アジア人にだけ似合うイエロー・レザージャケット。
本作のミッシェル・リーのファッション・スタイルは、90年代において極めてアジア的であり、当時の欧米人にとっては、想像もつかないスタイリングだったと言えるでしょう。そして、このアジア人独特のファッション・センスが映画から花開き、後のアレキサンダー・ワンやフィリップ・リムを生み出す源流となったのです。
それはジョン・ウーの作品が世界のファッション・シーンに与えた影響は少ないが、ウォン・カーウァイの作品が世界のファッション・シーンに与えた影響は計り知れないということなのです。
女エージェント スタイル7
レザージャケット
- イエロー・レザージャケット、襟が大きい
- 黒のキャミソール
- 黒のエナメル・ミニスカート
- 黒の網目の大きい網タイツ
- レイバンのウェイファーラー
- 黒のチェーンショルダーバッグ、パテントレザー
女エージェント スタイル8
グリッターニット
- キラキラしたグリッターニット
女は涙でメイクを落とした瞬間、生まれ変わる。
女エージェントにとって、殺し屋の存在はどういうものだったのだろうか?彼に別れを告げられ、隠れ家の小屋で、彼の黒のジャケットを匂ぎながら、オナニーをして果てて、涙でマスカラが滲んで流れるそのルックス。
それはミッシェル・リーの本来の美貌を蘇らせていて、とても魅力的です。この涙を流しながらオナニーするシーンと「忘記他」の歌は、見事にマッチしています。
かつてココ・シャネルはこう言いました。「悲しいときは化粧をしなさい」と。
彼女のメイクが濃いのは、それだけ心が満たされぬ日々を送っているということでしょうか?そして、クレンジングクリームではなく、涙によって彼女の素顔が剥き出しになった瞬間、彼女の中の何かが変わったのでしょう。
女エージェント スタイル9
ニューチャイナ
- 透明ビニール製のチャイナドレス
- 黒のスリップ
- 黒のガーターストッキング
- 黒のハイヒールストラップサンダル
- 赤のボックスバッグ、ゴールドチェーン
すれちがう女。お互いから、同じ男の香りがした瞬間
「この香水の匂いが別の女から漂ってくるなんて」と、お互いに考えながら、金髪の女と女エージェントは地下道ですれ違いざま、互いの関係を嗅ぎ当てるのでした。このときのカレン・モクのファッションがオシャレだ。
女エージェント スタイル10
キャミソールワンピ
- グレーのキャミソールワンピ
- 金のストラップハイヒールサンダル
- 黒のチェーンショルダーバッグ、パテントレザー
金髪の女・ルック
- 白のブラウス
- グレーデニムのミニ
- 白地に黒とグレーの花柄のスプリングコート
- パテントレザーの黒のショートブーツ
- 黒の持ち手の白のトート
作品データ
作品名:天使の涙 Fallen Angels 堕落天使 (1995)
監督:ウォン・カーウァイ
衣装:ウィリアム・チャン
出演者:ミッシェル・リー/カレン・モク/チャーリー・ヤン/レオン・ライ/金城武