アルテミジア
原名:Artemisia
種類:オード・パルファム
ブランド:ペンハリガン
調香師:ドミニク・ブーレイ
発表年:2002年
対象性別:女性
価格:30ml/16,390円、100ml/33,550円
販売代理店ホームページ:ラトリエ デ パルファム
あらゆる意味でミステリアスな香り
ペンハリガンから2002年に発売された「アルテミジア」は、ドミニク・ブーレイにより調香された香りです。
アルテミジア・ジェンティレスキ(1593-1652)という画家をご存知でしょうか?1620年に描かれた『ホロフェルネスの首を斬るユディト』で知られるカラヴァッジオ派の女流画家です。
彼女はこの絵を描く数年前に父親の知人により結婚詐欺に遭い、17歳で処女を奪われ、その相手を父親が裁判で訴えたとき、セカンドレイプされることになりました。なにぶん17世紀のことなので事の真相は定かではないのですが、ひとつだけ確かなことがあります。
それは、彼女がまだ10代の半ばから、この首を切る女性の絵を描いていたということです。彼女の絵は、恐ろしいものが多く、「人間讃歌」よりは、「人間の獣性」を描いた作品が多いのでした。
そんな女流画家の名前が、どうしてこの香りについているのか、徹底的に調査したのですが、どうしても私にはしっくりと来る回答が得られませんでした。更に言うと、ドミニク・ブーレイという女性調香師に対して満足の得られる情報を手にすることも出来ませんでした。
本当にあらゆる意味でミステリアスな香りです。
ネクタリンの果蜜とムスキーなバニラとジャスミンティー
桃よりも遥かに甘酸っぱくジューシーなネクタリンの果蜜が、ムスクによってふわっと天空に舞い上がり、素肌に星ふらすように、軽やかな果蜜を舞い散らせる情景からこの香りははじまります。
まるで天に放ったアルテミスの矢が、月を射抜き、月の蜜が滴り落ちてくるようです。そこにひんやりと涼しくも苦いハーブが夜風によって運れてきます。
すぐにネクタリンの果蜜に、甘いバニラとキャラメル、オークモス(魔法のひと匙)が溶け込み、ネクタリン酒を素肌に広がらせてゆきます。そして、グリーンアップルとジャスミンティーも加わりひとまとめになり、ミステリアスな甘さで満たしてくれます。
やがてパウダリーなヴァイオレットを中心としたシクラメン、スズラン、ローズといった淡い色の花々が散りばめられてゆき、月の光に照らされるように全てを円やかに温めてゆくのです。
この香りは、ギリシア神話における狩猟・貞潔の女神であり月の女神アルテミスのイメージも重ね合わせられているのですが、しかし、そんなことなどもうどうでも良くなるほど、だんだんと昇る太陽のように黄金色に輝くアンバーとクリーミーなサンダルウッドが満ちひろがって、ほのかなネクタリンの果蜜とバニラの甘さが歩調を合わせ、酔わせる夢のような余韻を残してゆくのです。
うっとりするほどに、はかなくも優しい甘さで包みこんでくれる香りです。もはや、この香りの意味などどうでも良いと感じさせてくれるほどに…新鮮な空気を吸い込んだような女性を誕生させてくれるのです。
ルカ・トゥリンは『世界香水ガイド』で、「アルテミシアとは、ヨモギのことだが、ヨモギの香りはしない。」「安っぽく、ほんの少しがさつな部分があるが、悪くはない香り。ただし値段が高すぎる。」と3つ星(5段階評価)の評価をつけています。
香水データ
香水名:アルテミジア
原名:Artemisia
種類:オード・パルファム
ブランド:ペンハリガン
調香師:ドミニク・ブーレイ
発表年:2002年
対象性別:女性
価格:30ml/16,390円、100ml/33,550円
販売代理店ホームページ:ラトリエ デ パルファム
トップノート:ネクタリン、グリーンノート
ミドルノート:グリーンアップル、スズラン、ジャスミンティー、ヴァイオレット、バニラ、シクラメン、ローズ
ラストノート:オークモス、サンダルウッド、ムスク、アンバー