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トム・フォード

【トム フォード】ジョンキーユ ド ニュイ(ロドリゴ・フローレス・ルー)

トム・フォード
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ジョンキーユ ド ニュイ

原名:Jonquille de Nuit
種類:オード・パルファム
ブランド:トム・フォード
調香師:ロドリゴ・フローレス・ルー
発表年:2012年
対象性別:ユニセックス
価格:50ml/30,800円

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まっすぐに地獄に突き落としてくれる香り

©TOM FORD

©TOM FORD

トム・フォードの「プライベート ブレンド コレクション」の中の「真夜中の庭園」=ジャルダン・ノワール・コレクションのひとつです。2012年に発売されたこの香りは、ロドリゴ・フローレス・ルーにより調香されました。

合計4作品(他の香りは、「カフェ ローズ」と「オンブル ド ヒヤシンス」、「リス フューム」)の中で現在も販売されているのは、「カフェ ローズ」だけです。

ジョンキーユ ド ニュイ」とは「夜の黄水仙」の意味です。スイセンの中でも最も芳香が強く、18世紀以降、フランスではこの黄水仙からスイセンの天然オイルを採っていました。

この「もう一度愛して欲しい」という凄い花言葉を持つスイセンの香りは、野生的で透き通るような甘さとグリーンが合わさったような官能的な香りです。

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60年代の〝若尾文子様〟の香り


真夜中に突然視界に飛び込んでくる黄水仙の一群。恐怖のあとに訪れる妖しさへの渇望、それは、あなたを滅ぼしてしまうほどスリリングで美しい暗闇」そんなコンセプトで生み出されたこの〝魔性〟は、まず自然に咲く可憐な花々の香りではじまります。

アルデハイドにより、ほんのりと囁くように発泡する甘いミモザに誘われるように、雨上がりのフレッシュグリーンなシクラメンとアンジェリカが薫るトップノートからこの香りははじまります。

そこに鋭いグリーンの二種類のリーフが加わり、ソーピィーな清潔感溢れる香りとなります。ああ・・・明らかに危険な〝限りなく透明に近いイエローな香り〟です。

そして、トム・フォードが〝自分の美しさに夢中になっている女性の肖像画のHDヴァージョン〟と呼ぶこの香りの主役である黄水仙が、甘くクリーミーなジャスミンの側面を加えながら〝可憐さと妖艶さを表裏一体〟させるように香りを放ちます。

静かに微笑むその妖しさは、やがて私たちの心を支配し、私たちの肉をさいなむようです。そんなミステリアスなフローラルの香りに包み込まれた果てに現れるニオイ・イリスの根茎とアンバーの鎮静効果が、なだめている様で、実は、より夢中にさせる〝中毒性〟へとこの香りを昇華させていきます。

まっすぐに地獄に突き落としてくれる清々しい〝魔性の女〟の香りです。


おそらく、いいや、間違いなく、この香りは、60年代の大映映画を見たトム・フォードが、「日本の妖しい花」に遭遇した驚きを香りに託したフレグランスではないでしょうか。

その「妖しい花」の名を〝若尾文子様〟と申します。

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香水データ

香水名:ジョンキーユ ド ニュイ
原名:Jonquille de Nuit
種類:オード・パルファム
ブランド:トム・フォード
調香師:ロドリゴ・フローレス・ルー
発表年:2012年
対象性別:ユニセックス
価格:50ml/30,800円


トップノート:ミモザ、エジプト産ヴァイオレット・リーフ、シクラメン、ビターオレンジリーフ、アンジェリカ
ミドルノート:黄水仙
ラストノート:ニオイ・イリスの根茎、アンバー