アンソレンス オーデトワレ
原名:Insolence Eau de Toilette
種類:オード・トワレ
ブランド:ゲラン
調香師:モーリス・ルーセル
発表年:2006年
対象性別:女性
価格:75ml/17,600円
公式ホームページ:ゲラン
「エンヴィ」を創造した男=モーリス・ルーセル
ゲラン初のクリエイティブ・ディレクターに就任したシルヴェーヌ・ ドゥラクルトが、モーリス・ルーセルを調香師として迎え生み出した「アンソレンス」のオード・トワレ版として2006年に同時に生み出されたのがこの香りです。
グッチの「エンヴィ」を筆頭として、セルジュ・ルタンスの「アイリス シルバー ミスト」において〝アイリス・マスター〟の名を手にしたモーリス・ルーセルが、ゲルリナーデ・アイリスを手にし、その手腕を思う存分発揮した三種類の「アンソレンス」の中のオード・トワレ版。
それは、上品な香りからは遠ざけられていたベリー(ゲランの初ベリー)とその対極に位置する(常軌を逸した量の)ヴァイオレットを、アイリスによって接着するのではなく、シーソーの支点の役割を果たさせた香りなのです。
「エンヴィ」。そして、七つの大罪の香り
セプテム・ペッカータ・モルターリア=「七つの死に至る罪」とは、貪欲・邪淫・憤怒・貪食・嫉妬・怠惰、そして傲慢です。
「傲慢=アンソレンス」の極致とも言える、ベルガモットに唆され、自由奔放なベリーダンスに講じるオープニング(バービーガールノート)にギョっと驚かされながら、この香りを身に纏う淑女達は、まずは静かにその時を待ちます。
この香りの美しさは、香りの傲慢さが、淑女の嗜みを呼び覚ますところにあります。それは派手なベリーに流されてはいけないという心が生み出す、「意思の勝利」を演出する香りなのです。
やがて、その時がやってきます。ベリーはその自由奔放さを、以下に示す他の香料と絡み合い、反発しつつも、洗練さへと昇華させていくのです。
ヴァイオレットを中心にした透明感あふれるフローラルと、パウダリーなアイリス(アーシィではなくフローラルな)、そして、Wクリーミーなサンダルウッドとトンカビーンを中心にした官能的な香りがスパイラル構造で現れ、絡み合い、消えては、また現れます。
モーリス・ルーセルが、オード・トワレに託したのは、「真の傲慢さ」を女性が手にするためのトレーニング・フレグランスという15年ほど新しい観念でした。この香りは、美をトレーニングするために「七つの死に至る罪」のひとつである「傲慢」を揺さぶる香りなのです。
そして、これぞ「トレーニング・フレグランス」のはしりなのです。その最初の芽が「エンヴィ」ならば、いつもながらモーリス・ルーセルという調香師の香りは、15年後に本当の評価を得ることになるのです。
オード・パルファム版と同じく、ゲランが宇宙人に作らせたような逆さ円盤が三つ重なったようなセルジュ・マンソーによるオリジナル・ボトルは、2017年に多くの香りと同じ形状であるビーボトルに統一されてしまいました。
香水データ
香水名:アンソレンス オーデトワレ
原名:Insolence Eau de Toilette
種類:オード・トワレ
ブランド:ゲラン
調香師:モーリス・ルーセル
発表年:2006年
対象性別:女性
価格:75ml/17,600円
公式ホームページ:ゲラン
トップノート:ベルガモット、ラズベリー、レッドベリー、レモン
ミドルノート:オレンジ・ブロッサム、ローズ、ヴァイオレット
ラストノート:アイリス、ムスク、サンダルウッド、トンカビーン、樹脂