ライブ
原名：Live
種類：オード・パルファム
ブランド：ジェニファー・ロペス
調香師：ドミニク・ロピオン
発表年：2005年
対象性別：女性
価格：不明
七色に輝く、パイナップルの香りの隠れた傑作
©Coty Inc.
J.Lo旋風が世界中に広がっていた2002年に誕生したジェニファー・ロペス（1969－）の「グロウ」は、香水の歴史を変えた香りでした。この香りからアメリカを中心に、セレブリティ（ポップスター、ハリウッド女優）がシグネチャーの香りを生み出していくセレブリティ・フレグランス旋風を巻き起こしていったのでした。
そして翌2003年に「スティル」を発売した後、2005年に発売された第三弾フレグランスが、J.Loの踊ることへの情熱と喜びを表現した「ライブ」でした。セクシーなパイナップルの香りは、ドミニク・ロピオンにより調香されました。
この香りは、ドミニクにとってはじめてのセレブリティ・フレグランスとなりました。それは、安価な香料を駆使して、ジェニファー・ロペスに憧れる女性たちと、若い一般女性たちに対し、日常使いしたくなる香りを生み出すという、とてもハードルの高いミッションへの挑戦となりました。
何よりも大変なのは、この香りをJ.Loは身に纏っていると感じてもらう、もしくは、香りを嗅いだ瞬間に、J.Loを連想させる、そんな〝幻想〟を比較的安価なフレグランスに呼び覚まさないといけないことでした。
〝かわいいボク、はやく私をつかまえて〟と軽やかに駆け抜ける香り
©Coty Inc.
冷水に入れられていた摘み立てのパイナップルとオレンジ、レモンが、真夏の太陽の光の下に向かって飛び出していくように、素肌の上で、陽気にトロピカルフルーツが踊りだすようにしてこの香りははじまります。
トロピカルフルーツの香りによくある、キャンディのような媚びた甘さは一切存在せず、〝かわいいボク、はやく私をつかまえて〟と軽やかに駆け抜けていくような、カッコいい大人の女の健やかな色香を漂わせてゆきます。
すぐにパウダリーでスパイシーなヴァイオレットが、太陽の光をはじく盾となり、レッドカラントのピリっとした酸味とピオニーの甘さにより、（シトラスに引き立てられている）パイナップルに、J.Loのメリハリのある褐色の肉体が躍動するような、キレのあるパイナップルのジューシーな輝きで満たしてくれます。
やがて、J.Loのリズミカルな腰の動きと、引き締まった美脚に魅了されていくように、クリーミーなサンダルウッドと甘くて香ばしいトンカビーンと焦がしたキャラメルが控えめに注ぎ込まれ、まろやかなムスクの温かなメロウな余韻で満たしていくのです。
甘ったるいパイナップルではなく、スロウに素肌にとろけてゆく、絶妙なつけ心地の艶やかに煌めくパイナップル。エーゲ海や地中海というよりは、カリブ海のリゾートホテルのロビーで遭遇するような、ラグジュアリーなバカンスムードと、ラテンの溌溂とした危ういムードも感じさせてくれる香りです。
まさに2005年にビヨンセとデビッド・ベッカムと共演したペプシのコマーシャルのようなカッコ良さも兼ね備えたパイナップルの香りの隠れた傑作です。七色に輝くボトルのデザインもとても素敵です。
香水データ
香水名：ライブ
原名：Live
種類：オード・パルファム
ブランド：ジェニファー・ロペス
調香師：ドミニク・ロピオン
発表年：2005年
対象性別：女性
価格：不明
トップノート：パイナップル、シチリアン・レモン、イタリアン・オレンジ
ミドルノート：レッドカラント・ブロッサム、ピオニー、ヴァイオレット
ラストノート：キャラメル、サンダルウッド、トンカビーン、バニラ