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【ディプティック】オード ミンテ(ファブリス・ペルグラン)

ディプティック
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オード ミンテ

原名:Eau de Minthe
種類:オード・パルファム
ブランド:ディプティック
調香師:ファブリス・ペルグラン
発表年:2019年
対象性別:ユニセックス
価格:75ml/28,270円
公式ホームページ:ディプティック

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ラベンダーの代わりにミントを使用したネオフゼア

©Diptyque

ディプティックから2019年に発売された「オード ミンテ」は、アロマティック・フゼアの香りです。ファブリス・ペルグランにより調香されました。

2006年以降のディプティックにおいて、クリエイティブ・ディレクターの役割を担っているミリアム・ バドー(アニック・グタール、ジャン・パトゥ、ロシャスで実績を積み上げる)によってディレクトされた作品です。

この香りは、ミリアムがビルの入り口やエレベーターでいつも感じていたフゼアの残り香を、ジェンダーレスな香りにアレンジしたいという着想点からはじまりました。それはクラシックでありながら、アロマティックかつフレッシュ・モダンな香りを創造するということでした。

そこで彼女が注目したのが、ジェンダーレスな香りを生み出すことが非常に難しい禁断の雑草であるミントでした。調香師にとって扱いにくい香料であるミントの新たなる側面を見つけることこそが、ジェンダーレス・フゼアを生み出す突破口になると彼女は考えたのでした。

ディプティックには、フゼアは存在しませんでした。つまりこの香りがディプティック初のフゼアとなるのです。通常フゼアとは、ラベンダー、ゼラニウム、クマリン、オークモスで生み出すのですが、この香りでは、ラベンダーの代わりにミントを使用するというとんでもない試みがなされたのでした。

この前人未到の山を登ったのが、ファブリス・ペルグランでした。そして、まだ調香師の卵だった彼の息子も助手として参加し、その新鮮な感性を大いに役立てたのでした。

ミントはとてもモダンな芳香を放ちます。一方で、ゼラニウムとパチョリのデュエットは伝統的なフゼアです。

ローズオキシドはそんな伝統的なフゼアにモダンな感覚を衝突させる役割を果たします。そして、このローズオキシドにより、このフゼアは生き生きと現代的な香りに包まれていくのです。

ファブリス・ペルグラン

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悲しきミント誕生の神話から生まれた香り

この香りの主役のミントには悲しい誕生の神話が存在します。それは冥王ハーデース(ポセイドーンとゼウスの兄)と妖精ミンテの禁じられた恋を伝えるギリシア神話でした。

ハーデースに見初められ、禁断の恋に落ちたミンテ。そんな二人をハーデースの妻ペルセポネー(四季を生んだ女神)は許しませんでした。そして、ミンテは雑草に変えられるのでした。

そんなミンテを哀れんだハーデースは、その雑草にとても素敵な芳香と繁殖力を与え、彼の神殿を麗しい芳香で包み込ませたのでした。永遠と不滅の愛を生む香り、それがミントなのです。

キャンペーン動画は、クロティルデ・ブリュノー(1987-)というフランスの歴史を題材にした作風で人気がある女流漫画家が描いたストーリーボードを、イラストレーターのシャルロット・ガストーがアレンジして作り出したものです。

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ハイブリッド・ミントが生み出すジェンダーレス・フゼア

アメリカ合衆国・オレゴン州のカスケード山脈のふもとにあるミント畑。

カスケードミント

本物のクリーンなフゼアのように、ソーピィーな抑揚があります。とても上品で、リッチなドライダウンは、肌の上にシックに馴染んでゆきます。

自然を身近に感じ、その純粋な新鮮さや美しさに触れたいと思う人々にとってこの香りはうってつけです。シダやミントの香りに包まれて、ゆったりとした時間を過ごすことができる香りです。

ファブリス・ペルグラン

そんな情熱的なミントが透き通るような美しさでハーバルな香りを放つところからこの香りははじまります。このミントは、とても特別な品種が使用されています。それはフィルメニッヒ社が、カリウムやミネラルを豊富に含む土壌を持つ、アメリカ合衆国のカスケード山脈の麓で育てたオレゴン産のハイブレッド品種(ペパーミントとスペアミントのハイブレッド)です。

このカスケードミントは、アイスクリームに使われるようなミントではなく、よりグリーンで野生のアニマリックな側面を兼ね備えるクリーンかつフレッシュなミントなのです。

このミントに、真空蒸留で抽出されたベルガモットのシャワーが弾き掛けられるようにしてこの香りは、ミントが美しき妖精ミンテだった束の間のひと時を描き出すのです。

すぐにカスケードミントの鋭さに豊かな生命感を与えるようにナツメグが優しく寄り添います(トップに微量に含まれているジヒドロミルセノールのラベンダーの芳香が円やかさを演出している)。

やがてフレッシュなミントに、ゼラニウムとパチョリが遭遇し、伝統的なフゼアの三重唱がはじまります。それはまるでハーデースとの愛のひと時のようです。ミントはゼラニウムの中のメントールを活気付け、香りは情熱を増します。

そこに、モダンな(クリーンでメタリックでさえもある)ローズオキシドが衝突していくのです。静かなる怒りに満ちたペルセポネーの光臨です。かくしてクリーミーなシプレの影もちらつかせながら、ゼラニウムは円やかなローズの側面を剥き出しにされるのです。とんでもなく恐ろしいはずのこの瞬間が、とても女性らしく美しいのがこの香りの特徴です。

そして、ドライダウンの中、シダとミントの残り香に包まれながら、(クリーンな)パチョリはうっとりとするような甘さの余韻を肌に馴染ませながら消えてゆくのです。

一人の女性ディレクターの強い思いにより生み出されたこの香りは、ノージェンダーという括りなのですが、明らかに、女性の中に秘められたダンディズムを目覚めさせる意図で生み出された女性のためのフゼアだと私は思います。

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香水データ

香水名:オード ミンテ
原名:Eau de Minthe
種類:オード・パルファム
ブランド:ディプティック
調香師:ファブリス・ペルグラン
発表年:2019年
対象性別:ユニセックス
価格:75ml/28,270円
公式ホームページ:ディプティック


トップノート:ミント、ナツメグ
ミドルノート:ゼラニウム、ローズ
ラストノート:パチョリ