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【エス パフューム】100%ラブ(ソフィア・グロスマン)

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100%ラブ

原名:100% Love
種類:オード・パルファム
ブランド:エス・パフューム
調香師:ソフィア・グロスマン
発表年:2003年
対象性別:女性
価格:日本未発売

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100%ラブか100%ヘイトになる香り

©S-Perfume

エス・パフュームから2003年に発売された「100%ラブ」は、ルカ・トゥリンにより大絶賛されたチョコレートローズの香りです。この香りは、ソフィア・グロスマンにより調香されました。

ソフィア・グロスマンが、商業的なことを一切考えず、ただ芸術的な感性のみを反映させた香りです。つまりは、彼女の創造物を愛する人々にとって、四の五の言わずに持っておかなくてはならない類の香りです。

そして、明らかに身にまとう人によって印象が代わるように意図して生み出された〝香りのおもちゃ〟です。100%ラブか100%ヘイトになるように調香されています。

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あらゆる意味で凄い香り


まずはヨーグルトと海水をかけたクランベリーとブルーベリーを混ぜたチェリーのような甘酸っぱさからこの香りははじまります。とにかく凄い香りです。

やがて、クリーミーかつフルーティーなローズに、温かいビターなカカオが溶け込んでゆきます。ローズとチョコレートが連想させるグルマンとは全く逆のベクトルで、甘酸っぱいローズとダークチョコレートがパウダリーに浮遊するように肌に到達した瞬間に、優しいキスのように広がってゆきます。

そして、その奥底には、ゾンビのように、甘い樹脂のようなアニマリックなラブダナムが徘徊しています。最後に、カカオは完全に姿を消し、パウダリーローズはムスクとバニラの調停により、拍子抜けするほど平凡に心地よく甘いドライダウンへと導かれてゆきます。

この香りの恐ろしいところは、どの香りの側面一つとっても食べることが出来ない香りがするところにあります。確実に食べると良くないことが起こりそうな香りです。

ムスクは、ソフィアが特別にブレンドした、興奮した人体から発散される体液および体臭を喚起させる合成ムスクが使用されています。

エス・パフューム(オリジナル・ボトルのコンセプトはぶっ飛んでいました)のスタンスからしてこの香りは、チョコレートの香りがする猛毒=チョコポイズンというコンセプトなのだろうかと勘ぐりたくなるほどユニークな香りです。

30歳以下の女性が、おいしく食べてもらうことが出来るチョコポイズンです。ちなみに私の場合、腐った魚のような匂いがします。Nose Shopのエタ リーブル ド オランジェの「セクレション マニフィック」の隣に置いて頂きたい香りです。

ルカ・トゥリンは『世界香水ガイド』で、「100%ラブ」を「チョコレートローズ」と呼び、「まともな香水を作るためにはアートディレクションがどんなに大事かということの証明だ。金持ちで香水好きな人が、才能のある調香師を口説いて香水を作らせたとして、単なる芸術的な自由と豊かな資金の組み合わせから傑作が生まれることはほとんどない。」

「そこにはしっかりとした構想をもって全体を指揮し、長く苦しい完成までの道のりを支える人が必要だ。ノブシオヤ(塩谷信)に会ったことはないが、彼の作品から感じたのは、目の前のものごとや常識から遠く離れて深く芸術を追求し、目指すものがつかみ取るまで止まない精神で、100%ラブにはそれが反映されている。」

「最初のヴァージョンも悪くないが、少々不調が残り、かのソフィア・グロスマンはわずか2年で改造した。匂いを嗅いだ瞬間、めったに(性格には1992年以降)ない驚きと、喜ばしい謎に包まれた。変わったものは簡単にできるし(誰も試みたことのない香調はたくさんあるから)、くつろいだ気持ちのよさもそうだ。」

「ローズやバニラ、チョコレートなど、ふわふわした感じを出す材料を使えばいい。しかしこのうえなく奇妙な感じと、とろけるような心地よさを、ふたつながら同時に表現し切った腕は、天才というほかない。香りが律する異次元の世界があったなら、100%ラブはリーマン予想を証明したほどの価値がある。」と5つ星(5段階評価)の評価をつけています。

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香水データ

香水名:100%ラブ
原名:100% Love
種類:オード・パルファム
ブランド:エス・パフューム
調香師:ソフィア・グロスマン
発表年:2003年
対象性別:女性
価格:日本未発売


シングルノート:レッドカラント、ブルガリアン・ローズ、ターキッシュ・ローズ、カカオ、ムスク、アイビーリーフ、セイヨウカノコソウ、ラブダナム