究極のフレグランスガイド!各ブランドの聖典ページ一覧にすすむ
アニック・グタール

【グタール】アンサン フランボワイヤン(カミーユ・グタール/イザベル・ドワイヤン)

アニック・グタール
©Goutal Paris
この記事は約4分で読めます。

アンサン フランボワイヤン

原名:Encens Flamboyant
種類:オード・パルファム
ブランド:グタール
調香師:カミーユ・グタール、イザベル・ドワイヤン
発表年:2007年
対象性別:ユニセックス
価格:日本未発売

スポンサーリンク

幻のグタールのオリエンタリズム・コレクション

©Goutal Paris

2007年にグタールより『Les Orientalistes(オリエンタリズム・コレクション)』が発売されました。翌年に発売されたひとつを含め4種類からなるこのコレクションは、クラシカルなオリエンタルノートから着想を得たものでしたが、日本では発売されませんでした。

  1. アンサン フランボワイヤン(2007年)テーマはフランキンセンス
  2. アンブル フェティッシュ(2007年)テーマはアンバー
  3. ミール アルダント(2007年)テーマはミルラ
  4. ムスク ノマド(2008年)テーマはムスク

そのうちのひとつ「アンサン フランボワイヤン」は、フランス語で〝炎を上げるインセンス〟の意味と、フランボワイアン・ゴシック様式の教会のダブルミーニングを持つインセンスの香りです。カミーユ・グタールイザベル・ドワイヤンにより調香されました。

スポンサーリンク

氷のようなインセンスが、燃え尽きた松林になる香り

フランボワイアン・ゴシック様式の教会

オリエンタルの香りの世界が生み出す魅力。それは、現実ではなく、幻想の世界に私たちを導いてくれるところにあります。〝炎を上げるインセンス〟は、ピンクペッパー、ペッパー、レッドベリーが、太陽の光で水面がキラキラ輝くように香り立つ中、フランキンセンスの風に運ばれた教会の香りからはじまります。

それは、メキシコや中南米の教会のような、温かい国の教会に一歩足を踏み入れた瞬間に感じる、ステンドグラス越しの光を感じながら、〝冷たいインセンス〟に包み込まれるようです。さらに後に続くカルダモンがより、このフランキンセンスに静謐なる輝きを与えてゆきます。

ピンクペッパーとレッドベリーが予感させる華やかな香りの広がりはこの香りにはありません。それらはフレッシュなきらめきを生み出し、仄かなキャンドルを吹き消したばかりのスモーキーさと心に響く純真無垢な聖歌、そういったものを感じさせます。

やがて、ある瞬間、静かに、私たちは中南米の教会の中にいるのではなく、冷たい小川が流れる北欧の松林の森の中に居ることに気づかされるのです。そうですバルサムモミとマスティックが、まるで松の葉と松ぼっくりを焦がしたような高揚感溢れるグリーンの静寂を運んできてくれるのです。

そこに、スパイシーなフランキンセンスに、ナツメグとセージが加わってゆき、甘露なる渋いスモーキーな余韻で満たされてゆくのです。

ちなみにこの香りのフランキンセンスは、3種類のものが使用されています。樹液・加工処理した樹脂、焼いたインセンスです。

タニア・サンチェスは『世界香水ガイド』で、「アンサン フランボワイヤン」を「シガレット・インセンス」と評し、「香水の世界には、3点以上のセットを同時リリースすると必ず2点は失敗に終わるという法則がある。グタールの「オリエンタリスト」シリーズもそうで、ほかの2点は駄作だけれど、この作品は成功している。」

「ライムの皮と、パインニードルを合わせた氷のようなノートが北欧の冬を演出し、それを押しのけるように「ジャスマン エ シガレット」の個性的な煙草ノートがラストで登場。寒空の下、森の中で煙草を一服すれば、この香りに胸躍る理由がわかるはず。」と4つ星(5段階評価)の評価をつけています。

スポンサーリンク

香水データ

香水名:アンサン フランボワイヤン
原名:Encens Flamboyant
種類:オード・パルファム
ブランド:グタール
調香師:カミーユ・グタール、イザベル・ドワイヤン
発表年:2007年
対象性別:ユニセックス
価格:日本未発売


トップノート:フランキンセンス、ピンクペッパー、ペッパー、レッドベリー
ミドルノート:フランキンセンス、ナツメグ、カルダモン、セージ
ラストノート:フランキンセンス、バルサムモミ、マスティック