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ペンハリガン

【ペンハリガン】ザ ダンディ(ファブリス・ペルグラン)

ペンハリガン
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ザ ダンディ

原名:The Dandy
種類:オード・パルファム
ブランド:ペンハリガン
調香師:ファブリス・ペルグラン
発表年:2024年
対象性別:ユニセックス
価格:100ml/33,550円
販売代理店ホームページ:ラトリエ デ パルファム

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ウイスキーのエステル香と、CO2抽出したオークチップが溶け合う。

©Penhaligon’s

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ペンハリガンがお届けする「ザ ダンディ」は、ウイスキーへのウッディな頌歌。スモークの雲に包まれ、騒々しいヒールの退廃を追って、四方八方から茶目っ気がやってくる。すべての抑制を捨てよ、友よ。ひとたびこの階段を降りれば、パーティは永遠に終わらないのだから。もう一杯ウイスキーはいかがですか?

公式ホームページより

ペンハリガンから2024年9月4日に発売された「ザ ダンディ」は、ファブリス・ペルグランにより調香されました。この香りのテーマは、狂騒の20年代のイギリスと、1920年から1933年の禁酒法時代のアメリカです。それは禁じられたモノを嗜む背徳感と大人が非日常な空間で恍惚感に浸る、そんな夜を具現化した特別な香りです。

特にこの香りのために、特別にCO2抽出で得られたSFEグレードのオークチップが、ウッディさの中に、ドライとスモーキーさが同居する新しい次元をもたらしています。この深みと質感が加わることにより、ダンディズムから連想される時代を超越したエレガンスを呼び起こしています。

香水において、ウイスキーの香りは贅沢で洗練された感覚を呼び起こします。この香りは、干し草、リキュール、セロリを思わせる豊かで複雑な香りです。温かく、ウッディでスモーキーなアコードで、しばしば特別なラクトンから再構成され、独特の液状のニュアンスを与えます。

ファブリス・ペルグラン

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ダンディズムの定義とは?

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ダンディズムをボトルに封じ込めたこの香りの背景を理解するための良薬は、中野香織様が書かれた『ダンディズムの系譜』(2009)を拝読することでしょう。この優れた名著を読み進めながら、この香りの中に身を置いていくと、目の前の霧がすうっと晴れていくような感覚に包まれていくことでしょう。

この方の文章は全てに隙がなく素晴らしいのですが、中見出し、小見出しを選びあげていくだけで、ダンディズムとは何ぞやということを伝えてくれます。以下、その素晴らしい中小見出しを列挙してゆきます。

  • ダンディとジェントルマンの違い
  • ダンディズムは進化する
  • 無関心をもって、敵の価値を無にする離れ業
  • 輝くこともできるのに、輝こうとはせずにいる、潜んだ火
  • うわさされるよりもさらに悪いことは、うわさされないこと
  • ダンディズムは作り込まれた個性の結果、個性そのものの発露ではない
  • 知らなくていいことばっかり、学びすぎたのさ
  • 一杯のカクテルのようなダンディズム
  • 自信のなさを魅力に変える男
  • マンネリズムが生むブランド力
  • 事実は鋭い剣、読書は剣をふるうための筋トレ

さらにここに、中野香織様が、多様性に満ちたダンディズムの構成要素を列挙されたものを加えれば完璧でしょう。

  • 服装、振る舞いなど、外見の表現に、意志がある。
  • その服装やふるまいが、世間の常識に対し、抵抗ないしアイロニックな批判となっている。
  • 類例や代替がない。唯一無二、オリジナルな存在である。
  • 軽蔑とあこがれ、嫌悪と崇拝、嘲りと愛情、というように、相反する感情を同時にかきたてる。
  • 肯定よりも、否定が似合う。
  • 生産性よりもむしろ、破滅・蕩尽において輝く。
  • 男としての美しさの可能性を見せてくれる、ロマンティックな存在。
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〝ノージェンダーなダンディズム〟の香り

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「ザ ダンディ」を三つの言葉で表現するとするなら、独立心があり、洗練された、快楽主義者です。この香りはウッディ・アンバーのカテゴリーに入ります。ウッディノートの温かみと、シトラスのフレッシュさに、アンバーとパチョリのリッチさが融合しています。この組み合わせが、時代を超越しながらもモダンな、洗練された大胆なフレグランスを生み出しているのです。

素肌に乗ると、ダイナミックなフレッシュさからウッディな温かさ、洗練された男らしさへと、自信をもって進化します。最後に、肌に残る官能的な温かさとスモーキーなアンダートーンがもたらされます。

ファブリス・ペルグラン

心の中に作られた禁じられた部屋の扉にかけられた南京錠に、振りかけられるフルシェイカーされたウイスキー・ベースのカクテル。そして錠から解き放たれた部屋の中に、潜んでいたダンディズムが、禁酒法時代の隠れ家のような違法バーで演奏されるジャズバンドの演奏のように、五感を震わせてゆくのです。

はじまりは、ピリっと颯爽としたベルガモットとセドラに、頬からかすかに漂う口紅の跡のような、甘酸っぱいラズベリーが振りかけられるようです。そこにアーシィなチョコーレートを思わせるパチョリが加わり、フルーツパチョリが素肌を満たしてゆきます。

と同時に、温かなオーク材と酔わせるウイスキーが注ぎ込まれ、全身を磨き上げるように広がってゆくのです。素肌で感じるこの口当たりこそ、まさにダンディズムの本質を捉えているようです。つまりその人それぞれに、様々なウイスキーのコクとエステルが、その人の奥深い魅力をきらめく光で浮き上がらせてくれるのです。

やがてシダーウッドとアンブロックスが、成功の甘き香りの余韻で包み込んでくれるのです。そしてオークがスモーキーな余韻を残してゆきます。

ダンディという言葉が感じさせる重たさではなく、最初から最後まで、踊るように軽やかなのがこの香りの特徴です。この香りの精神は、あくまで2020年代のダンディズムであり、〝ノージェンダーなダンディズム〟なのです。

アールデコ調のボトル&ボックス・デザインが、シックでクールな扉の向こうにある、華やかなダンディズムの世界へと導いてくれるであろう期待感を募らせてくれます。

キリアンの「ストレート トゥ ヘブン」とよく比較される香りです。

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香水データ

香水名:ザ ダンディ
原名:The Dandy
種類:オード・パルファム
ブランド:ペンハリガン
調香師:ファブリス・ペルグラン
発表年:2024年
対象性別:ユニセックス
価格:100ml/33,550円
販売代理店ホームページ:ラトリエ デ パルファム


トップノート:ベルガモット、ラズベリー、セドラ
ミドルノート:ウイスキーアコード、オークチップ、シダーウッド
ラストノート:パチョリ、クリアウッド®、アンブロックス