究極のフレグランスガイド!各ブランドの聖典ページ一覧にすすむ
ディプティック

【ディプティック】ウード パラオ(ファブリス・ペルグラン)

ディプティック
©Diptyque
この記事は約5分で読めます。

ウード パラオ

原名:Oud Palao
種類:オード・パルファム
ブランド:ディプティック
調香師:ファブリス・ペルグラン
発表年:2015年
対象性別:ユニセックス
価格:75ml/28,270円
公式ホームページ:ディプティック

スポンサーリンク

ディプティック初のウード・フレグランス

©Diptyque

私はジュエリーを作るようにこの香りを生み出しました。ウードとは調香師にとってダイヤモンドのようなものですから、まずはそれを最も美しく輝かせることからはじまるのです。私たちはまるで宝石商がダイヤモンドを扱うようにウードを扱います。

ファブリス・ペルグラン

ディプティックから2015年10月に発売された「ウード パラオ」は、ラオス産のパラオ種に由来した名の香りです(最高級のウード=沈香は、樹齢80年から120年のジンチョウゲ科アキラリア属の木の樹液から生まれます)。2年の歳月をかけて、ファブリス・ペルグランにより調香されました。

非常に紛らわしいのですが、この香りに本物のウードが一切使用されていない可能性が高く、使用されているとしてもごく少量のウードがブレンドされたウードアコードが使用されています。

事の始まりは、(2006年以降クリエイティブ・ディレクターの役割を担っている)ミリアム・ バドーが、グラースにあるファブリスのラボで、ウードをディプティックの香りのラインナップの中に入るか否かの実験でした。

そのために、手に入るだけの天然のウードエッセンスを元に、ウードアコードをいくつか作り、2人が気に入ったウードアコードにベチバー、インセンス、パチョリなどを加えていきました。そして、基本のベースとしてローズとバニラをブレンドすることにしたのでした(天然ウードではなく、ウードアコードを使うメリットは、飼いならすことが出来ることです)。

次に、3人の創業者のうちの一人であるクリスチャンヌ・ゴトロがかつて建築家としてゼリージュ・モチーフを多用していたので、そういった中東の文化とディプティック的な地中海を連想させるものを融合させてみようと考えました。

最終的にドバイからインスピレーションを受けたこの香りは、グスタフ・クリムトの絵画、貴重なジュエリー・アートの創造性といった要素も組み込みながら、煌びやかなジュエリーのようなウードの香りとして誕生することになったのでした。

ちなみにファブリスにとって人生で最も重要な3つの香水は、セルジュ・ルタンスの「フェミニテデュボワ」とイヴ・サンローランの「オピウム プールオム」、そして、伝説のウード・フレグランスである「M7」です。

ウードは、新しいパチョリです。もはや人々は、クリーンな〝me too〟フレグランスを求めていません。強くて、クリエイティブな香りの時代が戻ってきたのです。

ミリアム・ バドー(2015年)

スポンサーリンク

ローズウードの中に潜むアイリス

ローズとウードの組み合わせは、新しいものではありません。しかし、インセンスとアイリスをそこに加えたことはとても斬新なことです。

ファブリス・ペルグラン

世界で最も高価な木材と言われているアガーウッド(ウード、沈香)は、リキッドゴールドとも呼ばれ、ウードオイルは純金の1.5倍の価値があります。ウード1kgから僅か1~1.2mlのウードオイルしか抽出できません。そして、ウード1kgの相場は8000ドルから3万ドルです(伽羅は1kg10万ドルで取引されることもある)。

アガーウッドが高価な理由として最も知られていない事実は、その木の10本に1本の割合でしか、アガーウッドを作り出せない上に、外見からは認識できないため、手当たり次第に伐採されていることです。

そんなウードオイルを模したウードアコードを使用したこの香りは、新鮮なブルガリアン・ローズの香りからはじまります。すぐに現れるウードアコードと、マダガスカル産バニラが滑らかにブレンドされ、スパイシーフローラルウードとなります。

カンファーのような独特なグリーンノートがこの香りに素敵なアクセントを加えてくれています。

そこに、フランキンセンス(インセンス)の風が、濃厚な空気を少しずつ円やかなものに変えてゆきます。さらに甘いラムとスモーキーなタバコが全体に深みを与えます。そして、ブルガリアン・ローズは馥郁に開花してゆくのです。

ローズが前面に出るのではなく、インセンスの風と共に、ひとつの芳香が薄れて行くごとにアーシーなパチョリにより花びらが一枚一枚開いてゆくようにローズが少しずつ存在感を表すように香り立ちます。この香りにおけるローズはとても新鮮で、グリーンな側面と、フローラルな側面、さらにはフルーティーな側面まで見せてくれます。

最終的に、ローズは枯れ、ドライローズとなり、サンダルウッドとラブダナムが、先のインセンスと結びつき、バニラ風レザリーウードの中に、素肌にゼリージュ・モチーフを描きこむようなエキゾチックな余韻を残してくれます。

この香りには、確かにローズウードの香りに人々が求める芳醇さとミステリアスなムードが存在しています(ごく稀に香る不潔な何物かが中毒性を生み出している)。

いつも明るい笑顔を見せる白い歯がトレードマークの美人のお母さんが、スリットの入った真紅のイブニングドレスに身を包み、白い歯ではなく、ルージュの口紅で周囲を魅了するようなディプティックのイメージを覆す香りとも言えます。

ディオールの「ウード イスパハン」と比較されやすい香りです。

スポンサーリンク

香水データ

香水名:ウード パラオ
原名:Oud Palao
種類:オード・パルファム
ブランド:ディプティック
調香師:ファブリス・ペルグラン
発表年:2015年
対象性別:ユニセックス
価格:75ml/28,270円
公式ホームページ:ディプティック


シングルノート:ラオス産ウード、ブルガリアン・ローズ、タバコ、ラム、スペイン産シスタスラブダナム、スリランカ産サンダルウッド、インドネシア産パチョリ、マダガスカル・バニラ、インド産シプリオール、ソマリア産フランキンセンス