究極のフレグランスガイド!各ブランドの聖典ページ一覧にすすむ
カルティエ

【カルティエ】レンヴォール ドゥ カルティエ(マチルド・ローラン)

カルティエ
©Cartier
この記事は約6分で読めます。

レンヴォール ドゥ カルティエ(レンボル ドゥ カルティエ)

原名:L’Envol de Cartier
種類:オード・パルファム
ブランド:カルティエ
調香師:マチルド・ローラン
発表年:2016年
対象性別:男性
価格:日本未発売

スポンサーリンク

限りなく透明に近いオリエンタルの香り。その名は〝飛翔〟。

©Cartier

©Cartier

私がこの香りを創造しようと思い立ったきっかけは、知性の高揚、つまり精神的な方法で自分自身を新しくしたいという考えからでした。瞑想や催眠療法から生まれる新たな感情のように、私はこの仕事を20年以上やってきているので、この香りのために自分自身を見つめ直し、どうすれば自分の働き方を刷新できるかを考えました。

フレッシュで軽いメンズフレグランスですが、女性が身につけたいと思うような香水です。この香水は女性に、この男性は本当にセンスが良い人で、だからこそこの香水を選んだのだというメッセージを与えるはずです。

マチルド・ローラン

ロードスター」から8年ぶりに、カルティエの男性用の新作フレグランスとして2016年夏に発売された「レンヴォール ドゥ カルティエ」。その香りの名の意味は〝飛翔〟です。

カルティエの腕時計「サントス ドゥ カルティエ」のモデルでもあるアルベルト・サントス=デュモン(1873-1932ブラジルの飛行王)に捧げられた香りでもある〝限りなく透明に近いオリエンタル〟の香りは、カルティエの専属調香師マチルド・ローランにより2年の歳月をかけて生み出されました。

ボードレールの『悪の華』の「飛翔(Élévation)」〝さては飲め、至醇なる天の酒とも〟からも大いなる創作のヒントを得た香りです。

スポンサーリンク

21世紀のサントス=デュモン、挑戦を恐れぬ勇者たちに捧げし超神水

©Cartier

©Cartier

アルベルト・サントス=デュモン

3代目当主ルイ・カルティエが、友人であるブラジル人飛行家サントス=デュモンのために、飛行中に懐中時計で〝飛行時間〟を確認するのは大変だという声に応えて、腕時計を生み出しました。

1903年12月17日にライト兄弟が世界初の有人動力飛行に成功するのですが、それは飛行機としての条件を果たすものではありませんでした。実際のところ、1906年11月12日にサントス=デュモンがみずから設計・製作した飛行機が、史上初めて完全に自力で空を飛ぶことを実現したのでした(1897年からパリで飛行実験を行っていた)。

その後数年間、サントス=デュモンは飛行時間と速度が増すにつれて記録を更新し続けました。そして飛行のたびに、彼の腕には「サントス」がありました。彼は〝飛行機王〟としてメディアで大々的に取り上げられ、時代の寵児となりました。

誰もがサントス=デュモンのようなカルティエの腕時計を欲しがりました。「サントス ドゥ カルティエ」が一般向けに販売されるようになったのは、時計職人のエドモンド・イェーガーに依頼し、1911年に量産された「カルティエ サントス-デュモン」という名の時計からでした。

ちなみにサントス=デュモンは、のちに37歳の若さで多発性硬化症を発症し、隠居生活を送ることになります。そして、第一次世界大戦で彼が発明した飛行機や飛行船が戦争に使用されている事実に失望し、自殺したのでした。

スポンサーリンク

天国にいちばん近い蜂蜜酒

マチルド・ローラン様 ©Cartier

マチルド・ローラン様 ©Cartier

私は香水のアンボロシアー(ギリシア神話の不老不死をもたらす神々の蜜)を創りたかった。美しい香水はただの製品ではなく、その人を助け、励まし、パワーを生み出す源になり得ることを証明したかった。私たちはまだまだ嗅覚から得る力を十分に知らない。

マチルド・ローラン

神の飲み物=超神水=イドロメル(蜂蜜酒)よりインスパイアされた〝飛翔する蜜〟の香りは、エアリーなムスクと芳醇な蜂蜜が、アルテミシアを中心としたハーブとペッパーにより、ひとまとめになって、酔わせる光り輝く琥珀色のシャワーを生み出すようにしてはじまります。

すぐに墨汁のようなパチョリが、スーっと清らかな空気を運んでくれます。オリエンタル香水の主役ともいえるアンバーとバニラの組み合わせではなく、アンバーと蜂蜜の組み合わせです。この組み合わせは、ビールとホップの苦味を連想させます。

さらにフレッシュなヴァイオレットリーフが加わり、この蜂蜜(マチルドがこの香りのために見い出した特別な蜂蜜の香気成分が使用されている)は、間違いなく〝天国にいちばん近い香り〟を解き放ってゆきます。

心が奪われていく甘やかな蜂蜜に導かれながら、(パイプタバコのような)スモーキーなガイアックウッド(とリグナムバイタ=生命の樹)とパウダリーなアイリスが軽やかさを加え、クリーミーな蜂蜜酒が、スタイリッシュに素肌の上を引き伸ばされてゆくのです。

「ただエレガンスを愛する男性のために」作られたこの香水のボトルデザインも秀逸であり、ギヨシェ彫りのシルバーのつまみがスプレーを覆っています。1825年創業のイタリアのガラスメーカー・ボルミオリ・ロッコ社による100mlのみ取り外し可能なガラスドームに収納されています。

スポンサーリンク

香水データ

香水名:レンヴォール ドゥ カルティエ(レンボル ドゥ カルティエ)
原名:L’Envol de Cartier
種類:オード・パルファム
ブランド:カルティエ
調香師:マチルド・ローラン
発表年:2016年
対象性別:男性
価格:日本未発売


トップノート:アルテミシア、ラベンダー、セージ
ミドルノート:ペッパー、ヴァイオレット・リーフ
ラストノート:アンバーウッド、シダー、パチョリ、ガイアックウッド、ムスク、アイリス、蜂蜜、ベチバー、リグナムバイタ