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【ジョルジオ アルマーニ】シィ パシオーネ(クリスティーヌ・ナジェル/ジュリー・マッセ)

アルマーニ
©アルマーニ ビューティ
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シィ パシオーネ

原名:Sì Passione
種類:オード・パルファム
ブランド:ジョルジオ・アルマーニ
調香師:クリスティーヌ・ナジェル、ジュリー・マッセ
発表年:2017年
対象性別:女性
価格:30ml/12,430円
公式ホームページ:アルマーニ ビューティー

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情熱の赤いアルマーニをあなたに…

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ジョルジオ・アルマーニが2013年に発表した「シィ」は、2010年に発売されたウィメンズ・フレグランス「アクア ディ ジョイア」の僅か3年後に発売された新作ウィメンズ・フレグランスでした。

「Si」は、イタリア語で「Yes」を意味します。自分自身のために生きる自信に満ちあふれた女性へのオマージュとして誕生した「シィ」のフランカーとして2017年に発売されたのが「シィ パシオーネ」でした。

ジョルジオ・アルマーニほど赤にこだわるファッション・デザイナーはいません。〝身も心も高揚させる赤、情熱のシグナルとしての赤、赤は前向きな気持ちの表れ〟と語るファッション界の巨匠の想いを受け、80歳を超えてもなお漲るパッションを、最も好きな赤色『Shade Of Red(アルマーニの赤として知られる)』に託し生み出されたのがこの香りです。

最も熟したトマトのようで艶やかな赤、それはほとんどの肌を引き立てる、女性の守護神とも言える〝アルマーニの赤〟の香りです。

オリジナルを調香したクリスティーヌ・ナジェルと、ジュリー・マッセにより調香されました。実質的な調香師は、新進気鋭のジュリーにより単独で行われています。

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日本の畳を愛する調香師による香り

ジュリー・マッセ

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私はアルマーニの赤の輝きと強さが大好きです。以前にも〝色〟にまつわるアコードを作ったことがありますが、特定の色を出発点にすることは非常に珍しいことです。

アルマーニ氏は、現代の女性らしさへの賛辞として、強さ、優美さ、そして儚さを感じさせる香りを求めていました。

そこで、〝赤〟から連想されるすべての感情をパッシオーネに注ぎ込みました。それは全力で自分の信じる道を突き進む強さをテーマにしています。だから愛とバラだけの香りにはしたくなかったのです。

ジュリー・マッセ

ジュリー・マッセの父親も香水業界の人です。そして、彼女は5歳まで日本の東京で過ごしており、畳のある部屋を子供部屋としていました。

そのための彼女の香りは、日本人の琴線に響く香調を持っています。オリジナルよりも、こちらの方が日本で人気があるのはそのためかもしれません。

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若い女性が、人生ではじめて真紅の口紅をひと塗りした瞬間

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ローズはそこにありますが、唯一のフローラルノートではありません。アルマーニ氏が求めた女性らしさ、はかなさ、そして強さを表現するために、複数の要素を持つ花が欲しかったのです。

それを表現しているのがジャスミン・アブソリュートです。花そのものは軽くてとてもはかない香りですが、香料の中ではとても力強いものです。ジャスミンがこの香りの中心となり、ヘリオトロープはアーモンドのようなパウダリーノートを放つ紫色の小さな花で、花の要素をすべて包み込んでゆきます。

シダーウッドと、モダンなアンバリーウッディのオルカノックス™は、官能的な香りを放ち、真の情熱を表現するのに役立ちます。

ジュリー・マッセ

赤い情熱と、赤い衝撃と、赤く燃えたぎるアドレナリンが弾け合うようなこの香りのはじまりは、スパークリングする洋ナシとジューシーなブラックカラント(マネ社のジャングルエッセンス)の渦巻く情欲の中に、フレッシュなピンクペッパーが注ぎ込まれるようにして生み出されます。

フレッシュでジューシーなフルーツへの愛と憎しみが表裏一体になったかのようなロマンティックな香りは、すぐにメイローズとジャスミンが開花することにより、愛に満たされてゆきます。そして注ぎ込まれたパチョリにより、〝愛に向かって突き進むモダンシプレ〟へと昇華してゆきます。

ここで突然、パイナップルが〝愛の疑惑を生む手榴弾〟のように弾け飛ぶのです。はかない愛と、揺るがぬ愛の狭間でよろめく〝女の本能〟に突き刺さるパイナップルが、悪魔の囁きのように、あなたの愛の信じる心を木っ端微塵に打ち砕いていこうと香り立つのです。

実にドラマティックな香りです。「愛と憎みとは、相反馳する心的作用の両極を意味するものではない。憎みとは人間の愛の変じた一つの形式である。愛の反対は憎みではない。愛の反対は愛しないことだ」という有島武郎の『惜みなく愛は奪う』の一文が、フルーツの香りに転生していくようです。

やがて、濃厚なアンバリーバニラと、中毒性を生む(パウダリーアーモンドのような)ヘリオトロープが、シダーウッドの気高さというアクセントを付け加え、あなたの肌を透かして〝赤〟が心に届き、〝情熱の赤いアルマーニ〟に満たされゆくのです。

オリジナルにはない洋ナシやパイナップル、グレープフルーツといった瑞々しいフルーツの香りが、とてもフレッシュジューシーな〝「シィ」に若い季節の情熱を注ぎ込む〟ようです。それはまた、若い女性が、人生ではじめて真紅の口紅をひと塗りした瞬間のような香りとも言えます。

キャンペーン・モデルは「シィ」のミューズ、ケイト・ブランシェット(1969-)です。100回以上の試作を繰り返し生み出されたという、真紅の口紅をイメージしたボトル・デザイン(液体のカラーではなく塗装されたもの)も非常に洗練されており、オニキスを連想させるボトル・キャップとの相性も抜群です。

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香水データ

香水名:シィ パシオーネ
原名:Sì Passione
種類:オード・パルファム
ブランド:ジョルジオ・アルマーニ
調香師:クリスティーヌ・ナジェル、ジュリー・マッセ
発表年:2017年
対象性別:女性
価格:30ml/12,430円
公式ホームページ:アルマーニ ビューティー


トップノート:ピンク・ペッパー、洋ナシ、ブラックカラント、グレープフルーツ
ミドルノート:ローズ、ジャスミン、ヘリオトロープ、パイナップル
ラストノート:シダー、バニラ、ムスキーブロンドウッド、パチョリ