ヴァーラ
原名:Vaara
種類:オード・パルファム
ブランド:ペンハリガン
調香師:ベルトラン・ドゥシュフール
発表年:2013年
対象性別:ユニセックス
価格:50ml/17,600円、100ml/24,750円
インドのマハラジャが、孫娘の誕生を記念して創造させた香り
インド北西部のラージャスターン州の都市ジョードプルは、 旧市街の家屋の壁が青く塗られている事から、ブルーシティと呼ばれています。ヒンドゥー王朝・マールワール王国(13世紀-1947)の元王都です。
そして、かの地の最後のマハラジャ、ウメイド・ガジ・シン2世(1948-)は、4歳のとき、父の急死によりマハラジャとなりました。彼は、世界最大の私邸ウメイド バワン宮殿を所有しています(大部分はホテルとして運営)。
この香りは、ガジ・シン2世が、2011年に孫娘の誕生にあわせて、ペンハリガンに依頼して作らせたプライベート・フレグランスです。「ヴァーラ」とは、〝祝福〟と〝そよ風〟を意味し、そして、何よりも彼の孫娘の名前なのです。
「これなら市場に乗せることが出来る!」
2010年にベルトラン・ドゥシュフールに調香が依頼された時点では、まだ孫の性別は分からない状況でした。そのため、性別にはこだわらないで香りを作ってほしいということになりました。
早速、ベルトランは、香りのイメージを膨らませるために、ジョードプルに飛び、宮殿から庶民のマーケットまで全ての色彩と香りを貪欲に吸収していきました。
かくして2011年にこの香りが誕生しました。本来、オーダーメイド・フレグランスは、これで終了となるのですが、ペンハリガンの首脳部が、この香りを嗅ぎ、「これなら市場に乗せることが出来る!」と考え、好人物でも有名なガジ・シン2世の許可を取り付け、2013年に一般発売されることになったのでした。
限りなく透明に近いオリエンタルローズの香り
〝ローズに新しい生命を吹き込む〟ことに成功した香り、それが「ヴァーラ」です。それはピンクローズがあつまり、ブルーローズガーデンを誕生させるという〝限りなく透明に近いブルーなローズガーデン〟の香りの物語なのです。
まず最初に、摘み取ったばかりの甘くて酸っぱいジューシーなマルメロ(洋ナシとリンゴの中間のような香り)に、キレ味抜群のコリアンダーとクリーミーメタリックなサフランが振り掛けられてゆきます。そして、透き通るようなローズウォーターが注ぎ込まれ、素肌の上を流れていくようにしてこの香りははじまります。
新鮮なサラダを思わせるキャロットシードがこの香りのトリックスターであり、マルメロと組み合わさり新たな魅力を発散しているサフランとローズウォーターとひとまとめになり、そこにミルキーなサンダルウッドが重なり、叙情的なモーニングの焼きたてのパンのような匂いが広がるのです。
すぐに、マハラジャのウメイド バワン宮殿に咲き誇るローズを素肌に再現するかのように、モロッコ産ローズのアブソリュートとブルガリア産ローズのエッセンスが、ローズの側面を補い合い、限りなく透明に近いブルーローズの香りを生み出してゆきます。
そして、最初から最後まで存在するサンダルウッドが大いなるマハラジャのようにあなたを見守る中、ブルーローズの香りが豊かに広がるように、マグノリア、フリージア、アイリスといった花々が加わり、円やかなスパイスに愛される夕陽のような黄金色の蜂蜜のシャワーを浴びていくのです。
やがて、ムスクの風に乗り、うっとりするようなクリーミーなサンダルウッドとトンカビーンがすべてを甘い余韻で包み込んでゆきます。そうなのです、この香りは〝限りなく透明に近いオリエンタルローズの香り〟なのです。
香水データ
香水名:ヴァーラ
原名:Vaara
種類:オード・パルファム
ブランド:ペンハリガン
調香師:ベルトラン・ドゥシュフール
発表年:2013年
対象性別:ユニセックス
価格:50ml/17,600円、100ml/24,750円
トップノート:マルメロ、ローズウォーター、キャロットシード、コリアンダー、サフラン
ミドルノート:モロッコ産ローズ、ブルガリア産ローズ、フリージア、インド産マグノリア、ピオニー
ラストノート:蜂蜜、ホワイトムスク、シダー、サンダルウッド、ベンゾイン、トンカビーン