アン エテ フランセ
香水名:アン エテ フランセ
原名:Un Été Français
種類:オード・パルファム
ブランド:セリーヌ
調香師:不明
発表年:2025年
対象性別:ユニセックス
価格:100ml/42,900円、200ml/64,900円
公式ホームページ:セリーヌ
エディ・スリマンの〝最後のセリーヌ〟の香り

©Celine

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2018年1月にセリーヌのチーフデザイナーに就任したエディ・スリマンの指揮下、2019年11月15日から2022年10月7日にかけて、新生セリーヌ初のフレグランス・コレクションとなる「セリーヌ オート パフューマリー コレクション」11種の香りが発売されました。
そして、2024年6月20日に12番目の香りとして「ズーズー」が発売され、2025年4月17日に13番目の香り「アン エテ フランセ」が発売されました。
メゾンが大切にしてきたテーマ、自由と軽やかな存在を表現した〝ヌーヴェルヴァーグ〟世代の回想にインスパイアされた〝フランスの夏〟と名付けられたこの香りのテーマは〝サントロペの夏の昼下り〟です。
エディのラスト・セリーヌ=2025年春夏コレクション

©Celine

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セリーヌのアイコンでもあるニコ。
パリのファッションウィークの寸前に、セリーヌは、2025年春夏コレクションの開催をランウェイショーではなくデジタルショーとして行うことを発表しました。そして2024年9月29日に「アン エテ フランセ」というコレクション名を冠したデジタルショーが公開されました。
このショーは、エディ・スリマンがテーマ曲として選抜したヴェルヴェット・アンダーグラウンドとニコが1966年に発表した「Femme Fatale(宿命の女)」が流れる中、10代の幻滅と失恋を描いたフランソワーズ・サガンの小説『熱い恋』(原題:ラ・シャマード)のムードを、ファッションを通して21世紀に転生させたものでした。
さらに2024年に逝去したフランソワーズ・アルディをはじめとするジェーン・バーキン、ジュリエット・グレコといった60年代から70年代のフレンチ・アイコンたちの美学と、エディ自身の2003年のロンドンとパリのユースカルチャーの記録からもインスパイアされていました。
デジタルショーの撮影は、パリの80㎞北にある、ヴァロワ朝第3代の王シャルル5世が1370年頃に宮殿を建てたコンピエーニュ城でエディ・スリマン自身により行われました。夏の別荘として歴代の王に愛されてきたこの城は、1751年からルイ15世により現在の姿に改築されました(1788年に完成)。
のちにこの城の森で、1770年5月14日にオーストリア皇女マリー・アントワネットと未来の国王ルイ16世は初対面することになります。フランス革命後、ナポレオン1世の命により、2番目の妻である皇后マリー・ルイーズを迎えるために修復され、ナポレオン3世と皇后ウジェニーのお気に入りの宮殿となりました。
まさに60年代のフレンチ・シックの極みを、エディが創造した21世紀のセリーヌの世界観に融合したこのコレクションを発表した直後の10月2日に、エディのクリエイティブ・ディレクター退任が発表されました(後任にマイケル・ライダー)。
このデジタルショーの中でさりげなく、ショーと同じ名が付けられたこの香りのフレグランス・ボトルが登場します。つまりこの香りは、エディのラスト・コレクションの一部であり、彼の〝最後のセリーヌ〟の香りなのです。
この香りのミューズは、三人のフランスの女神たちだ!

アナベル・ビュフェとジュリエット・グレコとフランソワーズ・サガン、1970年

アナベル・ビュフェ
「アン エテ フランセ」は、私がサントロペで過ごした6年間の夏へのノスタルジックなオマージュです。ラマチュエルのビーチハウスとその香り豊かな庭園で、アンニュイな夏に、きらめく地中海を眺めながら、ニコ、ジェーン・バーキン、フランソワーズ・アルディにどっぷり溺れていました。
この香りは、私が敬愛し、10年前にサンジェルマンで写真を撮ったジュリエット・グレコの思い出でもあります。彼女はラマチュエルの私の家のすぐ近くにあるラメゾン・ド・レスカレに住んでいました。
グレコとアナベル・ビュフェの若き日の姿が、自然なフランス流のエレガンスを漂わせながら、サントロペの古い村の路地で楽しく過ごしている姿に想いを馳せます。
「アン エテ フランセ」それはコート・ダジュールのビーチ、初恋、琥珀色のクリームのヴェールに包まれた、日焼けした黄金色の肌など、10代の頃の思い出への賛歌なのです。
エディ・スリマン
限りなくシンプルに、南フランスの夏を素肌で味わう
ハリエニシダ(ゴース)という小さな黄金の花の香りを中心に置いたこの香りは、南フランスの地中海沿岸にあるビーチハウスで夏のバカンスを過ごしているあなたが、太陽から回避するためにベッドルームで恋人とまどろんでいた昼下りに、海沿いの窓を開けた瞬間、吹き込んでくる潮風の香りからはじまります。
爽やかなベルガモットとビターなプチグレンのフレッシュグリーンの旋律が奏でられる中、すぐにクリーミーなネロリとハリエニシダの黄金の輝きに満たされてゆきます。
賑やかなリゾート地ではなく、静かで穏やかな時間が過ごせるプライベートなリゾート地のはずれで、贅沢な午後の地中海の息吹を全身で受け止めていくようです。
やがてパウダーのようなバニラが、青空の中に浮遊する太陽から解き放たれる光に、粉雪のような触感を与えながら、すべてをひとまとめに、黄金色に日焼けした素肌にとろけて匂い立たせてゆきます。
どこか花の蜜とココナッツのニュアンスも優しく感じることが出来る、まるで静かな時が流れる南フランスを舞台にしたフレンチムービーの中に身を置いているような、とても洗練された夏の香りに包まれてゆきます。
エディ・スリマンがセリーヌのために最後に残したこの香りは、ロックスターやタキシードとカクテルやナイトクラブの香りではなく、自然体のフランスを贅沢に堪能する〝限りなくシンプルに南フランスの夏を味わう〟ただただ心地良い香りなのです。
トム・フォードの「ソレイユ ブラン」やフレデリック・マルの「カーナル フラワー」とよく比較される香りです。
香水データ
香水名:アン エテ フランセ
原名:Un Été Français
種類:オード・パルファム
ブランド:セリーヌ
調香師:不明
発表年:2025年
対象性別:ユニセックス
価格:100ml/42,900円、200ml/64,900円
公式ホームページ:セリーヌ
シングルノート:プチグレン、バニラ、ネロリ、ベルガモット、ハリエニシダ