究極のフレグランスガイド!各ブランドの聖典ページ一覧にすすむ
クロエ

【クロエ】ノマド(クエンティン・ビスク)

クロエ
©Chloé
この記事は約6分で読めます。

ノマド

原名:Nomade
種類:オード・パルファム
ブランド:クロエ
調香師:クエンティン・ビスク
発表年:2018年
対象性別:女性
価格:30ml/10,450円、50ml/14,850円、75ml/18,590円
販売代理店ホームページ:ラトリエ デ パルファム

スポンサーリンク

クロエ帝国、静かに始動する。

©Chloé

クロエがはじめてフレグランスを発売したのは、1975年のことでした。時を経て、フレグランスのヒット作を全く生み出せなくなっていたクロエが、再生を賭けて2008年に、13年ぶりに新たなる香りを生み出しました。

ミシェル・ アルメラックとアマンディーヌ・クレール・マリーにより生み出された「クロエ オードパルファム」でした。そして、全てが変わりました。このフレグランスは、空前の大ヒットとなり、世界中の若い女性が最も憧れる香りとなりました。

あれから10年の月日が流れ、クロエは、ブランドイメージの調整を図る必要に迫られました。そして、洗練された大人の香りを2018年3月7日に発売することになりました。

香りのコンセプトは「もっと自由に、翼を広げて。まだ見たことのない風景と、新しい自分を探す旅へ」(公式ホームページより)です。〝ノマド〟とはフランス語で〝遊牧民〟の意味です。

つまりこの香りは、当時(そして今も)クロエのフレグランスに染み付いているイメージである〝媚びる女〟〝モテたい女〟といった今ではもう陳腐すぎるワードを全否定する気持ちを込めて生み出された香りなのでした。

何よりもこの香りの素晴らしいところは、大概は当てにならないファッション・フレグランスのキャッチコピーに対して、これほど忠実に作られた香りはないということでした。それ程、この香りは、ハンサムウーマンな香りであり、男性にとっても非常に使いやすいユニセックス・フレグランスなのです。

恐らく、現在愛好されている皆様は、(クロエかぶりしたくないので)余計なことをしないでくださいと仰るでしょうが、明らかに過小評価されている「ネオシプレ」の傑作であるこの香りについて徹底分析させて頂きたいと思います。

スポンサーリンク

ネオジボダン=ネオシプレの逆襲

©Chloé

©Chloé

シプレにおいて、オークモスがパチョリに対して明らかに見劣りする香りがあります。私は、この香りにおいて、オークモスの存在感を際立たせ、香り全体にミステリアスかつエレガントなオーラを生み出そうと考えました。

クエンティン・ビスク

苦味のあるベルガモットを中心としたシトラスがベースのオークモス(草木)、パチョリ(土)と結びつきグレープフルーツのような香りに変形を遂げたシプレシャワーを生み出します。そしてこのシャワーが、黄金色のミラベル(西洋すもも)に降り注ぎ、(太陽の光で温められた肌のような)独特な甘さを伴うフレッシュグリーンノートが生み出されるトップノートからこの香りははじまります。

このオープニングからすでにこの香りには、只者ではない風格が漂っています。恐らく、20年後には、名香として歴史に名を残す香りになることでしょう。

そして、そんなシプレにフリージアを主役としたジャスミン、ローズのフローラルが絡み合い、そこに熟したピーチが加わります。まさにゲランの「ミツコ」を連想させる〝果実〟で香りのバランスをとる(つまりはフローラルを蕩けさせる)たくみな調香です。

ドライダウンは、シプレ特有のソーピィさに包まれます。最初から最後まで徹頭徹尾、知性的な女性、もしくは、眼鏡とスーツルックの女性に相応しい、頭の回転が速い香りです。

ミラベルは、やや酸っぱい酸味のある、バラエティに富む香りを放つフルーツです。私にとって子供時代に収穫に参加していたので、感慨深いフルーツです。一方で、実に捉えがたいフリージアの香りは、私のお気に入りであり、自分の意思で行動する女性を連想させます。

クエンティン・ビスク

ネオシプレと呼ぶに相応しいこの香りは、ジボダンの新世代のエース、クエンティン・ビスク(1983-)により調香されました。

この香りが、独特なシプレである理由は、ジボダン社が開発したカリプソン(メロンのようなオゾニック)、ペタリア(ロージー)、マホニアル(百合様)、ニンフィール(オゾニックなスズラン)、カルマフロール(サリチル酸)、ポマローズ(ミラベルアコード)、ジョージーウッド(ウッディアコード)といった7つの最新成分が使用されている点にあります。


ボトル・デザインは、クロエのシグニチャー・バッグ〝ドリュー〟をモチーフにしたものです。

スポンサーリンク

クロエの華麗なる女性デザイナー達

ギャビー・アギョン

ステラ・マッカートニー

フィービー・ファイロ

ハンナ・マクギボン

クレア・ワイト・ケラー

ナターシャ・ラムゼイ=レヴィ

クロエというファッションブランドは、ギャビー・アギョン(1921-2014)が1952年に創業し、帝王カール・ラガーフェルドを経て、1997年よりステラ・マッカートニー、2001年よりフィービー・ファイロ、2008年よりハンナ・マクギボン、2011年よりクレア・ワイト・ケラー、2017年よりナターシャ・ラムゼイ=レヴィがクリエティブ・ディレクターに就任するという歴史を見ればわかるように、ウーマン・パワーで創り上げられたファッション・ブランドです。

そして、彼女達のような女性のことをクロエ・ウーマンと呼びます。この香りによって、はじめてクロエは本来の姿を体現する香りを手にすることが出来たとも言えます。

キャンペーン・モデルには、『ロブスター』(2015)に出演していたギリシア出身のフランス人女優アリアーヌ・ラベド(1984-)が起用され、インドのラージャスターン州のタール砂漠やチットールガル砦で撮影されました。

スポンサーリンク

香水データ

香水名:ノマド
原名:Nomade
種類:オード・パルファム
ブランド:クロエ
調香師:クエンティン・ビスク
発表年:2018年
対象性別:女性
価格:30ml/10,450円、50ml/14,850円、75ml/18,590円
販売代理店ホームページ:ラトリエ デ パルファム


トップノート:ミラベル(西洋スモモ)、ベルガモット、レモン、オレンジ
ミドルノート:フリージア、ジャスミン、ピーチ、ローズ
ラストノート:オークモス、アンバーウッド、パチョリ、サンダルウッド、ホワイト・ムスク