・ディレクターとして若干29歳のクリストファー・ベイリー(1971-)を抜擢しました。

彼は、1994年にダナ・キャランにより見出され、1996年にトム・フォード王朝下のグッチでレディース部門のシニアデザイナーに抜擢され頭角を現した人でした。ローズ・マリーは、バーバリーの存在感が薄かった北米市場攻略を、最重要視しました。そして2005年までの在任中に、ベイリーの起用が見事に当たり、帝国復活の目的を達成したのでした。

しかし、時は経ち、2018年3月にベイリーは退任することになりました。ここ数年業績が悪化していたので、新しい空気を入れるための判断でした。そして新しいクリエイティブ・ディレクターに2005年から2017年までジバンシィで活躍していたリカルド・ティッシが就任しました。

1990年代以降、バーバリーは、インターパルファムとライセンス契約し香水を作っていましたが、2017年10月以降はコティが手掛けています。

2022年1月1日(日本発売は2022年4月13日)に発売された「バーバリー ハー オードトワレ」は、「バーバリー ハー」シリーズ第五弾となります。この香りは、同年9月末に退任したリカルド・ティッシの栄光を称える水となりました(そして後任にダニエル・リーが就任しました)。EDP版と全く違うこの香りは、ルイーズ・ターナーにより調香されました。

この時期、バーバリーは、2017年7月から2021年12月まで率い、ライセンスを止め、ビューティ事業の不振も打開し、帝国復活を果たしたマルコ・ゴベッティCEOの後継であるジョナサン・エイクロイドによるラグジュアリー路線がはじまろうとしていた時期でした(結果的に、ブランドの壊滅的衰退を招く)。

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「バーバリー ハー」シリーズでもっとも人気のある香り

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日本国内において「バーバリー ハー」シリーズの中で最も人気があると言われているこの香りには、EDP版のようなホイップクリームやストロベリーショートケーキの甘ったるさはまったく存在しません。

シャキっとみずみずしいグリーンペアーと、摘み立てで甘酸っぱいストロベリー、酔わせるブラック カラントが絶妙に溶け合い、晴れやかなフルーティーさを肌を透かして心に届けてくれるようにしてこの香りははじまります。

新鮮なフルーツの鮮やかな色彩と、手に取った瞬間に感じる自然の匂い、舌をとろけさせるような食感、そういった感覚が、嗅覚を通じて肉体に伝わり、心躍らせます。

すぐにピンクペッパーが注ぎ込まれ、フルーティなシャンパンが素肌を洗い流してゆきます。そしてピオニーとハニーサックルが春を謳歌するように、その素肌の上に、のびやかに花を咲かせてゆきます。共にしずやかに咲く、フレッシュグリーンなスズランと品よくパウダリーなローズが、ふんわりとしたムスクの風に乗り、ピオニーと果物の蜜をひとまとめにしてゆきます。

特にハニーサックルの甘さが、透き通るようなペアーにとろけていくような蜜の感覚を与えてくれています。

細くしなやかな指で、新鮮な果実や花々を摘んでいくように、シダーウッドがムスクと結びつき、明るく朗らかな艶やかさで包み込んでくれます。とてもフレッシュで軽やかなフェミニンな香りです。

広告キャンペーンは、2020年にマリオ・ソレンティにより撮影された二代目ミューズ、フラン・サマーズの写真と動画が使用されています。

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この香りのイメージは、20世紀のイタリア式コメディ映画。

ティント・ブラス監督の名作『MONELLA』(1997)

太陽の下で裸足で自転車に乗るお姉さん。イタリア式コメディの定番。

この香りのイメージとして瞬時に浮かんだのが、明るくて開放的なお姉さんがタンクトップとミニスカートで裸足で自転車を乗り、人々の間を、春風のように駆け抜けていく、朗らかなお色気です。

昭和のお色気のおおらかさがこの香りにはあります。それがシリーズの中でも最も人気のあるポイントなのでしょう。ストレートな健康的なお色気を前にして微笑ましさを感じるあの感情がボトルの中に納められているような香り。

小さなことにくよくよしなくなる、元気を与えてくれる、少しどんくさいところが憎めない、癖になる香りです。洗練されて、隙の無い香りも良いのですが、そういった香りに対して、心が疲れてしまう時に、ピッタリな、ダメな自分を許してくれる〝微笑みの水〟だと思います。

ルイーズ・ターナーという調香師の素晴らしさ。それは彼女は、メゾンマルジェラの「レイジーサンデーモーニング」をはじめとする〝頑張らなくてもいい香り〟を生み出せるところにあると思います。

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香水データ

香水名:バーバリー ハー オードトワレ
原名:Burberry Her Eau de Toilette
種類:オード・トワレ
ブランド:バーバリー
調香師:ルイーズ・ターナー
発表年:2022年
対象性別:女性
価格:10ml/6,160円、30ml/7,700円、50ml/11,440円、100ml/15,950円
販売代理店ホームページ:ラトリエ デ パルファム


トップノート:ピオニー、グリーンペアー、ストロベリー、ブラックカラント、ピンクペッパー
ミドルノート:ハニーサックル、ローズ、スズラン
ラストノート:ムスク、シダー