【フィリップ プレイン】ノーリミット＄（アルベルト・モリヤス）

ノーリミット＄

原名：No Limit$
種類：オード・パルファム
ブランド：フィリップ・プレイン
調香師：アルベルト・モリヤス
発表年：2020年
対象性別：男性
価格：日本未発売

きみはフィリップ・プレインを知っているか？

『ノーリミット$』はハイボルテージのフレグランスで、セックス、エネルギー、マネー、マッスルが渦巻く嵐です。フィリップ自身の止まることのないスタミナ、過剰で魅惑的な人生、限界を超えた世界をこの香りで表現したいと思いました。彼の美しい女性、車、宝石、旅行への情熱を表現した、忘れがたい、欲望に満ちた香りのタトゥーを作りたいと思いました。

アルベルト・モリヤス

フィリップ・プレインは、ドイツ人のフィリップ・プレイン（1978－）が2008年に創業したスイスのファッション・ブランドです。ファッションショーのランウェイにロボットが登場したり、モンスタートラックで車をクラッシュしたり、空中ブランコにモデルが座っているだけなど、ユニークなファッションショーで世界中を席巻しているラグジュアリー・ストリート・ブランドです。

ちなみに私がはじめてこのブランドの存在を知ったのは、2015年にメキシコのカンクーンにバカンスで滞在したとき、プラダのストアマネージャー（ポーランド系の男性）と話していて「今、フィリップ・プレインが超アツいよね」という一言からでした。

癖になる（？）フィリップ・プレイン・ワールド

限度額なしのクレジットカードを手にした時、キミは無限の世界に到達することになる。こうなるともう夢見るもので手の届かないものはない。『ノーリミット$』とは、とてもシンプルで力強いメッセージなのです。

それは、キミが望む以上のことをかなえるパスキー（合鍵）なのです。楽しみ、興奮、お金、そして、セックスのすべてです。私の新しいフレグランスで、キミの人生は『ノーリミット$』になるのです。

フィリップ・プレイン

フィリップ・プレインは、2019年に、エリーサーブとショパールの香水開発・販売も行っているブランズ・ビヨンド・ビューティ社（Brands Beyond Beauty）と契約し、香水業界に参入することになりました。

そして、2019年12月に発売されたのが「ザ スカル」でした。この香りは、ブランドとして助走のようなものであり大々的に販売されませんでした。その4ヶ月後の2020年3月1日に、前作と同じ調香師であるアルベルト・モリヤスにより生み出されたのが、「ノーリミット＄」（＝限度額なし）でした。

フィリップ・プレインの2020年FWのファッション・ショー「ノーリミット＄」において、クレジットカードのブラックカードをイメージしたボトルデザインと共に、ミラノで発表されました（ティンバランドがDJをつとめる中、ラッパーのタイガやミッシー・エリオットがパフォーマスを行った）。

この香りのテーマは『 a storm of energy, money, sex and muscles（精力、お金、セックス、筋肉の嵐） 』であり、キャンペーン・フィルム（ファッションムービーを得意とするルカ・フィノッティによる）を見たら、100人中99人が嫌悪感を示すであろう、〝成金趣味〟に満ち溢れています。

「コレは絶対に皮肉でやっているはず」と感じさせるほど、どこかチープなムードが漂っているのですが、当の本人（フィリップ・プレイン）は大真面目なのです。

四つの香りを最初に作り、一つの香りにしたという異色作。

この香りのターゲット層は、キャンペーン・フィルム、パッケージ、ボトルデザインを見ても、普段は香水を楽しまない層で、ユーチューバーに影響される若年層であることは明らかです。

しかし、その層の人々がこの香りを身にまとうと、「何コレ？」と戸惑ってしまうことでしょう。一方、香水愛好家が、「なんなんだこの見た目は？」と嘲り笑いながら、スプレーを吹きかけると、そのあまりの素晴らしさに呆気に取られてしまうことでしょう。

「ノーリミット＄」は、まず最初に4つの香りをモリヤスに作らせたところからはじまります。

1. 『ハイ ボルテージ エナジー』ベルガモットとジンジャーのメタリックでフレッシュな香りが、フィリップ・プレインが所有する高級車を思わせるウルトラ・ブライト・アクアティックノートがまばゆいばかりに輝く香り。
2. 『$$$$ マネー』ブラックペッパー、クローブ、カルダモン、ナツメグ、リコリスのようなスターアニスなど、「黒い黄金」と呼ばれるスパイスが効いた、ダークなエリクサー。紙幣を連想させるインクの新鮮な香りが肌を刺すように酔わせる香り。
3. 『セックス＆アディクション』ダークチョコレートとバーボンブラックバニラが、禁断の行為に夢中になり、快楽を渇望し怒涛のクライマックスへと達する。ブラックアンバーのセクシーでミステリアスな香りと、インセンスのプリミティブな香りが混ざり合うみずみずしい香り。
4. 『マッスルパワー』ハイテクレザーウッド、パチョリ、シダーウッドのパワフルなブレンドは、フィリップ・プレインの無限の強さと磁力を肌に刻印しています。ウードレザーのダークでアーシー、そしてウッディな香りが相まって、この素晴らしい香りを正真正銘のタトゥーに変身させる。

これらの4つの香りをひとつの香りにまとめたのが「ノーリミット＄」なのです。

ダークチョコレート×レザーの傑作

『ノーリミット$』は、他のフレグランスとは似て非なるものだと言えます。ウッディな面もあり、ミステリアスで、明るく、アクアティック。紙幣を思わせるような香りで、やりたいことは何でもできるという、無限の可能性を感じさせてくれる香りです。

アルベルト・モリヤス

ベルガモットがジンジャーと弾けあうようにしてこの香りは誘惑の鐘をかき鳴らすようにはじまります。すぐに押し寄せるブラックペッパー、カルダモン、スターアニス、シナモン、クローブといった甘く鋭いスパイスが、それぞれの妖しい魅力を、我先に弾け出さんと競い合うようなバランスで、あなたの固定観念を揺り動かすように包み込んでゆきます。

このスパイスの躍動感が、かなりクセになります。あくまで心の琴線を震わせるようなスパイスなのです。

すぐにアニマリックなレザーとドライなウードが、インセンスと結びつきながら、燻製のようなスモーキーさを加えてゆきます。そして、レザーウードの対極に位置するダークチョコレートとバーボンバニラが、食べることが出来そうなグルマンな味わいを与えてゆきます。

酔わせるようなスモーキーレザーと味わいたくなるグルマンが、とろけてそそるようにパウダリーなシダーとアーシィーなパチョリ、ブランデーのようなアンバーにより樹脂のような木の皮のような香ばしさと一体化し、世界で最も凡庸なものにひれ伏す〝官能の瞬間〟に身を震わせるような余韻を肌に刻み込んでくれるのです。

アニック・メナード様が調香したと言っても私は信じるであろう香り。

2017年にアルベルト・モリヤスが生み出したグッチの「グッチ ギルティ アブソリュート プールオム」を感じさせる香りです（グルマンノートが追加されたような香り）。

香水データ

香水名：ノーリミット＄
原名：No Limit$
種類：オード・パルファム
ブランド：フィリップ・プレイン
調香師：アルベルト・モリヤス
発表年：2020年
対象性別：男性
価格：日本未発売

トップノート：ウォータリー・ノート、ブラックペッパー、スターアニス、シナモン、カルダモン、クローブ、ジンジャー、ベルガモット
ミドルノート：ダークチョコレート、バーボンバニラ、インセンス、アンバー
ラストノート：レザー、アガーウッド（ウード）、シダー、パチョリ