キュイール28 ドバイ
原名:Cuir 28 Dubai
種類:オード・パルファム
ブランド:ル ラボ
調香師:ナタリー・ローソン
発表年:2013年
対象性別:ユニセックス
価格:1.5ml/990円、15ml/13,200円、50ml/29,700円、100ml/42,900円
公式ホームページ:ル ラボ
勇者にだけ与えられる〝ル ラボの最終兵器C-28〟
「キュイール28」はレザー、ウッド、ムスク、バニラをベースにしています。それは妥協のない強いレザー調が到達できる最後の極点です。しかし結局のところ、原料の選択が重要なのではありません。重要なのは結果であり、それが生み出す感情的な反応なのです。
エディ・ロスキー
ル ラボが出店している都市ごとの限定の香り「シティ エクスクルーシブ コレクション」。その中のひとつとして2013年に発売されたドバイ限定の香りが、「キュイール28」です。「キュイール」とはフランス語で〝革〟の意味です。
当初、2012年のはじめに発売される予定でしたが、香料の供給の問題があり、発売が1年以上延期された香りです。
レザーとウッドとアニマルの組み合わせに、ダークなバニラがブレンドされた香りです。ナタリー・ローソンにより調香されました。
この香りには、〝香りの三重苦〟が存在します。
まず最初に、香りが騒がしいこと、お次に、寿命が長く24時間以上持ち、シャワー程度では香りが消えないこと(更に服につければ30日間は香りが残る)、最後に、匂いではなく臭いであること。それを克服する勇者にだけ与えられる〝ル ラボの最終兵器C-28〟とも言える香りです。
ウードを排除し、〝人工的なオアシス〟を生み出した香り
中東と言えば〝ウード〟というイメージが強いのですが、この香りにはウードは一切入っていません(中東ではウードは生産されない)。
さて、ドバイの香りがなぜ〝革〟なのでしょうか?それはこの香りの〝革〟とは、加工された革と、生きた動物の〝皮〟もしくは人間の皮膚の両方を意味していると思われます。
このアニマリックで、(ほとんどの人が悪臭と感じる)動物園のような臭さは、まるで一週間お風呂に入ってない人肌から漂う腋のニオイ(腋臭)とも言えます。
ドバイという都市は、砂漠の上に建つ人工オアシスのような都市であり、ラクダレースでも有名です。この香りはある意味、タールが感じさせる石油の人工的な匂いと、ラクダのような動物を感じさせる臭いが合わさっているようです。
つまりは、これこそがドバイ(中東)の香りなんだという昨今人気のウードに対するルラボからの挑戦状であり、〝究極の体臭の香り=体臭が持つ、魔法のように第三者を惹きつけて止まない魅力を人工的に生み出した香り〟なのかもしれません。
汗とガソリンのない『イージー・ライダー』の香り
「汗とガソリンのない『イージー・ライダー』のようなイメージ」と紹介されているこの香りは、「女とスーツと拳銃のない『勝手にしやがれ』のようなイメージ」の香りとも言えます。
60年代後半のアメリカン・ニューシネマやヌーヴェルヴァーグの空気に触れるようにこの香りは、新鮮なベチバーに、熱を持ったスパイスが振り掛けられ、独特な妖気を発しながらはじまります。すぐに(ガソリンのような)タールとレザーが、(銃口の煙のような)スモーキーな側面を加えてゆきながら、襲い掛かるように匂いを疾走させてゆきます。
やがて、アニマリック・レザーのむせかえるような野生の旅へと香り全体が急転直下してゆきます。アンブロキシドとムセノンという通常はブレンドしない合成香料がシダーウッドと合間見えながら登場するのです。
そんなまず間違いなく困惑する香りの中で、救世主のように、上質なバニラ・アブソリュートがやってきて私たちを救出してくれます。それはまるでレザージャケットを着てバイクに跨り、疾走し、砂埃をあげるドバイの街中に嫌気がさして、砂漠へと進んでいき、遭難してしまった果てに見つけたオアシスのようです。
しかし、そこには誰もいなかった・・・日本でこの香りをつけることが出来る場所はあるのでしょうか?もしかしたら、今こそ、この香りは日本の男女にとって求められる香りなのかもしれません。野生の中に生まれた究極の人工オアシス=ドバイ、それは人工的なオアシスを求める現代人にこそ相応しい〝人工的な野生のレザー〟の香りなのではないでしょうか。
香水データ
香水名:キュイール28 ドバイ
原名:Cuir 28 Dubai
種類:オード・パルファム
ブランド:ル ラボ
調香師:ナタリー・ローソン
発表年:2013年
対象性別:ユニセックス
価格:1.5ml/990円、15ml/13,200円、50ml/29,700円、100ml/42,900円
公式ホームページ:ル ラボ
シングルノート:レザー、バニラ・アブソリュート、ベチバー、ムスク、アンブロキド、ムセノン