レディー ヴェンジェンス
原名:Lady Vengeance
種類:オード・パルファム
ブランド:ジュリエット・ハズ・ア・ガン
調香師:フランシス・クルジャン
発表年:2006年
対象性別:女性
価格:50ml/11,865円、100ml/16,170円
あなたの中に眠る〝復讐の女神〟が目覚める。
ニナ・リッチの創設者であるニナ・リッチを曾祖母に持ち、その息子でありニナ・リッチの名香「レール・デュ・タン」をプロデュースしたロベール・リッチを祖父に持つロマーノ・リッチ(1978-)。
彼は、4年間香水業界で学んだのち、フランシス・クルジャンを口説き落とし、2006年12月にシェイクスピアが純粋無垢の象徴として描いたジュリエットが拳銃を手に取ったならというコンセプト=「21世紀に拳銃と共に蘇ったジュリエット」でニッチ・フレグランス・メゾン、ジュリエット・ハズ・ア・ガンを創立しました。
そして「ロックがロマンスに出会った時に何が生まれる?」をコンセプトに、はじめの2作品のうちのひとつとして発売されたのが「レディー ヴェンジェンス」でした(共に発売されたのは「ミス・チャーミング」)。共にフランシス・クルジャンにより調香されました。
さらにこの香りは、2005年に世界公開されたイ・ヨンエ主演、パク・チャヌク監督の『親切なクムジャさん』(英語題:Sympathy for Lady Vengeance)の世界観、つまり赤いアイシャドウと白いケーキを通して描き上げた復讐の赤いバラの香りと言えます。
真紅のバラを燃やして、復讐の炎で、鋼鉄の銃弾を溶かしてゆくのよ!
〝復讐の女神〟と名付けられたこの香りは、バラの中でも最もトゲの多いブルガリアン・ローズが、鋼鉄の銃弾の中に閉じ込められたメタリックなローズとなり、フレッシュでフルーティーに炸裂するベルガモットと共に、素肌に到来するようにしてはじまります。
すぐに最初から最後まで現れては消える陽炎の如しフレンチラベンダーが、鋼鉄の銃弾を溶かしていくように甘く広がります。そして赤いアイシャドウは塗られるのです。真紅のブルガリアン・ローズは、パチョリと混じり合い、その緑に輝く棘を愛で燃やして、血と汗と涙を流しながら、高らかに、そして清らかに復讐の誓いを立てるように、気高く咲き誇るのです。
それはまさにロマーノが、この香りに求めていた「自分らしい生き方を手に入れるために愛への情熱を胸に秘めた、自立した女性を目指す女性のためのフレグランス」というコンセプトそのものです。
やがて白いケーキがあなたの心を満たしゆくのです。そんなムスキーバニラとアンブロキシドが蝋燭のようにゆらめいて、身を焦がすような赤ワインが心の隙間に注ぎ込まれていくのです。
暗闇を失われた愛で燃やしていく真っ白なムスクの余韻
(フレッシュすぎず、スパイシーすぎない)クラシックなローズの香りを、モダンでゴシックな21世紀の女性たちに向けて生み出した〝現在のジュリエットのための香水〟というコンセプトに相応しい香りです。
この香りの素晴らしさは、枯れたローズが、バニラとパチョリにより〝復讐の女神〟として蘇り、素肌の上で、身を透かして心にまでたどり着き、ふたつがひとつになり、暗闇を失われた愛で燃やしていく真っ白なムスクの余韻にあります。
品質は明らかに違うことはともかくとしてフレデリック・マルの「ポートレイト オブ ア レディー」とよく比較される香りです。何よりも、銃弾の形をしたアトマイザーが素敵です。
2008年10月25日に日本上陸するも、販売代理店ワイズポリシープラスの親会社ワイズポリシー(映画配給会社であり「ブロークバック・マウンテン」や「ラスト、コーション」を配給した会社でした)が2009年6月に倒産し、わずか1年で撤退しており、幻のフレグランス・メゾンとなり、現在に至ります。
タニア・サンチェスは『世界香水ガイド』で、「「復讐の女」という名前。マクベス夫人に石けんをぬりたくったみたいな香りにふさわしいが、これは素敵にまじめな生徒のようなフレグランス。レモンウッディな感じで清潔。品のいいフルーティなローズ。復讐なんて、嘘でしょ。」と3つ星(5段階評価)の評価をつけています。
香水データ
香水名:レディー ヴェンジェンス
原名:Lady Vengeance
種類:オード・パルファム
ブランド:ジュリエット・ハズ・ア・ガン
調香師:フランシス・クルジャン
発表年:2006年
対象性別:女性
価格:50ml/11,865円、100ml/16,170円
トップノート:ベルガモット、ラベンダー
ミドルノート:ブルガリアン・ローズ、モロッコ産ローズ、パチョリ、イソEスーパー、ゼラニウム
ラストノート:アンブロキシド、バニラ、ホワイトムスク