作品名:嘆きの天使 Der blaue Engel(1930)
監督:ジョセフ・フォン・スタンバーグ
衣装:ティハメル・ ヴァラディ/マレーネ・ディートリヒ
出演者:マレーネ・ディートリヒ/エミール・ヤニングス
マレーネは、スタンバーグを崇拝していた。
ローラ・ローラ・ルック3 ルームガウン
- ファーがトリムされたルームガウン
第一級の作品を作る時でさえ、彼はわずかな予算しか使えず、撮影時間も充分ではなかった。彼の最もすぐれた才能は、実際は、紐や縄を使って仕事をしても、それをすべて豪華で価値のある輝くばかりのものにして見せることにあった。・・・彼はいつも少ない費用で、お金をたっぷりかけたのと同じ効果をあげる方法を見つけた。
マrフェーネ・ディートリッヒ
私はいつ呼ばれても準備が出来ていた。私は他の俳優の邪魔にならないよう、少し離れていたが、舞台セットで私に命令するスタンバーグ監督の合図ならどんな小さなことにも注意を払っていた。
マレーネ・ディートリッヒ
実は心根の優しい女性であるローラ・ローラ
ローラ・ローラ・ルック4 スーツ
- ボーラーハット
- アンコンジャケットとスリットスカート
- 左肩にフォックスファー
- 白のボウタイシャツ
- 黒のハイヒールパンプス
天下のマレーネ・ディートリッヒ様が、これほどやぼったいシルエットのスーツに身を固める姿はそうそう見れません。しかし、マレーネという女優の魅力が、100万ドルの脚線美にだけあるのではないことを教えてくれます。
ラート教授の求婚シーンにおける彼女は、表情が目まぐるしく変化します。不景気に押しつぶされそうなけだるい退廃的な顔付きかと思えば、突然、少年のような快活な反応を示し、油断をすれば、誘惑するようなエロティックな目つきにも、天使のような清らかな表情にもなるのです。
しかし、このローラ・ローラという女性についてよく考えてみましょう。老教授を自殺にまで追い込んだ悪女という見方が一般的ですが、老教授の貯えに便乗することなく、ドサ回りを続け、逞しく生きていく姿は、生徒に馬鹿にされ、そんな生徒を権威で押さえ込むことにしか興味のなかった老教授のそれまでの生き様に比べると、遥かに立派なものだと言えます。
老教授は、ローラの性的な魅力に惹かれ、ミイラ取りがミイラになってしまったにしても、この枯れ果てた男を、最後の最後まで見捨てなかったローラという女性は、実に心根の優しい女性なのではないでしょうか?教授がピエロを演じる時の心配そうな眼差しや、色男に迫られながらも、なんとなく及び腰な姿が描かれているところを私たちは見逃してはならないのです。
そして、最後に、老教授の死により、お互いが解放されたのでした。