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作品データ
作品名:素直な悪女 Et Dieu… créa la femme(1956)
監督:ロジェ・ヴァディム
衣装:ピエール・バルマン
出演者:ブリジット・バルドー/クルト・ユルゲンス/ジャン=ルイ・トランティニャン/イザベル・コーレイ
ジャン・コクトーはかく語れり。
ジュリエット・ルック11 パンツルック
- 白シャツ、半そで軽くロールアップ。ラウンドネック
- 黒ベルト
- タイトな黒のカプリパンツ
コクトーは、(この作品の試写会を見た後に)ブリジット・バルドーのことを「両性具有者が一番女に近づいたとき」と言った。
ロジェ・ヴァディム
私は常に歴史よりも神話を信じてきた。歴史の真実はみるみる虚偽に変貌するが、逆に神話の虚偽はみるみる真実に変貌するのである。今日の時代の特徴のひとつは、あらゆる分野ですぐさま神話を創り出そうとすることだ。マスコミが実在の人物を発見してきて、その実生活に想像のイメージを重複させる。ブリジット・バルドーがこの奇妙な現実と神話のミックスの完璧な一例だ。彼女はほとんど宿命的に夢と現実が混合する場に置かれているのである。彼女の美しさは文句なく完璧である。しかもその美しさはあたかも神々に見放された年齢の熱狂者達を誘惑するなにか未知のものを持っているのだ。
ジャン・コクトー
女の足で踏みつけられ、愛される男の憧れ
ジュリエット・ルック12 ベージュ・シャツドレス
- ベージュのフロントボタンシャツドレス。サッシュ、ロールアップスリーブ
本作以降、サントロペの知名度は、世界的に飛躍し、アラン・ドロンが『太陽が知っている』(1969)を撮影する頃には、高級リゾート地になっていました。バルドー自身もこの地が気に入り、1958年に別荘を購入し〝ラ・マドラグ〟と名づけたのでした。
その意味においては、本作は、ブリジット・バルドーというセックス・シンボルを生み出し、ロジェ・ヴァディムという、後にジェーン・フォンダの『バーバレラ』を生み出す名監督を生み出した以外にも、『男と女』の名優ジャン=ルイ・トランティニャンを生み出し、そして、サントロペを生み出したのでした。
「わたしたちの世代」の新しい映画だ、フランソワ・トリュフォー
ジュリエット・ルック13 素敵な悪女
- ボートネックの黒シャツ、半そで
- グリーンのラップスカート
何もしたことがないヴァディム、何もプロデュースしたことがないラウール・レヴィ(バディムの彼に対する評が面白い。「頭と神経の動きが並外れて活発な男で、彼につかまった人間は消耗する運命にあり、相手がいなければ自分で消耗した」「自分で自分の金を盗んだという人間は私の知る限りあとにも先にもこの男だけだ」「1943年に英国空軍に入って、じきに空軍きってのだめな航空士といわれるようになった」)、それに女優としてろくな実績のない私、この三人が映画を作ろうと決めたのだ。
ブリジット・バルドー
当時のフランスのマスコミは、本作に対して「ピガールでストリップを見るようなものだ」と評しました。一方、当時、影響力を持っていたカイエ・ドュ・シネマの本作に対する評価に対して、バルドーとヴァディムとでは全く違う回答が引き出されています。
バルドーの自伝にはこう記載されています「フランソワ・トリュフォーを先頭に、かなり冷淡な批評をした。テーマの安易さ、俳優の選択が批判された。」と。一方、ヴァディムは「フランソワ・トリュフォーは、硬直状態にあったフランス映画に新たな可能性を開くものであり、画期的な作品だと絶賛した。」と自伝で記載しています。本当の所は、ヴァディムが正しく、トリュフォーは「ヌーヴェル・バーグの到来を予告する〝わたしたちの世代〟の新しい映画だ」と絶賛していたのでした。
フランスで、おおむね酷評を受けた本作は、翌年に公開されたアメリカにおいて予想を超えた大ヒットを記録し、その波がフランスにおける大ヒットを誘導する結果になったのでした。
撮影があれほど楽しかったことはない。私は演じてなどいなかった。ありのままの私を見せればいいだけだったのだ。
ブリジット・バルドー
この言葉の中に、この映画の中のブリジット・バルドーの本質のすべてが凝縮されています。
イザベル・コーレイ・スタイルその4
リュシエンヌ・ルック4
- ネイビーのサンドレス
ここぞとばかりに現代女子のツボを押さえるスタイルで登場するリュシエンヌの南フランス・ファッション。どのスタイルも、典型的なフィフティーズ・ファッションであり、彼女の若々しさと健康美にマッチしていました。