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バイレード

【バイレード】ボードレール(ジェローム・エピネット)

バイレード
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ボードレール

原名:Baudelaire
種類:オード・パルファム
ブランド:バイレード
調香師:ジェローム・エピネット
発表年:2009年
対象性別:男性
価格:100ml/31,460円

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果たしてバイレード史上最もダークな香りなのでしょうか?

「マドンナ」エドヴァルド・ムンク

『愛の嵐』(1974)のシャーロット・ランプリング。

残暑きびしい秋の夜に、両の眼とざし、
熱(ねつ)くさきあなたの胸(乳房)のにおいをかげば、
幻に、わが目は見るよ。幸福なる海辺が、照り続ける眩ゆき太陽による陽かげ。

怠惰を誘う島に、自然は恵む
怪奇なる姿の樹木、甘美なる果実のあまた、
引き締まった肉体の男たち、
ほしいままなるまなざしの、率直さに人驚かせる女たち。

麗はしき気候の方へ、あなたの香りが導くままに、
幻に、わが目は見るよ。沖つ邉の波のつかれのなお残る、
帆とマスト、林なす港の景色。

あたりを流れ、鼻をうつ、
緑なすタマリンドのようなあなたのかをりの高さ、
誘はれて、私の魂の中で混ざり合う、船乗の唄のひとふし。

『悪の華』(異国の香り)ボードレール

アルチュール・ランボーが、「第一の見者、詩人たちの王、真の神」と崇め奉った詩人の名を冠した香りが、2009年にバイレードから発売されました。

ボードレール」という名のこの香りは、シャルル=ピエール・ボードレール(1821-1867)の詩集『悪の華』(1857)の中の詩〝異国の香り〟からインスパイアを受け、ジェローム・エピネットにより調香されました。

この詩は、ボードレールが母親の次に愛した女性と言われる、ハイチ出身の女優兼ダンサーだったジャンヌ・デュヴァルの乳房の匂い(日本語訳の多くは腋となっているが乳房が正しい)とタマリンドの香りを結びつけた物憂げな詩です。

タマリンドとは、タイやインドの亜熱帯の高木に生る果実(大きな豆)であり、梅干や干し柿のような甘酸っぱい触感があり、トムヤンクンの酸味づけにも使用されます。

バイレード史上最もダークな要素を持つ香りだと言われるこの香りは、実際のところどこか80年代に流行したスパイシーレザーのメンズ・フレグランスのムードを多分に含む香りです。

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決して満たされぬ、堕落したい願望

シャルル=ピエール・ボードレール

ジュニパーベリーとブラックペッパー、キャラウェイという三種類のスパイスが、男たちの野性を色鮮やかに呼び覚ますようにして、この香りははじまります。すぐに、レザーとインセンスが新鮮な空気に、物憂げな生温かさを注ぎ込んでくれます。

スパイシーすぎず、レザリーすぎず、インセンスすぎてもいない宙ぶらりんの心の中に、フレッシュグリーンなヒヤシンスが花を咲かせます。それはまさしく堕天使と過ごすひとときの始まりを告げる合図のようでもあります。

どんな地獄に突き落とされるのだろうか?そんなぞくぞくする感覚を持って身構えていると、やがて、ジュニパーベリーとヒヤシンスが突出しているスモーキーな空気を、アンバーとパピルス、パチョリが、アーシィーな甘さで包み込んでゆきます。

ダークな期待感(堕落したい願望)はいともあっさりと裏切られ、単なる70~80年代の男のダンディズムを髣髴させる香りへと収束してゆきます。

メンズ・フレグランスを使いはじめた人にとっては衝撃であり、使い慣れている人にとっては、忘れ去られていく可能性のある、ボードレールの詩〝香水の壜〟のような香りです。バイレードというブランドに悪魔の到来を期待してはいけません。

どんな物質でも浸透する強い匂ひがあるものだ。
どうやら硝子にさへそれは滲み込むらしい。

人の住まなくなつた古家に置き忘れられ、煤けて、埃まみれの、
むせかへるやうな昔の匂ひで一ぱいな箪笥を開けたりすると、
思ひ出し顔の古い香水の空壜が見つかつたりして、
生き生きと昔の人の心が甦へつたりする事がある。

重苦しい闇の奥に静かに呼吸づきながら
みじめな蛹(サナギ)のように眠っている千百の思いが、
青に染み、ばら色に照り、金色に輝いて、
羽根をのばして、舞い立ち上る。

『悪の華』(香水の壜)ボードレール

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香水データ

香水名:ボードレール
原名:Baudelaire
種類:オード・パルファム
ブランド:バイレード
調香師:ジェローム・エピネット
発表年:2009年
対象性別:ユニセックス
価格:100ml/31,460円


トップノート:ジュニパーベリー、ブラックペッパー、キャラウェイ
ミドルノート:レザー、インセンス、ヒヤシンス
ラストノート:パチョリ、パピルス、ブラックアンバー