究極のフレグランスガイド!各ブランドの聖典ページ一覧にすすむ
ペンハリガン

【ペンハリガン】ラケット(ファブリス・ペルグラン)

ペンハリガン
©Penhaligon's
この記事は約6分で読めます。

ラケット

原名:Racquets
種類:オード・パルファム
ブランド:ペンハリガン
調香師:ファブリス・ペルグラン
発表年:2021年
対象性別:ユニセックス
価格:100ml/25,630円

スポンサーリンク

ふたつの「ラケット」

©Penhaligon’s

©Penhaligon’s

英国のスポーツとダンディズムをテーマに香りを生み出そうというペンハリガンのアイデアからこの香りの創造ははじまりました。テニス・トーナメント、テニスラケット、そして、競馬を融合させるというアイディアです。

最初は馬術の世界をイメージしてレザー調の香水を作り、その後、ウィンブルドンの大会からもインスピレーションを受けました。そして、テニスラケットの革を想像しながら、時間をかけて創作を練り直していきました。

ファブリス・ペルグラン

かつてペンハリガンから1989年にフランシス・ピクタールにより調香され、発売されていた「ラケットフォーミュラ」は、テニスやクリケットなど、数々のスポーツの発祥の地である英国の誇りと伝統が表現された男性向けのフゼア調シプレの香りでした。

この頃、ペンハリガンは、シーラ・ピクルスから依頼を受けていたマイケル・ピクタールが、1989年に亡くなり、彼が1971年に創業していたCPL Aromasの調香師である甥っ子のフランシス・ピクタールが引き継ぐ形で調香に参加しました(恐らく、途中までマイケルが調香していた可能性があります)。そして2010年代前半に廃盤になりました。

そんな「ラケットフォーミュラ」を現代風にアレンジして、2021年7月21日に限定発売されたのが、「ラケット」です。ファブリス・ペルグランにより調香されました。

スポンサーリンク

1989年に生み出されたオリジナル版「ラケットフォーミュラ」


トップノート:ゼラニウム、レモン、ラベンダー、ベルガモット、リンデンブロッサム
ミドルノート:ローズ、シダーウッド、クローブ、イランイラン
ラストノート:アンバー、ムスク、オークモス、インセンス、ベチバー

名前は〝ラケット〟なのですが、英国の高級石鹸と高級バーバーショップがひとまとめになった香りであるオリジナルは、レモンとベルガモットがライムのように明るく弾ける中、ハーバルなラベンダーとスパイシーなゼラニウムが注ぎ込まれるようにしてはじまります。

フレッシュでソーピィーな香りに、クローブが加わり、シェービングクリームのような感触が広がってゆきます。そして、ドライなシダーウッドとその木陰で咲くローズとイランイランの甘やかさに包まれてゆきます。

やがて、スモーキーなインセンスとムスクの風に乗り、オークモスとベチバーがすべてをひとまとめにして、爽やかで軽やかなパウダリーシプレの余韻で満たしてくれます。

スポンサーリンク

「私は飛ぼう。白いボールになって!」

©Penhaligon’s

©Penhaligon’s

シトラスのブレンドは、エネルギーとダイナミズムを与え、特に、レモンエッセンスは、フレッシュさ、明るさ、新鮮さ、そしてある種の輝きと喜びをもたらしてくれます。

ガイアックウッドは、スモーキーなエレガンスと共に、リッチさと安定感をもたらします。アンブロックスは、磁力と中毒性、官能性を加えてくれます。ウッドレザーは、ウッディでレザーのような質感のあるファセットで、エレガントで洗練された上質な英国のダンディズムの典型を表現しています。

ですが、この香りはジェンダーレスなフレグランスと言えます。私がこの香りを作り上げたとき、美しい天然素材のおかげで、女性的または男性的な部分を強調することなく、無限のエレガンスと豊かさを与えることができたと考えています。

ファブリス・ペルグラン

爽やかな青空の下、静まり返ったウィンブルドンの観衆をハイスピードで撮影したものです。

チャンドラー・バール

2021年に限定発売された「ラケット」は、テニスにインスパイアされた香りですが、1989年に発売された「ラケットフォーミュラ」とは全く違う香りです。

一番はじめに遭遇するのは、キラキラと輝くレモンの流星です。(ジャスミンのような)パラディソーネがレモンにスパークリング感を与え、まるでテニスコートで弾ける白いボールが太陽に照らされ、レモンに見えるようです。そんなとても快活なはじまりです。

すぐにレモンの渦巻く流星が、スモーキーなガイアックウッドの森に降り注いでゆくのです。ラケットの木と革の感触を感じさせる滑らかに色気のあるウッドレザーの香りが広がってゆきます。

そして、ラケットと太陽に輝くレモン色をした白いボールの間に、心地よい汗が混じり合うように、アンブロックスとリンバノール(アクアノート)が、折れそうなラケットを優しく胸で抱きしめるような温かい余韻で満たしてくれるのです。

スポンサーリンク

憧れの人の愛用のテニスラケットを受け止める香り

『 エースをねらえ! 』©山本鈴美香/集英社・TMS

溌剌と元気いっぱいの岡ひろみに、エレガントにテニスウェアの上にトレンチコートを羽織るお蝶夫人が、愛用のテニスラケットを差し上げる瞬間を凝縮したような香りです。

ボトルのラベルとリボンは、英国のテニスの伝統的なウェアを連想させる白地に赤の配色が施されています。

ウィンブルドンのドレスコードである〝オールホワイト〟からもインスピレーションを受け、輝き、明るさ、フレッシュさを追求し、非常にピュアでシックな美学を「ラケット」に注ぎ込みました。

ベースノートは、英国スポーツと切っても切れないエレガンスと洗練された香りを配し、忘れられない香りの特徴となっています。

ファブリス・ペルグラン

ペンハリガンのフレグランスはとてもユニークなので、単独で使うのがベストだと思います。しかし、輝くようなフレッシュさと洗練された強さの二面性を持つ「ラケット」と「ハルフェティ」を重ねると、より輝くノートが強調され、官能的なアンバーとウッディがより魅惑的に香り立ちます。

ファブリス・ペルグラン

スポンサーリンク

香水データ

香水名:ラケット
原名:Racquets
種類:オード・パルファム
ブランド:ペンハリガン
調香師:ファブリス・ペルグラン
発表年:2021年
対象性別:ユニセックス
価格:100ml/25,630円


トップノート:レモンエッセンス、パラディソーネ
ミドルノート:ガイアックウッド
ラストノート:アンブロックス、リンバノール、ウッドレザー