「あなたのダンスの芸術性は」という質問に対して…
芸術とは、なんのことでしょうか?それは私の足が生み出したことですか?だとしたらそれは、ただただきびしい労働です。訓練です。私は毎日の訓練のきびしさのなかで背中を痛めました。それでも必要なことはすべてやりました。
だから、もし芸術というものがあるとしたら、それは労働だと言うしかありません。それが芸術らしくみえたとしたら、それは大いに結構です。しかし本当はそれは純粋な労働でしかないのです。
「あなたのダンスの芸術性は」と質問された時のフレッド・アステアの答え。
フレッド・アステア(1899-1987)とリチャード・アヴェドン。躍動する二人の男性の存在があればこそ、オードリー・ヘプバーンは、この作品において永遠のファッション・アイコンとして昇華することが出来たのでした。
ハリウッド映画において、アステアがミュージカル映画の基礎を作り上げました。それは社交ダンスとタップダンスを融合し、映像映えするダンスを生み出したことでした。さらに、後にジャッキー・チェンが応用することになる、ダンスシーンに臨場感を生み出すために、長回しで撮影したのでした。
ディック・エイブリーのファッション4
ジャケパンスタイル
- アンダーソン&シェパードのこげ茶のジャケット、ノッチラペル、2つボタン
- ブルックス・ブラザーズの白のボタンダウン・シャツ
- ライトゲレーのニットタイ
- ワインレッドのポケットチーフ
- グレーのテーラードトラウザー
- スエードレザーのオックスフォード
アメリカの民主主義を体現する『階級のない貴族』
フレッド・アステアのスタイルの優雅さは、英国貴族のような堅苦しさではなく、英国のクラシックなスタイルとアメリカン・トラディショナル(=サヴィル・ロウとプリンストン)を融合した肩の力の抜けたエレガンスにあります。
それはまるで軽快なステップを踏むようなエレガンスなのです。ちなみにアステアは、10代の頃から、サヴィル・ロウでスーツを仕立てていたのでした。
スーツは、ネイビーブルーやチャコールグレー、ブラウンなど、伝統的で定番の色合いを好み、明るい色は、ライトグレーだけを良しとしました。そして、踊る時のことを考え、パンツはウエストラインが高めで、丈は短め、パンツの色と対照的な色の靴下を履き、足の動きに注目させるようにしていました(ちなみにアステアの身長は175cm)。
そして、シャツはパステルカラー(特にピンク)の無地でスリムフィットなものを愛しました。
ディック・エイブリーのファッション5
レインコートとスーツ
- ベージュのレインコート
- アンダーソン&シェパードのグレーのダブルスーツ
- ブルックス・ブラザーズの水色のボタンダウン・シャツ
- 水色のシルクタイ
- ワインレッドのポケットチーフ
- 水色のソックス
- ダークブラウンのペニーローファー
- ダークブラウンのフェドラ
イエロをうまく着こなす。
ディック・エイブリーのファッション6
オールホワイトルック
- ブルックス・ブラザーズのホワイトのボタンダウン・シャツ
- ホワイトトラウザー
- ホワイトスニーカー
- ブラックソックス
ディック・エイブリーのファッション7
カーディガン・ルック
- ブルックス・ブラザーズのホワイトのボタンダウン・シャツ
- バーガンディーのアスコットタイ
- 水色のカーディガン
- グレーのテーラード・ワイドパンツ
- スペクテイターシューズ
作品データ
作品名:パリの恋人 Funny Face (1957)
監督:スタンリー・ドーネン
衣装:ユベール・ド・ジバンシィ/イーディス・ヘッド
出演者:オードリー・ヘプバーン/フレッド・アステア/ケイ・トンプソン/ドヴィマ
- 【パリの恋人】オードリー・ヘプバーンの究極のファッション・ムービー
- 『パリの恋人』Vol.1|オープニング・タイトルとリチャード・アヴェドン
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- 『パリの恋人』Vol.5|赤いイブニングドレスのオードリー
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