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ペンハリガン

【ペンハリガン】ブレナム ブーケ (ウォルター・ペンハリガン)

ペンハリガン
©Penhaligon's
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ブレナム ブーケ

原名:Blenheim Bouquet
種類:オード・トワレ
ブランド:ペンハリガン
調香師:ウォルター・ペンハリガン
発表年:1902年
対象性別:男性
価格:30ml/13,420円、100ml/25,960円
販売代理店ホームページ:ラトリエ デ パルファム

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ペンハリガンの歴史を象徴する、エドワード朝時代の英国貴族の香り

1701年から1714年にかけてイギリス(イングランド王国)とフランスが覇権を争うスペイン継承戦争が勃発しました。そして、イギリスの総司令官に任命されたマールバラ公ジョン・チャーチルは、ブレンハイムの戦い(1704年8月13日)でフランス軍に大勝利しました。

この恩賞として、マールバラ公は、アン女王よりオックスフォードの領地を与えられ、かの地にブレナム宮殿を建設したのでした。

のちにウィンストン・チャーチル(1874-1965)が生まれることになるこのブレナム宮殿にインスピレーションを得て、ペンハリガンから1902年に生み出されたのが「ブレナム ブーケ」です。

正確には、この香りは、第9代マールバラ公からオーダーを頂き、創業者ウィリアム・ペンハリガンの息子ウォルター・ペンハリガンによって調香された彼のための香りなのです。

1882年にウビガンから「フジェール ロワイヤル」、1889年にゲランから「ジッキー」が誕生し、男性にとっても新しい香水文化=フゼアがはじまろうとしていた時代に、トンカビーンもアンバーグリスも配合せずに生み出された「ブレナム ブーケ」。

この香りは、時代の流れに合わせたのではなく、個人の嗜好に合わせ生み出されたエドワード朝時代の英国貴族の香りが、〝不滅の香り〟となって現代も残る稀有な例とも言えます。

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ウィンストン・チャーチルも愛用していた香り

若き日のウィンストン・チャーチル。

その後のウィンストン・チャーチル。

そして、第7代マールバラ公の次男の子ウィンストン・チャーチルも愛用していた香りです(ちなみに彼が愛したもうひとつの香りはフローリスの「スペシャルNo.127」)。

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オーソドックスで的確なスーツスタイルの守護神

©Penhaligon’s

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この香りこそは、ペンハリガンというブランド、英国の伝統と奢り、時代遅れ、揺るがぬ英国魂、古き良きものを知る教養。そういった清濁併せ呑む、周りに流されない自己を確立した男性にのみ許される〝香りの特権〟と言えます。

最先端のファッションに身を包むことはお金さえあれば誰にでも出来ます。しかし、伝統的な英国スタイルを自分のものにすることはとても難しいことです。

そんな難しいことをやってのけようとするチャレンジャー達の〝登竜門〟的存在。だからこそ、スーツスタイルにこれほど相性の良い香りはないのです。

この香りは、パリッと糊のきいたターンブル&アッサーの白いシャツを着るように、爽やかに弾ける酸味の効いたレモンとライムの輝きからはじまります。シャーベットのように冷たいレモンとライムが、男の素肌に着地した瞬間、その体温に溶かされてゆくのです。

すぐに、イングリッシュラベンダーが加わり、ローズマリー、バジル、ユーカリが添えられてゆきます。まるでカミソリを仕舞い、仕立てのよいサヴィルロウのスリーピースのスーツを着て、ネクタイを締め、男っぷりを上げていくような清らかなハーブのエレガンスに包まれてゆきます。

その背景に、スケールの大きなパインニードルの香りがムスクの風に乗って、香ばしい甘さと共に広がってゆきます。そして、そこに一筋のブラックペッパーが、彷徨いこむのです。それはまるでガジアーノ&ガーリングのシューズを履いた瞬間のように、シュポっと足に吸い付くようなフィット感を感じさせるキレのよさに全身が引き締められてゆくのです。

フレッシュなレモンのシャワーを浴びた男性が、穏やかな物腰のクリーミーな針葉樹と才知漲るシャープなブラックペッパーに、優しく微笑む慈愛に満ちたラベンダーを添えながら、スーツという名の武器を纏い、貴族社会の戦場へと、優雅に乗り出すのです。

この香りの名になぜブーケ=花束という名詞が添えられているかを思い起こしてみましょう。この香りに存在する花は、ラベンダー、ローズマリーだけなのに・・・なぜブーケなのだろうか?私はその理由を知らない。

ルカ・トゥリンは『世界香水ガイド』で、「ブレナム ブーケ」を「シトラス・スパイシー」と呼び、「心地よいが地味なシトラスで、スパイシーウッドのドライダウン。優雅で新鮮だが、控えめな表現だ。もう少し上質な生の材料を使えば、一層よくなる。」と3つ星(5段階評価)の評価をつけています。

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香水データ

香水名:ブレナム ブーケ
原名:Blenheim Bouquet
種類:オード・トワレ
ブランド:ペンハリガン
調香師:ウォルター・ペンハリガン
発表年:1902年
対象性別:男性
価格:30ml/13,420円、100ml/25,960円
販売代理店ホームページ:ラトリエ デ パルファム


トップノート:アマルフィ・レモン、ライム、ラベンダー、ローズマリー、ユーカリ
ラストノート:ムスク、パインニードル、ブラックペッパー