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【ジャン=ポール ゴルチエ】ココリコ(オリヴィエ・クレスプ/アニック・メナード)

ジャン=ポール・ゴルチエ
©JeanPaul Gaultier
ジャン=ポール・ゴルチエ
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ココリコ

原名:Kokorico
種類:オーデコロン
ブランド:ジャン=ポール・ゴルチエ
調香師:オリヴィエ・クレスプアニック・メナード
発表年:2011年
対象性別:男性
価格:日本未発売

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早すぎたスーパースター。まぼろしのゴルチエの『第三の男』

©JeanPaul Gaultier

これまで作ってきたフレグランスとは違うものを作りたいと思いました。今回は力強く、フレッシュで、男性的な香りが欲しかったんです。だからウッディな香り、ハーブや植物の香りをイメージしていました。そのためイチジクが入っているのです。

ジャン=ポール・ゴルチエ

ココリコ」とは、フランス語でニワトリの鳴き声を意味します。第一弾メンズ・フレグランス「ル マル」(1995)で大成功を収めたジャン=ポール・ゴルチエが、第二弾メンズ・フレグランス「フルール ド マル」(2007)で成功しなかった名誉挽回として、2011年9月に世に生み出したのが、この第三弾メンズ・フレグランスでした。

ウッディ・カカオの香りはオリヴィエ・クレスプアニック・メナードにより調香されました。よく考えると「エンジェル」を生み出した男と、「ロリータ レンピカ」を生み出した女が競演した香りです。

男性の頭部をモチーフにしたブラックボトルがとても印象的で、横から見ると「ル マル」の男性のトルソーに見えます。キャンペーン・モデルは、トム・フォードが監督した『シングルマン』(2009)にも出演したファッション・モデルのジョン・コルタジャレナ(1985-)が起用されました。ジャン・バプティスト・モンディーノにより撮影されました。

2012年にはキャンペーン・モデルとして新たにアンドレア・ペジックが選ばれました。トランスジェンダー・モデルの彼女は2011年1月に行われたパリ・コレクションでゴルチエのランウェイから、ランウェイ・デビューを果たしていました。

ブランドとして過去最大級のPR予算を割いたにも関わらず、フランスでも世界的にも全く売れず、大失敗作となり、速やかに廃盤となりました。

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木の薫りただよう高級旅館で食べるチョコレートスイーツの香り

©JeanPaul Gaultier

©JeanPaul Gaultier

「エンジェル」と「ロリータ レンピカ」がクリーミーなチョコレートに溶け込んでいったならどんな香りになるのでしょうか?そんな幻想を現実のものに変えてくれるのが、ゴルチエの「ココリコ」です。

ピリっとシャープなフィグリーフのグリーンの閃光からこの香りははじまります。爽やかに大自然の輝きを感じさせるとてもうつくしいイチジクのグリーンの側面が、ガルバナムのニュアンスと共に広がっていきます。

すぐにイチジクのミルキーさが素肌の上を駆け抜けてゆきます。そしてゆっくりと決して焦らずに、(ビターで埃っぽい)天然のカカオが、男の逞しい肉体にダークに溶け込んでゆきます。この香りの稀有な部分は、これから先の瞬間にあります。まさに「ココリコ」のテーマである〝雄鶏の誇らしげな叫び、男の戦士の勝利の叫び、喜びに満ちた若者の叫び〟の幕開けとなります。

主役とも言えるパチョリがカカオに濃厚なチョコレートのような香ばしさを与えながら、注ぎ込まれるアンブロキシドとトンカビーン、(土っぽい)ベチバーによりクリーミーなチョコレートが素肌を磨き上げるように引き延ばされてゆくのです。

やがて遠くからほんのりとスパイシーなシダーウッドが軽やかに品よく広がり、チョコレートとウッドの独特な余韻で満たしてくれます(イソEスーパーとジヒドロミルセノールの安定感のあるフュージョン)。

日本には上陸しなかったこの香りがもし今日本に上陸したなら、かなりの話題となることでしょう。端的に表現すると、木の薫りただよう高級旅館で食べるチョコレートスイーツの香りです。

ゲランの「ランスタン ド ゲラン プール オム」(2004)とよく比較される香りです。

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香水データ

香水名:ココリコ
原名:Kokorico
種類:オーデコロン
ブランド:ジャン=ポール・ゴルチエ
調香師:オリヴィエ・クレスプアニック・メナード
発表年:2011年
対象性別:男性
価格:日本未発売


トップノート:フィグリーフ
ミドルノート:パチョリ、カカオ
ラストノート:ヴァージニア・シダー、ベチバー、アンブロキシド