ミツコ オーデパルファン
原名:Mitsouko Eau de Parfum
種類:オード・パルファム
ブランド:ゲラン
調香師:ジャック・ゲラン
発表年:1919年
対象性別:女性
価格:75ml/19,800円
公式ホームページ:ゲラン
万感の涙をさそうピーチの香り
日本人がその名を一度聞くと忘れることの出来ないゲランの名香「ミツコ」(より詳しいミツコ誕生秘話はこちらの記事をお読みください)は、1919年に三代目調香師ジャック・ゲランにより調香された香りです。
この香りにより、フレグランスは史上初めてピーチの匂いを手に入れたのでした。
それは合成香料アルデハイドC-14(γ-ウンデカラクトン、別名ピーチアルデハイド)とオークモスのブレンドにより生み出されたシプレーノートの進化形でもありました。
オードパルファムは、極めて純粋培養されたパルファムの〝一般向け〟ヴァージョンであり、名優が出演したアカデミー賞を受賞した作品のような香りです(パルファムは難解な通好みな作品)。
まず一瞬、イタリア産のベルガモット(さらにその他にオレンジ、レモンといった柑橘類のパレード)が肌の上で広がりを見せます。そして、すぐにそのフレッシュ感を掻き消すほどのオークモス(2007年から2013年にかけて、一度EDPからこの香料の存在が削ぎ落とされ、ミツコはただの明るい女になってしまった)との絶妙なシプレ・ブレンドによりこの香りははじまります。
やがて、ローズ(とその引き立て役としてのジャスミン)がシプレの中に飛び込んでゆき、〝凛とした気品〟と〝神秘性〟を生み出していきます。
そして、ミドルノートにおいてこの香りの主役であるピーチが表れます。このピーチが〝若々しさ〟と〝可憐さ〟を生み出しつつも、ベースのベチバー、アンバー、シナモンにより生み出される〝冷静さと控えめの美学〟が絶妙なコントラストを生み出し、〝孤独を喜びに変えてくれる人肌のような香り〟=円やかなピーチで包み込んでくれます。
圧巻なのは、ドライダウンです。氷が解け、森と大地が姿を現すが如くスパイスとウッディな側面が姿を現し、熟しているピーチと絡み合います。まさに〝神秘性〟を突き抜けた、〝郷愁〟と〝癒し〟の万感の想いが込み上げるドライダウンです。
この香りは、肌に浸透するにつれて、よろこび(感動)の涙を誘う不思議な香りなのです。
チャールズ・チャップリンが愛した香り
女性がもっとも美しい瞬間。それは涙を流すほどの喜びの感情の渦に、全身が支配されていく瞬間なのですが、ミツコとは、女性を支配するゲランの香りであり、支配される喜びの香りなのです。
そんな香りだからこそ、〝涙を生む喜劇王〟チャールズ・チャップリン(1889-1977)もこの香りを愛したのでしょう。
ちなみにミツコのジャスミンとローズの産地が記載されない理由は、ローズの場合は、グラース産のメイローズ、ブルガリア&トルコ産のダマスクローズをブレンドしたものを使用しており、ジャスミンの場合は、フランス、イタリア、エジプト産のジャスミンをブレンドして使用しているためです。
ミツコ 100周年アニバーサリー エディション
2019年11月15日に、「ミツコ 100周年アニバーサリー エディション オーデパルファン」が、75ml 92,500円(税抜き)で数量限定(全世界で3099個)で発売されました。
金沢の「箔一」の職人により23.5カラットの金箔が全体にあしらわれ(1本が完成するまでには10日もの日数を要する)、その上に書家、中塚翠涛(なかつか すいとう、1979-、岡山県倉敷市出身。大河ドラマ『麒麟がくる』(2020)の題字も描いている)による紅白の花を咲かす梅が描かれています。
100周年記念限定ボトル発売を祝し、2019年11月6日(水)から19日(火)にかけてGINZA SIX2階に「銀座 クラブ みつこ」が期間限定オープンしました。
「ミツコ 100周年アニバーサリーエディション」がいち早く購入できるほか、世界に一つだけのラグジュアリーな限定ボトル(1.5L/168万円)まで登場しました。
香水データ
香水名:ミツコ オーデパルファン
原名:Mitsouko Eau de Parfum
種類:オード・パルファム
ブランド:ゲラン
調香師:ジャック・ゲラン
発表年:1919年
対象性別:女性
価格:75ml/19,800円
公式ホームページ:ゲラン
トップノート:柑橘類、ジャスミン、ベルガモット、ローズ
ミドルノート:ライラック、ピーチ、ジャスミン、イランイラン、ローズ、アイリス
ラストノート:クローブ、アンバー、シナモン、ベチバー、オークモス