マイケル・ジャクソンの整形に時代が追いついた
「イン・ザ・クローゼット」 1992年5月リリース。全米第6位/全英第8位
アルバム『デンジャラス』(プロデューサーはテディー・ライリー)からの第3弾シングル。作詞・作曲はマイケル・ジャクソンとテディー・ライリーです。当初は、マドンナとデュエットする予定でしたが、もっとアンドロギュヌスな内容を希望したマドンナとの意見の相違で実現しませんでした。マドンナも相当の負けず嫌いなので、想像もつかないデュエットが生み出されていたかもしれません。
ショート・フィルムの監督は、著名なフォトグラファー・ハーブ・リッツ(1952-2002)です。この曲で新たなイメージを創造したマイケル・ジャクソン。まさにこの後にアントニオ・バンデラスが主演した『デスペラード』(1995)の主人公は、このマイケルからインスパイアされ生み出されたのです。完全にラテン系のノリで、メキシカンな雰囲気の背景とマッチしています。
そこに登場するのが、スーパーモデルのナオミ・キャンベル様です。スーパーモデルとは何か?彼女こそが、マイケルにとってのシド・チャリシーだったのです。もはや地球上ではない二人の世界が生み出されています。そして、題名が醸し出すのではありませんが、このショートフィルムがむしろマイケルのゲイっぽさを引き出す結果となってしまいました。それはやはり、ナオミ・キャンベルの女性とは思えないファッション・モデル特有の無表情な無機質な美によってなのでしょう。美しいが深みのないファッション・フォトのような作品でした。