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ミル (1000) (ジャン・ケルレオ)

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香水データ

香水名:1000(ミル) 1000 オード・パルファム
ブランド:ジャンパトゥ
調香師:ジャン・ケルレオ
発表年:1972年
対象性別:女性
価格:75ml/30,240円

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トップノート:オスマンサス(キンモクセイ)、ベルガモット、ヴァイオレットリーフ、コリアンダー、ユーカリ、アプリコット
ミドルノート:ブルガリアンローズ、グラース産ジャスミン、ゼラニウム、ミュゲ(スズラン)
ラストノート:パチュリ、マイソール産のサンダルウッド(白檀)、オークモス

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香水広告フォト&動画

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ルカ・トゥリン

★★★★☆ ドライシプレ

特にミルが好きだと思ったことはない。玄人うけする実験小説のように、いたずらに複雑で読みにくいからだ。旅行に持っていっても、結局たまらず、空港でロバート・ラドラムのスパイ小説ととりかえてしまう。この香水ガイドを出すためにまた匂いを試してみると、スタイリッシュだがどこか垢抜けないところが残る、低い声の、ペタンコ靴に真珠のネックレス的な雰囲気があることに驚いた。この力強さ、男ならば試してみる価値あり。 ― ルカ・トゥリン

『「匂いの帝王」が五つ星で評価する世界香水ガイドⅡ』ルカ・トゥリン/タニア・サンチェス 原書房

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香りが分かる大人になりましょう。

着ている服は〝雄弁に〟その人を物語る。その人の発する言葉よりも。

ロバート・アルトマン

上の言葉にもう一つ付け足すならば、香りです。香りもまたその人を雄弁に物語ります。今日本中でどれだけのフレグランスが販売されているのでしょうか?カウントしてみましょう。まず主要都市に店舗を持つ日本を代表する香水専門店「ラトリエ・デ・パルファム」において約150種類以上のフレグランスが販売されています。それ以外にルイ・ヴィトンエルメスディオールシャネルなどのラグジュアリー・ブランドのフレグランス、ゲラン、エスティ・ローダー、ランコムなどのコスメコーナーのフレグランス、その他もろもろも加えると優に1000種類以上のフレグランスが販売されています。

その中から、自分の個性を体現する香りを探すことは、最初は途方にくれる旅ですが、大した時間を必要とせずに、喜びに変わる旅です。老いると言うことは、こだわりがなくなることです。そして、こだわりこそが、個性なのです。しかし、何事もはじめが肝心です。それはフレグランスの好き嫌いを左右するマイ・フレグランス(欲しくはないが友人、もしくは店頭で好きだと感じた香り)を見つけることと、名香と呼ばれている香りの複雑さに定期的に触れることです。名香とは、こだわりの極致であり、すぐに良さが感じられる香りではありません。しかし、良いものに定期的に触れていると、人は洗練されていくものなのです。

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複雑な香りと戯れる。

1000(ミル)は、オスマンサス(金木犀)の香りを緻密に計算した結果、生まれた、革新的な香りです。そして、アイリスとヴァイオレットのビロードのようなパウダリーノートの上に、ローズドゥメとジャスミンのアコードを遊ばせているのです。

ジャン・ケルレオ

ジャンパトゥが1930年に「ジョイ」を発売してから月日が経ちました。そこでジャン・パトゥ亡き後、第二弾フレグランスの開発を義兄レイモン・バルバスが、調香師ジャン・ケルレオに依頼しました。その依頼内容は、予算は気にせずに、「ジョイ」以上に贅沢な香水を創造してくださいとのことでした。

早速、ケルレオは、当時、革命中の中国に行き、香料を採取しました。さらに1000回以上の試作品を作り、オスマンサス(金木犀)やジャスミン、チュベローズなど、「ジョイ」よりさらに高価な香料を調合し、3年の月日をかけ、1972年に生み出されたのが、「1000(ミル)」でした。初期ボトルは、中国の鼻煙壺(嗅ぎタバコの瓶)という、ヒスイや琥珀を使い、彫刻を施した容器をイメージして創作されました(現在はクリスタルボトルに)。最初の限定版ボトルには購入者の名前が刻印され、注文のため営業マンがロールスロイスを使用しました。

香水の名前「1000」。その意味は、1000人の女性がいれば、1000通りの香りを生み出す。またはアラビアンナイト(千夜一夜物語)のように、その日毎に香り方が変わる。さらには、ケルレオが、このフレグランスを生み出すために試作した作品の数である1000。さらにさらには、約1000種類の天然成分が、贅沢に使用されているという意味も含んでいます。

その香りと同様に、フレグランスの意味ですら、非常に複雑な香水です。そして、それだけの天然香料を使用するということは、ワインに使われるブドウと同じように、収穫する年によって天然香料の質と香りは変わってくるので、それを適切に管理しなければなりません(品質を一定に保つために)。つまり、香りを創るよりも、天然香料の品質管理に時間とコストは費やされます。一瓶で何十ダースものバラ、何万本ものジャスミンが使われるこの香水は、そのためにとても高価なのです。