フローラベリオ
原名:Florabellio
種類:オード・トワレ
ブランド:ディプティック
調香師:ファブリス・ペルグラン
発表年:2015年
対象性別:ユニセックス
価格:100ml/18,700円
ノルマンディー地方のリンゴの花の香り
ディプティックから2015年に発売された「フローラベリオ」は、アクアティック・フローラル(リンゴの花)の香りです。ファブリス・ペルグランにより調香されました。
創業者の一人であり紅一点のクリスチャンヌ・モンタドル=ゴトロが生まれ育ったノルマンディーのバルフルール村の海辺とリンゴの果樹園、そして、彼女がずっと愛することになるコーヒーとセサミブレッドの想い出を一纏めにした香りです。
この香りの名は、ケルト語でリンゴを意味する〝abal〟が、フローラ=花と結合された造語です。
「フローラベリオ」は、クリスチャンヌの三つの想い出と現実の境を消し去り、陸と海、花と果実、甘さと苦さなど対比するものの境を曖昧にするような幻想的な香りです。
それはまるで単焦点レンズで被写体にピントを合わせ、背景をボケさせることにより被写体を際立たせる、ボケ(日本の葛飾北斎や歌川広重の浮世絵で使用された「ぼかし」が由来)というカメラ技術を、香りで演出したフレグランスとも言えます。
ロックサムファイアとシードル(リンゴ酒)
海辺に吹き抜ける清清しい潮風に、ロックサムファイアの香りが乗っかかるようにしてこの香りははじまります。ロックサムファイア(クリステマリン、シーフェンネル)とは、アニスの甘さを爽やかにして、鼻が通るような独特な苦味もある香りです。それはアンチエイジングの効能で有名な希少価値の高い薬草です。
このアクアティックな香りのはじまりは、どこか北国の春先の海を感じさせます(間違っても、トロピカル・サマーではない)。まるで冷たい塩水を浴びたメロンと望洋楼の越前蟹のようです。
やがて、北国に春がやって来ます。香りは小道を通り抜け、リンゴの果樹園へと進んでゆくのです。アクアノート(Z11とリンバノール)に(ヘッドスペース法で捉えた)リンゴの花と、アプリコットの香りを連想させるオスマンサス・ブロッサムが、シュワ~っとした炭酸のような感覚を伴わせながらシードルのように甘く香り立ちます。
そして、焙煎したコーヒーとセサミの香りが、意識して香らないと分からないほどぼやけたムードで漂いながら、アクアフローラルとホワイトムスクがブレンドされた塩っけのある甘さで香りは、肌の上で存在感をより明らかなものにしてゆくのです。
頭の中から越前蟹が離れなくなる香りです(かに道楽ではない)。
香水データ
香水名:フローラベリオ
原名:Florabellio
種類:オード・トワレ
ブランド:ディプティック
調香師:ファブリス・ペルグラン
発表年:2015年
対象性別:ユニセックス
価格:100ml/18,700円
トップノート:シーノート、シーソルト、ロックサムファイア
ミドルノート:アップル・ブロッサム、オスマンサス
ラストノート:ローステッド・コーヒービーン、セサミ