誘惑の楽園
Island of Lost Souls ブロンディの実質的に最後のアルバムとなったのが『ザ・ハンター』(1982年、全米No.33、全英No.9)でした。そして、そこから2曲がシングル・カットされました。ファースト・シングルの「誘惑の楽園」は、南国のリゾート地を連想させる曲調です。もはやこの時代のデボラ・ハリーのファッションには見るべきものは何一つ御座いません。
ジェダイの騎士のようなボロルックと、ハワイアン・フラダンス・ルック、さらにジャッキー・チェンの「拳精」(1978)に出てきそうなおかっぱウィッグがただそこにあるだけです。であっても、このゆる~い歌い方は文句なしに私のツボに入ります。ちなみに撮影は、南の島ではなく、英国のシリー諸島で行われた。
概要
曲名:誘惑の楽園
原名:Island of Lost Souls
リリース:1982年
最高順位:全米37位、全英11位
ブロンディが歌うカリプソ
ブロンディがこの曲を作る少し前に、『007 ユア・アイズ・オンリー』の主題歌候補として、シーナ・イーストンと競い合いました。結果的には敗退したのですが、このエピソードは、ブロンディのイギリスでの人気の高さを示すものです。本来、ボンドムービーの主題歌候補としてアメリカ人グループの名前が挙がることはほとんどありません。
そんなチャンスを逃した後に作られたこの曲の原題は「魂を失った人々の島」なのです。それはまるで、このグループの当時の状況をそのまま反映させたタイトルでした。
以下、少し時代を過去に遡り、ブロンディ・ルックをいくつか見てみることにしましょう。
ブロンディ・ルック29 ボロスタイル
1979年に撮影された写真です。ダメージ加工されたオーバーサイズのボロトップス一枚を、ときにはワンショルダー・オープンしながら着こなしています。
デボラ・ハリーの凄さは、シンプルさの中に特上の洗練されたモード感を生み出せるところにあります。そして、そういった姿を滅多に披露しないのも、この人の狡猾な所なのです。最も魅力的な部分をなかなか見せてくれない人なのです。
ブロンディルック30 スウェット&ニット
スウェットとニットのミニワンピース。まさにタイムレスと言うよりもタイムリーなファッション・アイテムです(1979年撮影)。いかにして脚長効果が期待できるアイテムであるかと言うことを教えてくれるアイテムです。
スウェットの背中部分には、デボラの唇をイメージしたイラストが描かれています。これも今販売したら爆発的に売れるタイムレス・アイテムでしょう。
ちなみにニットの方は、デボラが来日した時に、東京で購入したものです。
ブロンディ・ルック31 ナンバーシャツ
1978年5月に撮影されたこの写真は、ブロンディのはじめてのUSツアーを前にして撮影されました。バンド自体が最も充実している時期の写真です。
そして、我らがデボラ嬢がお召しになるファッションは、10番とナンバリングされたスウェットとライトブルージーンズです。実に彼女らしいのは、ほとんど全てのスタイリングに、継続アイテムを投入しているところです。ここでは、ストリートマーケットで購入した日本製のゴルフ用サングラスと白のミュールを履いています。