ラッシュ2
原名:Rush2
種類:オード・トワレ
ブランド:グッチ
調香師:ミシェル・アルメラック
発表年:2001年
対象性別:女性
価格:不明
グッチ帝国のバービーガール量産計画。
1999年当時のグッチのクリエイティブ・ディレクターは、トム・フォードでした。1994年にディレクター就任以来、グッチは奇跡の復活を遂げ、未曾有の黄金時代を迎えていました。そんな世紀末に、彼は一本の香水をプロデュースしたのでした。
「ラッシュ」という名のその香りの意味は、「急ぐ、猪突猛進する」です。しかし、真のコンセプトは、1980年代にアメリカで流行したドラッグから来ていました。つまりは〝絶対に夢中になってはいけない悪魔の香水〟を彼は作りたいと渇望したのでした。
シプレフルーティの香りとしてミシェル・アルメラックにより調香されたこの香りは、瞬く間に世界中の人々を虜にしたのでした。そして、トム・フォードはその熱が覚めやらぬうちに〝フレッシュなラッシュ〟を生み出そうと考えたのでした。
かくして同じ調香師による2001年の「ラッシュ2」の誕生と相成るのです。それはさらにバービーガールの世界を突き詰めたような香りでした。
究極のマテリアルガールを目指して。
派手なメイクが世界的に流行し、浜崎あゆみ・安室奈美恵が空前の人気を誇っていた世紀末。ギャル文化真っ只中の、SHIBUYA109(海外ではバービービルと呼ばれた)で出会うバービー人形のようなギャル達の熱気を思い起こさせるプラスチックのような人工的な香り「ラッシュ」。
まだ〝ギャル文化の最終兵器〟倖田來未が覚醒していない2001年に誕生した第二弾は、ムスクの風に乗って一斉に開花するフレッシュなフリージア、ローズ、スズランからはじまります。最初から、椰子の葉が、どこか非現実的なプラスチックのような幻想的な空気を漂わせてゆきます。
すぐにこの花々に、水仙、百合、ガーデニアといった花々が溶け合い、グリーン、ビター、スパイシー、みずみずしさが、ほんのり甘く素肌の上に映し出されていくのです。
そして、水気をたっぷり含んだブラックカラントがぷくっと弾けて広がってゆくのです。それがローズ、オークモスと結びついた瞬間、スパイスは消えてゆき、ほんのり酔わせるロゼのような爽やかな花々の香りが全身を満たしてゆくのです。
椰子の木に囲まれた、南国のリゾートホテルのプライベートプールに、ローズの花びらを舞い散らせ、そこに全身を浸らせるようなクリーンな官能性に包まれていきます。
「ラッシュ」のジューシーで甘酸っぱいピーチの代わりに、みずみずしいブラックカラントが登場し、〝グッチのミステリー〟をフレッシュに肌の上で展開してくれるのです。
真っ赤な唇、真っ赤なマニキュア、真っ赤なパンプスを連想させる、赤いボトルのデザインは、VHSのビデオカセットテープの形から想起されたものです。
ルカ・トゥリンは『世界香水ガイド』で、「ラッシュ2」を「フレッシュローズ」と呼び、「冴えないティーローズ・アコードの香りと、バナナの皮のような変な臭いが混ざった、まったく興味をそそられない香りだ。香料の構成を探り当てようと、ムエットにつけた香りを嗅いでいると、そのうちに駄作だと気づく。」と2つ星(5段階評価)の評価をつけています。
香水データ
香水名:ラッシュ2
原名:Rush2
種類:オード・トワレ
ブランド:グッチ
調香師:ミシェル・アルメラック
発表年:2001年
対象性別:女性
価格:不明
トップノート:フリージア、スズラン、ローズ
ミドルノート:パームツリー、水仙、百合、ガーデニア
ラストノート:ブラックカラント、オークモス、ムスク