トレードルート コレクション
Trade Routes Collection 1870年にウィリアム・ヘンリー・ペンハリガンが設立したイギリスのフレグランス・ハウス、ペンハリガンは、イギリスの伝統的なフレグランス・ブランドであるという一面とは別に、ヨーロッパの映画監督やオペラ演出家などの貴族の血統を引く芸術家たちを魅了してきました。しかし、この華麗なる英国ブランドは、新世紀を迎え、時代から取り残されようとしていました。
滅亡への一途を辿っていたペンハリガンを復活させたのは一人の女性でした。サラ・ロザラムという名のこの女性は2007年にペンハリガンのジェネラル・マネージャーに就任し、僅か7年間で900万ポンドから3500万ポンドに売り上げを上げ、ブランドを見事に復活させたのでした。
そんな女帝が、最後に残したコレクションが、2014年に生み出された「トレードルート コレクション」でした。
ペンハリガンの古代世界への旅
女帝サラ・ロザラムが、最後に残したコレクション「トレードルート コレクション」は、2007年1月からずっと彼女の右腕として活躍していったナタリー・ヴィンチグェッラという元々ロレアルで7年間キャリアを積み、香水に関するベストセラー作家となった女性のクリエイティブ・ディレクター(~2015年12月)と共に、生み出した〝白鳥の歌〟でした。
それは新しい香りのイメージを探し、シャッド・テムズを散策していたときに、多くの建物や通りの名が、そこに保管されていたであろう異国からの輸入品にちなんで名付けられていることに気づいたことからはじまりました。当初はひとつのフレグランスだけが予定されていました。
ペンハリガンが創業された頃(1870年)の英国・ロンドンは世界の貿易(トレード)の中心でした。その船着場には、世界の最果てから到着した、華美でデカタンな高級品や希少な香辛料、異国情緒あふれる植物や動物、怪しい宝物がうず高く積まれていました。
そんな19世紀末のロンドンは、世界中の古代世界につながる〝ロマンとミステリーと冒険心〟に満ちた場所だったのでした。そんなロンドンの船着場にインスピレーションを得て生み出されたのが「トレードルート コレクション」でした。