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作品データ
作品名:泥棒成金 To Catch a Thief(1955)
監督:アルフレッド・ヒッチコック
衣装:イーディス・ヘッド
出演者:ケーリー・グラント/グレース・ケリー/ジェシー・ロイス・ランディス
オリエンタルを着るグレース・ケリー
グレース・ケリー・ルック7 パジャマ・ルック
- ペールブルーのコットン・パジャマ。トップスはYライン。帯。襟と袖に白の布地。パンツはルーズなシルエット
グレース・ケリー・ルック8 チャイナドレス・ルック
- ホワイトリネンのデイドレス。ノースリーブ。イエローのパイピング。マンダリン・ネックライン。イエローの細ベルト。ゴアードスカート
- 白のハンドバッグ
- 白かペールイエローのハイヒールストラップサンダル
最後の最後に最も〝禁断〟のカラーに身を包む
仮面舞踏会で全身ゴールドに身に包むグレース・ケリー。女性にとって一番困難なカラーチョイスとも言えるのが、ゴールドなのです。もうこのカラーでクルノリンのドレスをこしらえて着ることを課せられたならば、派手に振り切るしかないです。ここで初めてヘッドアクセと、イヤリングをグレースは身に着けます。
最後の最後に道を踏み外してくれる所が本当に本当に素晴らしいのです。グレース・ケリーという女優さんは、私の中ではしらっと深みのある芝居を見せてくれる人で、潜在能力から言うと、シャーリーズ・セロン並みの演技力と汚れ役が出来た人だと思います。だからこそ、ヒッチコックはグレースの復帰作として『マーニー』という非常に難しい役柄を依頼したのだと思います。彼女こそ年を重ねるごとに、メリル・ストリープ並みの味が出せたのではと思ってしまいます。少なくともただ美しいだけのファッション・アイコンではありません。
表面は慎ましやか。内面は炎のように燃える女性
セクシーとは、つまりイマジネーションをいかに刺激するかということ。その女性が〝特別の女〟と思わせられるほど、殿方というのは心を乱すものなのです。何もつけない身体ほどパーソナリティをドンドンなくし、〝ただの女〟になっていく。女性を裸にしてもそれは一瞬の興奮で人間はもっともっとと欲望をエスカレートさせていくものでしょう。だから、女優の官能性とは、どれだけ彼女を包み込むかの衣裳デザインにかかっているのです。
イーディス・ヘッド
性的に最も魅力的な女はイギリス女性だとわたしは思う。スウェーデン、北部ドイツの女性のほうが、ラテン系よりはるかに・・・。イギリス女性というのは女教師みたいなかたい表情をしてみせながら、いったんタクシーに乗り込んだら、自分のほうから男のズボンを脱がせにかかるような、そんな大胆さを秘めているからね。
アルフレッド・ヒッチコック
男性も女性も実に単純な所があります。想像力が逞しくない人は、すぐに裸を求め、想像力に富んだ人は、駆け引きを楽しみます。よく若い男性から性欲が失われているという指摘がなされますが、これほど、想像力の乏しい指摘はありません。真実は、若い男性は、裸の女性に飽き飽きとしており、もっと違う女性とのかかわり合い方を模索しているわけなのです。
中高年の男性よりも、今の若い男性の方が、洗練された男性になっていく可能性が高いでしょう。女性とセックスしたいという願望が、どれほど高くてもそれは所詮はポルノ男優的な数を誇る、もしくは〝イケメンでもないボクがセックスし放題です〟などという女性蔑視の生き方しか出来ないわけなのです(何を理屈をこねようとそこには何の真実の言葉も存在しません)。多くを知る人が女性を知るということではありません。本当に女性を知る人は、セックスまでの過程が〝苦悩と喜び〟に満ちていることを知る男性なのですから。
グレース・ケリー・ルック9 フェアリー・プリンセス・ルック
- 仮装用のゴールドラメイブニングドレス。18世紀のルイ王朝風。ゴールドメッシュのスカート
- ゴールドのオペラグローブ
- ソーセージカールウィッグとヘッドドレス
- ネックレスとドロップ・イヤリング