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オードリー・ヘプバーン

『暗くなるまで待って』2|オードリー・ヘプバーンとエルメス

オードリー・ヘプバーン
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オードリーの健気な人妻ルック

マッチの火に浮かぶ、オードリーの恐怖に怯える顔。

公開当時、劇場に絶叫が響いたロートのデス・ジャンプ。スティーヴン・キングが「映画で描かれた最も恐ろしいシーン」と絶賛した。

身体の線がよく見えるピンクのニットが醸し出す人妻の色気。

絶体絶命の状況に追い詰められ、恐怖に怯えながらも、部屋中の灯りを消し、防衛体制を整えようとする健気な姿。

30代後半のオードリーは断然、薄めのメイクがぴったりです。

そして、ジバンシィのストッキング。

スージー・ヘンドリクス・ルック3 ピンク・セーター
  • ベッティーナのニットセーター、ライトピンク、クルーネック、ハイゲージ、ジバンシィ・ブティックで購入。元々は白の65SSものだったのを、オードリーが特注
  • ローズ・ベルタン・チューリッヒのコットンツイルのプリーツスカート、1966/67AW、ライトベージュ
  • ジバンシィの白ストッキング、1966SS
  • レネ・マンシーニのベージュのカーフレザー・ローヒール・パンプス、1966/67AW

「わたしは『暗くなるまで待って』でオスカーにノミネートされたけど、本当は同じ年の『いつも2人で』のほうがよかったと思っている」と言うオードリー。そして、彼女が次の映画に出演するために8年の時間がすぎることになります。さらにすぐ後の1968年12月5日に14年間のメル・ファーラーとの結婚生活も終えました。しかし、彼女は決して誰の前であってもメルの悪口を終生言わなかったと言われています。

ピンク・セーターを着たスージーの前で、鳴ってはいけない電話が鳴った意味を知ったときの絶叫。そして、暗闇を作り出し、悪漢ロートとの一騎打ちにのぞむ彼女の細いセーター越しの肢体。オードリーはある種確信的に、光と闇の狭間で大人の女性の肉体をタイトなピンクセーターと、ベージュのプリーツスカート、そして、ジバンシィのストッキングにより同情を誘うボディパーツとして活用していたのでした。

この作品のオードリー・ヘプバーンの隠れファンがとても多い理由は、盲目であっても、最も生活感に溢れる等身大の女性を演じた唯一に等しい作品であり、そんな人妻ファッションでさえもオードリーにかかればチープシックの教科書のような着こなしをしていたからなのでした。

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スティーヴン・マイゼルは語る。

1991年にスティーヴン・マイゼルは、オードリー・ヘプバーンを「ヴァニティ・フェアー」のために撮影しました。




彼女が一度だけ躊躇したのは、黒のシフトドレスを着て腕をあげるときだった。裾がとんでもなく短くなったからね。オードリーはそのショットが自分の年齢にふさわしくない、と気にしていたよ。

スティーヴン・マイゼル



1960年代には、彼女はまさに偶像だった。彼女のように洗練され、品があり、極上の趣味を持っていた人はほかにいなかった。<ヴァニティ・フェア>誌の撮影では、私はどぎまぎするとともに、興奮し、スリルを感じていた。私はずっと彼女のファンで、オードリーはどんな期待にもそむくことがなかった。ひとりでスタジオに現れたオードリーは背が高くて、驚いたよ。彼女はこの世で誰よりも愛らしく、チャーミングで、素敵な人だ。すごく親切で、もちろん圧倒的な美しさだった。

オードリーの美について際立った点をひとつあげろと言われても非常に難しい。何もかもが特別で、すばらしかった―彼女の骨格、長い手脚に首、そしてあの魅力的な眉・・・。私が撮影中の映画について尋ねると、「昔は顔に当てる照明をテストするだけで、一週間も費やしたの。今では何もかも大急ぎでやるけど」と言っていたのを思い出す。

スティーヴン・マイゼル