マドンナは、自分を他人に任せない人です。
「ラ・イスラ・ボニータ」 1987年2月リリース。全米4位、全英1位
スペイン語で「美しい島」という意味のこの曲から、マドンナの本格的なラテン嗜好は開始されます。元々はマイケル・ジャクソンの『BAD』のアルバムに提供する予定だった曲です。マドンナはこの曲では、髪の色をプラチナブロンドからナチュラルなブルネットに戻しています。
1980年代は、スターがスター自身の情熱で生み出された時代でした。そして、それは明らかに現代のスターの生み出され方とは違うものです。今スターと呼ばれる人たちは、80年代よりも遥かに速いサイクルで、生きることを要求され、自分で考えるのではなく、スターを作り出すチームの中で、生きることを要求されるわけなのです。レディー・ガガやビヨンセ、リアーナという個人は今では存在せず、彼女たちのスター性を毎日創っていく人々に支配されて生きているのです。
だからこそ、もはや、スターは、自分の歌を歌わず、自分の好みも存在せず、ファッションも、何か他の要因によってそのスターに推し着せられているのです。それは、同じ状況に陥っているファッション・ビジネスと同じです。今では何かを生み出すのではなく、いかに速いサイクルでそれらしいものを、過去からアレンジして生み出すかということに終始しているのです。そして、その流れは限界点に到達しようとしています。もしかしたら、これからの時代のテーマは、スピードに流されない生き方なのかもしれません。
『ラ・イスラ・ボニータ』ライブ・パフォーマンス
フーズ・ザット・ガール・ツアー、1987年、イタリア。
コンフェッションズ・ツアー、2006年。