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イヴ・サンローラン

【イヴ サンローラン】Y MEN オーデトワレ(ドミニク・ロピオン)

イヴ・サンローラン
©YSL Beauté
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Y MEN オーデトワレ

原名:Y For Men
種類:オード・トワレ
ブランド:イヴ・サンローラン
調香師:ドミニク・ロピオン
発表年:2017年、2022年
対象性別:男性
価格:60ml/12,100円
公式ホームページ:イヴ・サンローラン

2017年版

2022版

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2017年に発売された「Y MEN オーデトワレ」

©YSL Beauté

2000年にYSLパルファムを買収したグッチ・グループのトム・フォードは、YSLボーテの復興という一大野心を果たすため、シャンタル・ルースをYSLボーテの最高責任者として起用しました(2007年まで)。彼女の力量により、YSLのメイクアップ部門は5年間で56%の成長を遂げました。

彼女こそが、1976年から1990年までイヴ・サンローラン・パルファムのインターナショナル・プロダクト・ディレクターとして「オピウム」「パリ」などのクリエイティブ・ディレクターの役割を果たし、1992年には、イッセイ・ミヤケの最初の香水「ロー ドゥ イッセイ」も作り上げたオゾン革命の立役者でした。

2002年1月にイヴ・サンローラン(1936-2008)が引退し、さらに2004年4月、トム・フォードは、グッチ及びイヴ・サンローランのクリエイティブ・ディレクターを辞任しました。その後、シャンタルの指揮により、YSLからはじめて発売されたフレグランスが、2006年に発売された「ロム」でした。この香りは、イヴ・サンローラン存命中に発売された最後のメンズ・フレグランスとなりました。

「ロム」は、2007年にフランスで6番目に売れたメンズ・フレグランスとなり、見事にその役割を果たしました。そして2008年6月に、イヴ・サンローラン・ボーテがPPRグループ(現ケリング)からロレアルに買収された後に、「ラ ニュイ ド ロム」(2009年)などの人気フランカーを輩出してゆきました。

11年の時を経て、2017年10月24日に発表された新しいメンズ・フレグランス「Y MEN オーデトワレ」は、25歳でフランス人人工知能研究者、29歳でアメリカ人彫刻家、22歳でイギリス人ラッパーといった若きクリエイター達に、この香りのイメージを体現しているように20代から30代の男性をメインターゲットにした香りです。

〝ジェネレーションY(1980年代から1990年代生まれの、何事にもY=WHYの精神を忘れない大胆な創造性を持つ世代)― 現代のYSL MENに贈る新たな香り〟と銘打たれたこの香りは、ドミニク・ロピオンにより調香されました。

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「ブルー ドゥ シャネル」「ソヴァージュ」に続く、ブルーの香り。

©YSL Beauté

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イヴ・サンローランのアイコンである白いTシャツと黒いテーラードジャケットからインスパイアされたこの香りは、爽やかに弾けるベルガモットとレモンに、発泡するアルデハイドとメタリックなミントが溶け込み、パリッとした清潔なTシャツを着るような清潔感からはじまります。

すぐにジューシーなパイナップルとアップルが、フルーティな明るさを満ち広がらせてゆきます。そして活気のあるジンジャエールが注ぎ込まれ、スモーキーなセージとピリっとしたゼラニウムが加わり、ソーピィーなスパークリング・フゼアが素肌を駆け抜けていくような解放感に包まれてゆきます。

だんだんと前奏曲のようにシトラスが落ち着いてくると、「Y」を象徴するアンバーグリスとファーバルサム、シダーウッドが加わる〝海と木と果実のシンフォニー〟が、クリーミーな温かな甘さと塩辛さで素肌を満たしてくれます。何よりも、興味深いのは、どこからともなく、ふいに女性のくちづけを受け止めるようなフェミニンなヴァイオッレットリーフがやって来るところです。

やがて、インセンスとムスクのしずやかさが、すべてをひとまとめにし、涼しくもアロマティックな余韻で満たしてくれます。

2010年のシャネルの「ブルー ドゥ シャネル」、2015年のディオールの「ソヴァージュ」に続く、ブルー・フレグランス=合成アンバーグリス・フレグランスの流れにYSLも乗った香りと言えます。

ボトル・デザインはシャープでミニマルな構造ですが、鋼のように逞しいシルバーのYのレリーフでガラスの2面を囲むように飾られ、背面にはY字型の切り欠きがあり、特徴的です。

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2022年に生まれ変わった「Y MEN オーデトワレ」

©YSL Beauté

©YSL Beauté

「Y MEN オーデトワレ」は、2022年6月3日に、ミネラルウッディフレグランスとして生まれ変わりました。「ソヴァージュ」のジョニー・デップに対抗するかのように、レニー・クラヴィッツをアイコンとして起用したのは、若い世代だけをターゲットにするのではなく、全年代をターゲットにするためでしょう。

オリジナルには存在しなかったフランス・プロヴァンス産のラベンダーがふんだんに使用されています。海水で洗われた新鮮なベルガモットが弾け、発泡するアルデハイドと混ざり合うようにして〝新しいY〟ははじまります。すぐに、スイカやパイナップルを思わせるフルーティな香りが加わってゆきます。

そしてフレッシュなラベンダーとジンジャーとセージが、うっとりするほど甘くて美しいグリーンの輝きを注ぎ込んでゆきます。やがてここにアンバーグリスとシダーウッドの温かな甘さとひとまとめになり、オリジナルより遥かに優れた持続力で、まるでシャワーから出てきたばかりのリフレッシュした気分で満たしてくれます。

バハマのエルーセラ島(レニーは、家と小さなレコーディングスタジオを持っている)で撮影されたレニー・クラヴィッツのキャンペーン・フィルムに流れている1993年の大ヒット曲「自由への疾走 / Are You Gonna Go My Way」のアレンジが、この香りのイメージを反映しているように思います。

〝永遠に美しい男〟とは、変化しているようで、変わらず、進化し続けている男のことを示す。この香りのイメージはまさにそれだと思います。「Y MEN オーデトワレ」は、美しく年を重ね変化していくフレグランスなのかもしれません。

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香水データ

香水名:Y MEN オーデトワレ
原名:Y For Men
種類:オード・トワレ
ブランド:イヴ・サンローラン
調香師:ドミニク・ロピオン
発表年:2017年、2022年
対象性別:男性
価格:60ml/12,100円
公式ホームページ:イヴ・サンローラン

2017年版

トップノート:ホワイト・アルデハイド、ベルガモット、ジンジャー
ミドルノート:セージ、ゼラニウム・アブソリュート、ヴァイオレット・リーフ
ラストノート:アンバーグリス、インセンス、ファーバルサム、シダー、ムスク

2022版

トップノート:アルデハイド、ベルガモット、ジンジャー、オリバナム
ミドルノート:ラベンダー、ゼラニウム、クラリセージ
ラストノート:アンバーグリス、シダーウッド、バニラ