アン マタン ドラージュ オードパルファム
原名:Un Matin d’Orage Eau de Parfum
種類:オード・パルファム
ブランド:グタール
調香師:イザベル・ドワイヤン
発表年:2014年
対象性別:女性
価格:50ml/23,760円、100ml/33,330円
販売代理店ホームページ:ラトリエ デ パルファム
パリの貴婦人が、日本庭園のクチナシにそっと触れる…
私が自分で使う香りとして特に気に入っている香りは、「アン マタン ドラージュ オードパルファム」です。女性らしさと丸みを感じさせ、そして、クチナシの花を連想させるところが気に入っています。
イザベルと私は、東京の梅雨時に咲くクチナシをイメージして作りました。フランスで育つクチナシに比べ、日本のクチナシは手のひらに乗るほどとても大きな花です。
カミーユ・グタール
2009年にグタールより発売された「アン マタン ドラージュ」(EDT)は、フランス語で〝嵐の朝〟の意味を持つ日本庭園からインスパイアされた香りです。そのオード・パルファム版として2014年に発表されたこの香りは、イザベル・ドワイヤンにより調香されました。
「より強い嵐がやって来て、香りはより官能的な趣をなす」とイザベルが表現するこの香りとオード・トワレ版との明確なる違いは、チューベローズとミルラの追加です。
オリジナルよりも強く嵐は猛獣のように咆哮し、魔導師がどこからか、風と雲と雨をしもべに操っているように自由自在にうねります。そんな大地に根を張る花々を徹底的に根絶やしにしようという試みを打ち砕くように、太陽の女神が現れる瞬間からこの香りははじまります。
シチリアの太陽で甘やかされたレモンとジンジャーの香りは、すぐにジャスミンの香りと溶け込み、フレッシュでありながら生温かい朝の風となり、窓辺のあなたにクチナシの香りを運んでくれます。ジャスミンとチャンパカはあくまでも咲いたばかりの若い花であり、しっとりと慎ましく香っておられます。フレッシュグリーンの喪失感がEDT版のトップノートとの違いです。
そして、魔導師の魔の手から生き延びたガーデニア(日本をテーマにした香りなので以下、クチナシと呼ばせてください)の花々は、太陽の女神の〝復活の呪文〟によって曲がっていた茎をピンっと伸ばし、嵐の後の青空に向かって、雨風により研磨された真珠のように滑らかな白い花びらに露を残し光り輝くのです。
ここで目と目が通じ合うように、クリーミーなチューベローズが、まるでパリからやって来た貴婦人のようにクチナシの露をあでやかにしたたらせてゆきます。やがて、ミルラ、バニラ、アンバーの三賢人がその輝きに甘やかさを注ぎ込んでゆきます。あくまでもクチナシの輝きを円やかに、内なる輝きを生み出していくようにです。
そして、スモーキーなガイアックウッドにより、クチナシがもっとも輝く栄光の瞬間の究極のカタチをここに見せてくれるのです。鋭さではなく、パウダリーな滑らかさで聖母のように、すべてを包み込んでゆく存在になる、そんな超越した円やかさがこのクチナシにはあります。
女性らしさを凝縮したようなクチナシの香り
女性にとっても、嵐を乗り越えた後こそが、もっとも輝くことが出来るチャンスだというメッセージが込められた香りです。嵐の後でも、笑顔を忘れない女性になりたい、まさに自然界の力を集め、女性らしさを凝縮したような香りなのです。
もちろん、EDP版においてもマグノリアは重要な役割を果たしています。この頭上から包み込むように香るフレッシュフルーティなバニリックな甘い香りが、レモンと見事に調和し、クチナシをはじめとするそれぞれの花と草に生命の煌きを与えているのです。つまり、花とジンジャーの中にあるスパイスを見事に結びつける役割を果たしているのです。
EDP版において、クチナシは、より薄緑であり、マッシュルームのような香りがするとカミーユは伝えています。一方、イザベルは、「霧と花から滴る露のイメージを捉えている」と述べています。
グタールの香りは、自然が人々に呼び覚ます感情を香りを通して呼び覚ましてくれるということを、〝嵐を起こしてすべてを壊す〟ことによって教えてくれる香りです。
香水データ
香水名:アン マタン ドラージュ オードパルファム
原名:Un Matin d’Orage Eau de Parfum
種類:オード・パルファム
ブランド:グタール
調香師:イザベル・ドワイヤン
発表年:2014年
対象性別:女性
価格:50ml/23,760円、100ml/33,330円
販売代理店ホームページ:ラトリエ デ パルファム
トップノート:シチリア産レモン、ジンジャー、シソ、ガーデニア
ミドルノート:チューベローズ、マグノリア
ラストノート:ミルラ、バニラ、ガイアックウッド