オードリーのパワーショルダー
エリザベス・ルック3 ブラックシャツドレス
- デザイナー:ユベール・ド・ジバンシィ
- クレープデシンのブラックシャツドレス、パワーショルダー、ロングスリーブ、カラーとカフスにはブラックベルベット、ベルベットのサッシュベルト、ジバンシィ1978/79AW
- 長い一連パールネックレス
- ブラックハイヒールパンプス
- ブラックパンスト
このファッションにおけるオードリーはとても美しいです。まさに本作のアイコニック・ファッションです。ここでオードリー自身が、美について語ります。
私の美の50%は、母親からいただいたもの。そして、残りの50%はラズロからいただいたものなの。
オードリー・ヘプバーン
オードリーはある時その〝美の秘訣〟を聞かれました。
その答えとして、彼女は、1974年から5日に1回、ロンドンの毛髪学者フィリップ・キングズレー特製のシャンプーで髪を洗い、化粧品は、アーノラズロの製品を使っているとだけ答えました。
アーノ・ラズロ(1897-1973)とは、1927年にハンガリーのブダペストで、ニキビと日焼け止めと紫外線カットによる肌の老化防止のエキスパートとして研究所をオープンし、ベルギー王女ステファニーのニキビを改善したことにより名を成した人です。その後、1939年にニューヨークで会員制サロン「ラズロ・インスティチュート」をオープンし、当時画期的だった石鹸を使用した洗顔法で、グレタ・ガルボやマリリン・モンロー、グレース・ケリー、ジャクリーン・ケネディを顧客に持ち、1940年代後半までに、3000人の会員を集めました。この会員になるためには、最低2人以上の会員の推薦がないと参加できないという厳しいルールが徹底されていました。
中年女性が枯れた色を着ることによって生まれる効果
エリザベス・ルック4 ウールコート
- デザイナー:ユベール・ド・ジバンシィ
- ダークブラウンコート、首周りにファー
- ブラックパンツ
- ベージュのスカーフ
- グレーのニットグローブ
- ハイヒールレザーブーツ
- ブラウンパテントレザーのポシェット
本作はニューヨーク、ロンドン、パリ、ローマ、ミュンヘン、サルデーニャ、コペンハーゲンといったロケーション費用等で制作費が膨れ上がり、テレンス・ヤングは破産することになります。公開当時の日本のパンフレットには、オードリー以外のキャストの衣装代にも30億円を使用したとも記載されていますが、どこまで信用できるかは疑問です。
世界中のロケーションは、その費用に対する効果を生み出しているとは言い難いですが、実際にはドイツのブルクハウゼンで撮影されたポーランドのクラクフのシーンにおけるジバンシィのコートは美しいとしか言いようがありません。中年女性が枯れた色を着ると、そのシルエットと生地の素材によっては、逆効果として、「女のダンディズム」が演出できることを見事に示しています。
女のシャープさを引き出すブルー
エリザベス・ルック5 ブルーシャツドレス
- デザイナー:ユベール・ド・ジバンシィ
- ブルーのプリーツシャツドレス、カラーの上部にブラックウールトリム、袖にも
- 一連パールネックレスとパールイヤリング
この8年間に映画の世界で起きたことに関わり合うチャンスがなかったことをむしろ喜んでいる。映画界で幅を利かしているのはセックスとヴァイオレンスだけで、わたしは裸になるには痩せすぎだし、銃は嫌いだから、映画に出なかったのはかえってよかったと思っている。
オードリー・ヘプバーン、『ロビンとマリアン』(1976)の復帰について
そして、本作における最大の弱点は、〝オードリーの世界〟にポルノの野暮ったい空気を持ち込んでしまったことにつきます。
グッチのショルダーバッグの登場
エリザベス・ルック6 キルティング・コート
- グレーのキルティングコート、トリムしたブラックファー
- 白のかぎ編みのタートルネック、ジバンシィ・ ヌーベル・ブティック1978/79AW
- グッチのキャメル色のショルダーバッグ
- 黒パンツ
- グレーのハイヒールブーツ
- 赤のタータンチェックマフラー