1957
原名:1957
種類:オード・パルファム
ブランド:シャネル
調香師:オリヴィエ・ポルジュ
発表年:2019年
対象性別:ユニセックス
価格:75ml/37,400円、200ml/66,000円
公式ホームページ:シャネル

パリではなく、アメリカのシャネルをイメージしたムスクの香り

©CHANEL
私の父(ジャック・ポルジュ)がニューヨークに住んでいた1960年代に、最も売れていた3つの香りはN°5とランバンのアルページュ、ニナ・リッチのレールデュタンでした。
アメリカでは清潔感と官能性を結び付けてくれるムスクの香りが好まれる傾向にあります。だからこそ「アメリカのシャネル」をイメージしたこの香りの主要香料として、私は様々な種類のホワイトムスクをチョイスしました。それらをヴェールのように重ねていくと、とても軽やかな官能性を生み出してくれるのです。それはまるで人肌のような香りです。
オリヴィエ・ポルジュ
2007年にシャネルのプレステージ・コレクションとして「レ ゼクスクルジフ ドゥ シャネル」がスタートしました。その17番目の新作として2019年3月に誕生したのが「1957」でした。
それは、シャネルの四代目専属調香師オリヴィエ・ポルジュにより調香された3作目の「レ ゼクスクルジフ」でした。
1957年、ガブリエル・シャネル、アメリカ上陸

1957年9月6日ダラス空港。そこには、白いロールスロイスとスタンリー・マーカスがいました。

この時、ガブリエル・シャネルは74歳でした。

ニーマン・マーカスを視察している時に、マドモアゼルが一番最初に足を止めたのは、帽子売り場でした。
1954年2月5日にガブリエル・シャネルが15年ぶりにファッション・シーンに復帰したとき、フランスのメディアは、クリスチャン・ディオールと比較して、とても古臭いものだと嘲笑しました。
しかし、アメリカのヴォーグ誌やライフ誌は、彼女を絶賛しました。その後押しによって、彼女は見事に復活を果たしました。だから彼女にとって、1957年のダラス行きは非常に感慨深いものだったはずです。
カール・ラガーフェルド
「1957」というこの香りのネーミングは、ニーマン・マーカス賞(当時のアメリカにおけるファッション関係者に対する最高に権威ある賞)を受賞した年から命名されています。
ニーマン・マーカスとは、アメリカのテキサス州ダラスに本社がある高級百貨店チェーンです(バーグドルフ・グッドマンを所有している)。
ちなみにニーマン・マーカス賞は、通常、一年に複数の受賞者がいるのですが、1957年はニーマン・マーカスの50周年でもあり、シャネルの栄誉も称え、彼女一人だけの受賞となりました。過去に受賞した日本人デザイナーは、森英恵(1973)、三宅一生(1984)の二人のみです。
この時、マドモアゼルは、ニーマン・マーカスの総裁スタンリーに招かれ、バーベキュー・パーティに出席しました。しかし、ディナーで出されたテキサス牛の味付けが気に入らず、テーブルの下にこっそり捨てました。そして、隣に座っていたエリザベス・アーデンの赤いサテンのスリッパの上にその肉がのっかかってしまったという面白い逸話があります。
8種類のホワイトムスク

©CHANEL

©CHANEL
「1957」という名には、ダブル・ミーニングがあります。ひとつは先に述べた意味なのですが、もう一つの意味は、ガブリエル・シャネルの誕生日である19日(8月19日生まれの獅子座の女)と、アメリカ最大のシャネル・ブティックがあるニューヨーク・マンハッタンの57丁目の数字を組み合わせたものです。
つまりは、この香りは、アメリカという国に愛されたシャネルを連想させる香りなのです。
最初から最後まで8種類のホワイトムスクが100%大活躍します。すべての香りの側面にホワイトムスクが痒いところに手が届くように絶妙な仕事をしています。
あらゆるラグジュアリー・ブランドの中で、最も数字を愛するブランド〝シャネル〟の「1957」は、爽快感の中にほのかな苦味を感じさせるベルガモットが、アルデハイドとピンクペッパーにより発泡するシャンパンのようにキラキラ輝きながら、ホワイトムスクの星雲に呑み込まれていくようにしてはじまります。
すぐにオレンジ・ブロッサムとジャスミンのインドールが際立つ甘いフローラルの香りに、バニラと蜂蜜がホワイトムスクと見事に調和しながら、素肌に溶け込んでいくように侵食してゆきます。
そして香り全体を包み込むパウダリーなアイリスが、ココ・シャネルが見た50年代のアメリカの空気と活力とエレガンスを肌の上に再現してゆきます。それは間違いなく、新しい世界の夜明けを感じさせる希望の輝きに満ちたアメリカン・ドリームの香りなのです。
上質なホワイトムスクは、あからさまな清潔感や輝きを騒がしく生み出すのではなく、その人の肌の上に繁殖するひかりごけのように〝静かなるエレガンス〟を生み出してくれます。
そして、ウッディなシダーが、スパイシーなコリアンダーをアクセントに、8種類のホワイトムスクをどんどん重ね合わせてゆくのです。それはまるで天使の羽衣のように、重ねれば重ねるほど、軽くなり、浮遊していくようです。「1957」とは〝天国にもっとも近いホワイトムスク〟の香りなのです。
香水データ
香水名:1957
原名:1957
種類:オード・パルファム
ブランド:シャネル
調香師:オリヴィエ・ポルジュ
発表年:2019年
対象性別:ユニセックス
価格:75ml/37,400円、200ml/66,000円
公式ホームページ:シャネル

トップノート:ピンクペッパー、コリアンダー、ホワイトムスク、ベルガモット、アルデハイド
ミドルノート:オレンジ・ブロッサム、ホワイトムスク、ジャスミン
ラストノート:バニラ、ハニー、ホワイトムスク、シダー、カシュメラン、オリス
